突入、そして 2
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「父様、まだ質問があるの? 僕、退屈になっちゃったよ~」
お父様が十三個目の質問をホルガーにぶつけたとき、エッケハルトが足をぶらぶらさせながら言った。
お父様は弱り顔で頭をかく。
「お金のことだからわからないところはきっちりさせておきたいんだよ。また失敗したくないからねえ。でも、エッケハルトには退屈だったかな。……ホルガーさん、申し訳ないのですが、息子にお邸の中を見せていただいてもよろしいでしょうか。歩き回れば少しは落ち着くと思いますので」
「それならわたしとお母様もついていくわ。エッケハルトを一人にすると、どこに行くかわからないもの。よろしいでしょうか、ホルガーさん。珍しい絵画や壺がちらっと見えたので、よかったら見学させていただけると嬉しいのですが」
ホルガーに断られる前に畳みかけると、彼はにこりと微笑んだ。
「ええ。構いませんよ。ただ、絵や壺には手を触れないようにお願いしますね。知人に借りたものでして……」
この邸は男爵から借りたものなので、汚されたり壊されたりしたら大変なのだろう。
「はい、わたしと母とでエッケハルトが触れないように見張っておきますので」
エッケハルトが「早く早く」と急かすようにわたしの手を引く。
ホルガーに会釈をしてわたしたちがサロンの外に出ると、エッケハルトが無邪気な顔をして「僕、二階が見たいな~」と言って駆けだした。
……なかなか演技が上手よ、エッケハルト!
普段のエッケハルトなら、他人の邸で走り出したりはしない。もちろんこれは、弟の演技である。
だからわたしもお母様も、その演技に乗らなくてはならない。
「待ちなさいエッケハルト! 走ってはダメよ~」
「ごめんなさい、弟のことはわたしたちで見ておりますので!」
サロンの外にいた使用人の男性に、わたしが暗に「ついてこなくて大丈夫ですので」と言うと、期間限定の使用人である彼は困った顔をして笑っただけだった。余計な仕事はしたくないのだろう。わたしたちの行動に興味がなさそうで、非常に助かる。
お母様とわたしがエッケハルトを追いかけて階段を駆け上がる。
エッケハルトはぱたぱたと先を走っていき、壁に飾られている絵を見て歓声を上げてはまた走り出すを繰り返した。
そして、「広いからかくれんぼができそうだね~」と無邪気に言って、わたしたちを撒くように速度を上げる。
これで、隠れたエッケハルトを探すという名目ができた。
……エッケハルト、今日が終わったら美味しいお菓子を買ってあげるわ‼
うちの弟は大変優秀である。
「もう! あの子ったらどこに行ったのかしら? 仕方がないわね。お母様は右から探してくれる? わたしは左から探すわ」
「ええ、見つけたら教えてちょうだいね」
階段を上って二階に到着すると、わたしとお母様は二手に分かれる。
魔法が得意でないお母様とエッケハルトには、お父様が作った護身用の小型魔道具を持たせてあるので、万が一何かが起こっても大丈夫だ。
……さーて、証拠を探すわよ!
あまり長い時間うろうろしていたら、不審がられてしまうかもしれない。
わたしは「エッケハルトー」と弟の名前を呼びながら、突き当りの部屋の扉を開けた。
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