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「隊長、緊急依頼よ」


「なんだ珍しいな」


 そう言ったカイル自身が珍しく自室にこもり何かを書いている。

 彼はそれを引き出しにしまうと、すぐにニーナに続き事務所へ移動した。

 既に出動準備を開始したハーキスらと依頼者がそこにいた。


「彼が依頼者。五日前雪原エリアに入った冒険者三人の捜索依頼よ」


「僕ショーンて言います。兄が仲間と雪原に行ったまま帰ってきません。昨日帰って来る予定でした」


 ショーンはフィルよりは幼そうで、兄とこの島に来ていたらしい。兄はギルドで仲間を集い三人パーティを組むと彼に四日後に戻ると告げダンジョンに入った。

 目的は難病に効くと言われている“水晶の花”を取りに行くこと。

 

「ギルド照会は?」


「これにゃ」


 あらかじめ本人による救助申請ではない緊急依頼の場合、ギルドを通してパーティを集った場合はそちらにデータが残る。そういう場合は情報を照会してもらえる手筈になっていた。


「リーダーは依頼者の兄リーアム十九歳、ランクBのファイター系にゃ。パーティメンバーはAランクのジェイソン二十五歳ソーサラー系、同じくAランクのヒュー二十三歳ファイター系にゃ。リーアムとジェイソンは雪原経験あり、ヒューは無しにゃ」


 キャスが照会してもらったデータを読み上げる。

 現在の雪原はダンジョンの奥。モンスターは凶悪なものが出る可能性が高い上に雪原という自然自体に厳しいものがある。


「水晶の花の情報は持ってたのか?」


「兄は随分水晶の花について調べていました。ありそうなポイントはある程度絞っていたみたいです」


「なら無暗に山に入っていくことはなさそうだな。手前の森林エリアから入って近いポイントから探していこう。今回の雪原エリアはそう広くはない。俺とリコで捜索、ウォーレンは中間地点でベースキャンプ待機。ハーキスは残りの依頼対応、出動にはキャスかニーナを連れてってくれ」


「了解」


「わかったわ」


「わかったにゃ」


 ウォーレンは頷いた。


「キャス、リコにお前の装備貸してやってくれ。フィル、ギルドに行って馬借りてこい。俺が三頭必要としてるって言えばわかる。全員準備」


 ニーナが全員の装備を特殊装備の棚から用意する。

 ここには雪原用、砂漠用、海岸用など通常の救助とは違った特殊な装備が収まっている。

 今回の雪原なら防寒具を始め救助道具、食料、水、そしてベースキャンプ用のテント……そう言ったものが必要になる。一部高級な魔法道具を使用しているため一般的な道具よりずっと荷物はコンパクトだが、行程が通常の救助に比べて危険度が高いことには変わりない。


 リコもキャスに渡された防寒具を纏い、ベルトとコートのポケットへ次々と渡された救助道具をセットしていく。武器はいつものレリックのショートソードの他に通常のサバイバルナイフも足に装着した。


 カイル、ウォーレンも装備を整え、さらにウォーレンはベースキャンプ用の道具も背負った。彼は武闘派ソーサラーという珍しいタイプ。暖を取るために炎系の魔力をプリセットしたオーブを腰からいくつか下げていた。ちなみに素手で殴り合った時にハーキスは負けるらしい。


「ウォーレンにカラスを預けるわ。連絡用にして。みんな、ちゃんと戻って来るのよ」


「遭難しても俺リコちゃんしか助けられないっすよ」


「それで充分。よし、行くぞ」


 外へ出るとフィルが三頭の馬の手綱を持ち待っていた。

 既に鞍もセットされすぐに出発できる。


「隊長、お気をつけて…」


「フィル、あの少年と一緒にいてやれ」


「わかりました」

tips:緊急依頼者たちの名前はモブの名前を考えあぐねておじ様俳優から拝借したらしい。

ショーン(コネr…)、リーアム(ニーs…)、ジェイソン(ステイs…)、ヒュー(ジャックm…)

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