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ウォーレン:無口な隊員。ガタイは大柄なカイルよりも良い。ハゲではなく、スキンヘッド。その巨体の割に魔法職。ハーキスがカイルに誘われた直後に入隊している。武器カスタムが趣味。

「お前親は?」


「いないです!」


「嬉々として言うなよ。保護者、後見人は?」


「いないです! あ、いましたが死んだので次の保護者が付く前に逃げて来ました!」


「ニーナ」


 カイルは今日も黒づくめのニーナを見ないまま人差し指をくいくい、とやる。彼女には嘘を見抜く特殊能力があり、胡散臭い客は密かに彼女のフィルターを通して選別している。

 彼女はフィルをじっと見た後、カイルの耳元で囁いた。


「年齢詐称以外は本当ぽいわね」


「ふーん…」


「隊長、別にいいんじゃないっすか。隊員は万年不足中だし、やる気ある方が助かるし。ソロで潜る気概もあるんだし、鍛えたらめっちゃ優秀なるかもしれないっすよ」


 ハーキスは自分が責任を取るわけじゃないので隊員が増える方がいいらしい。

 もう一人彼の後輩のウォーレンも隣でスキンヘッドの頭を縦に振っていた。


「私も歓迎にゃよ~。雑用係万歳にゃ~」


 フィルが期待を込めた目でカイルを見る。ここには自分の味方がいると判断したようだ。


「あーもうわかったよ。ただしテイマー云々は知らんからな。俺はあくまで隊員候補として扱うぞ」


「ありがとうございます!!」


「よし、じゃあ歓迎したキャス、手続きよろしく」


「いいよ~。フィルおいでにゃ~。書類を書くよ~。嘘はだめにゃよ? ニーナにバレるにゃよ?」


 リコはやっと騒動が収まるとカイルに小声で聞いた。

 

「いいのか?」


「何が?」


「お前のは厳密にはテイムとは違うだろう」


「俺は救助隊として扱うって言ったろ? 従属(テイム)隷属(スレイヴ)の違いがわかるやつなんかまずいない。ああ、言っとくがリコに対して隷属化させたつもりはないからな」


「分かっている。これはあくまで契約だ」


「嫌ならいつでも解除する」


「それも分かっている。それに現状解除されては私が困るからな、マスター」


 珍しくリコが冗談めかして言った。

 カイルもそれに軽く笑う。そしてなぜかそのまましばらくリコを眺めていた。


「……なんだ?」


「可愛いなそれ」


 リコがはっとしたように自分の髪に触れた。

 戻そうと思ったのに忘れていた。

 

「これは、その……気の迷いで」


「なんで髪形変えたくらいで言い訳してんだよ。好きなようにすりゃいいだろ」


 リコは唇をきゅっと結んだままコームに触れている。


 カイルもあの時勝手に挿したコームは毎日つけているのには気づいていた。

 気に入ってくれたようなら何よりだ。


「変じゃないか……」


「可愛いって言ったろ。よし、じゃあ遅い朝飯でも食いに行くか」


「なんだカイルもまだだったのか」


「起き抜けの小僧騒動よ。おいフィル、お前も食ってねえだろ。来い」


「僕依頼料でほとんど持ってかれてお金ないです」


「今日からどうするつもりだったんだよ」


「ダンジョンの入り口付近で小銭稼ぐところからやり直そうかと思ってました」


「とりあえず来い。給料から差っ引いてやるから安心しろ」


「僕お給料出るんですか」


「当たり前だろ。まあ見習いとして最低賃金でこき使ってやるけどな。訓練がてらダンジョンにも入るしあいつらも空いてる時間には結構小銭稼いでるぞ」


 カイルが顎をしゃくった先ではハーキスとウォーレンが頷いている。

 彼が「ほら来い」と言うと、フィルは急いでついて来た。そのまま三人はカイル行きつけの店へと向かった。


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