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女神

 湖に背を向け、歩き出した後太郎の背後で水音がした。

──まさか、死んでなかったのか?

振り返ると、湖面の中央に光り輝く女神がいた。

しかし服装でそれとわかるだけであり、頭は普通に牛だった。もはや普通がわからなくなってきている。

「あなたの放り込んだのはこの金のミノタウロスの死骸ですか?それとも銀のミノタウロスの死骸ですか?」

女神は平然と後太郎に金の死骸と銀の死骸を差し出す。

──どっちも要らねえ!

女神を殴り倒そうかと思ったが、死体の処理が面倒だしあれが女神なのか牛なのかいまいちわからないため、殴って倒せるのかどうか。

「あー、金の方で……」

後太郎が選んだのは、全部持って帰って貰えそうな選択肢だった。

「わかりました。では金の死骸をどうぞ……」

女神はうやうやしく後太郎に金の死骸を差し出した。

「余計なもん押し付けて来るな糞が!」

後太郎は女神を殴っていた。女神もまた頭蓋を砕かれ絶命した。

女神は水に溶けて消え──金と銀の死骸も比重のせいか沈んでいった。

「はぁ、はぁ……なんだこの狂った世界は?」

これなら地獄のほうがマシだった、と思い始めた彼の耳元でファンファーレが鳴り響く。どうやら対女神の攻撃レベルが上がったらしい。

「とりあえず街に……きっと街には、人間が……」

後太郎はフラフラとあるき始めた。

彼の正気を繋ぎ止めているものは、どこかに人がいるという、そのほんの僅かな希望だけだった。

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