突入、そして 4
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「エッケハルトー」
わたしは、エッケハルトを探すふりをして部屋という部屋を片っ端から開けて回っていた。
そして、奥から三つ目の部屋を開けたところで、部屋の中から小声で「姉様」とエッケハルトの呼ぶ声が聞こえる。
「ここにいるのー?」
わたしはわざとらしく声を上げながら、部屋の中に入っていく。
どうやらここは書斎のようだ。
エッケハルトは、窓際の書斎机の下の方にしゃがんで、ちょいちょいとわたしを手招いていた。
「姉様、鍵付きの引き出しだよ。何か入ってるかも」
わたしはそーっと書斎の扉を閉めて、エッケハルトの側に近寄る。
「どこ?」
「この一番下の大きな引き出し。姉様、魔法で鍵開けられる?」
「任せておいて」
見たところ、魔法防止がかかっている鍵ではなさそうだ。
わたしが魔法でさっと鍵を開けると、エッケハルトが慎重に引き出しをあける。
引き出しの中には、書類らしきものがたくさん詰まっていた。
……書類をわざわざ鍵付きの引き出しに納めるってことは、重要なものなのよね。
わたしもエッケハルトの側にしゃがみこんで、その書類を確認していく。
……ビンゴ!
これらの書類は、全部投資に関係するもののようだった。しかも、それらに書かれている署名はホルガーの名前じゃない。ざっと見た限りでも複数の別の名があった。もしこれらすべてがホルガーが使っている偽名ならば、尋問にかけるには充分な証拠だ。
……あとはお母様と合流して……。
「そこで何をしているの?」
合流した後でマクシムから預かった魔道具を起動させようと考えていると、突然女性の声が聞こえてきて、わたしは慌てて立ち上がった。
閉じていたはずの書斎の扉が開いていて、二十代後半ほどの金髪の女性が立っている。
ドレス姿なのでホルガーの妻かもしれない。
わたしは慌てて愛想笑いを作った。
「すみません。弟がかくれんぼをはじめてしまって探していたんです。この書斎机の下に潜り込んでいたようで」
「ごめんなさーい」
エッケハルトがわたしのドレスの裾を掴んで、ひょいっと顔を出す。
ひとまずここに書類があるのはわかったので、怪しまれないように部屋から退散しようとしたのだが、ホルガーの妻は怪訝そうに眉を寄せた。
「かくれんぼ? 本当にそれだけかしら? あなた、そこで何かを見たのではなくて?」
ホルガーの妻が、そう言ってこちらに近づいてくる。
……まずい。
引き出しの鍵は開けたままだ。確認されれば、引き出しを漁っていたことに気づかれてしまうかもしれない。
……お母様が気になるけど、ここにホルガーの妻がいるなら、お母様のところには誰もいないわよね。二人の使用人は一階にいたし、ホルガーはお父様と一緒にいる。なら……。
わたしは手を後ろに組んで、腰の後ろで結んであるドレスのリボンを指さした。
ドレスのリボンに、装飾型の魔道具が付けられている。
これは防犯用の魔道具をマクシム様が改良したものらしく、作動させれば大きな音が出るらしい。
指で背後のエッケハルトに指示を出すと、すぐに気づいてくれた。
わたしの腰に手を伸ばし、リボンから魔道具を外す。
そして――
ドカアアアアアン‼
魔道具が作動した瞬間に鳴り響いた大きな爆発音に、わたしは思わず「きゃあ!」と悲鳴を上げてしまった。
……いくら何でも、音が大きすぎますよマクシム様‼
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