牛舎
「おかしいな……どこにも人間がいない……?」
後太郎は呟く。どこに行っても牛牛牛牛。
人は街中探しても、彼以外にいなかった。
──なら。なぜあの牛は……俺が最初に殺した牛は、人間のことを知っていた?
後太郎は考え、一つの結論に達する。
──人間が、牧場から逃げ出したと言っていたよつな気がする。ならば……街の外に牧場があり、そこに人間がいるのかも……
彼は街の外に出ようと思い立つが、なるべく余計な死体と厄介事を増やしたくないな、とふと思った。
「なら……」
彼は木陰に行き、街を円周状に覆う城壁を殴る。
殴り続けているとファンファーレが鳴り響き、対壁の攻撃レベルが2に。3に。4に──そしてボゴォ、という音とともに大穴が空いた。
「とんだ無駄足だったな。」
彼は街を去り、牧場を探し始めた。
「お、あれは……」
城壁に沿って歩いていると、街に隣接した巨大な建物が見つかった。見覚えのある形。
「牧場というよりは……牛舎か」
ここから人間が逃げだすとしたら……彼らは囚われているのだろうか?
「助けないとな、あいつら牛に好き勝手されるのは腹が立つ……」
後太郎は牛舎の壁を一撃で破壊し、ファンファーレの音とともに侵入した。




