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 店について食事を注文するなり、フィルからは質問の連続だった。

 そんな気はしたが、好奇心が旺盛すぎて頼んだ食事もあまり進んでいない。


「お前質問ばっかしてないで食えって。質問の上限でも決めてやろうか」


 ついに質問攻めにうんざりしたカイルにそう言われてしまった。


「えー、困ります。だって僕からすれば気になることだらけですよ。なんでエルフがいるのかとか、なんでそんなエルフがペイジなのか、なんでリッチが言うこと聞いて……あ、そのリッチがリコさんを敬ってたのも気になります。それとそのカッコイイ武器も気になります! あとあの成り損ないってやつなんなんですかね? それと――」


「はいストップ。お前今と同じ数だけ根掘り葉掘り誰かに聞かれたら素直に答えるか? 親はどうした?  生まれは? なんで逃げた? まっとうな職を選ばずここに来た理由は?」


「……嫌かもしれない」


「だろ? まず食え。とりあえず今日俺が受け付ける質問はあと一つ。それと他人の領域に深入りするような質問は無効だ」


「えー! どうしよう、何を聞こう……」


 数が限定されてフィルは急に黙り込んでしまった。無心にパンを口に運びつつ、質問を厳選しているようだった。


「リコさんは何か聞いてもいいですか?」


「私は聞かれるのは好きじゃない。三日に一回くらいにして欲しい」


「えー厳しい…」


 リコはパンケーキのセットを食べ終え紅茶を傾けた。


 三日に一回の頻度は甘すぎかもしれない。一週間に一回でも嫌だな、と考えながら。


 食事が上の空のフィルもようやく食べ終わり、再び難しい顔をし始めた。


「さて、お前にあれこれ聞かれる前に俺からも提案だ」


「なんでしょう?」


「一応お前は救助隊の見習いだ。まず俺の目でお前のレベルを見ておきたい。ダンジョンの案内がてらこれから見たいと思うがどうだ?」


「え、いいんですか! あ、でも一つ問題があるんです」


「なんだ?」


「僕本当はロッドを使いたかったんですけど、オーブとか一式揃えるお金がなくて中古のオンボロソードしか買えなかったんです。図々しんですけど前借とかできるなら武器を整えてもいいですか?」


 リコとカイルが同時に顔を見合わせ、呆れた表情を浮かべる。

 残念な目で見られたフィルも、「ですよね…」というような顔になった。


「なぜいきなりダンジョンに一人で行こうとした。なぜ一晩ダンジョンで過ごそうとした」


「一人で行ったのはギルドで誰も相手にしてくれなかったからです。経験なさすぎて。だから残金はたいて救助申請だけはしたんです。一晩過ごした理由は、クリーピングストーンがテイムできれば岩キノコ採取ができるかなって……あれ、ルーキーには割といい稼ぎになるんで」


 カイルは軽く頷くと「なるほどな」と返した。リコにはピンとこないが、カイルにはそれなりに納得できる理由があるらしい。


「岩キノコはクリーピングストーンの好物。そしてギルドが要求するのは一番成分を貯めこんだ夜中に採取したキノコ。岩キノコは特定のエリアではなく湿った岩の影にあるから割とどこでも手に入る。簡単な割にはルーキーがソロで受ける依頼の中では比較的儲けがいい……一応考えてるな」


「結果的に文無しになりましたけど」


「まあ今回は仕方ない。アレに出くわせば最悪金どころか命も無くなる。目の付け所は悪くないが運がなかったな。……よし」


 そう言うとカイルは立ち上がった。

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