腰痛には湿布薬ですね 1
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「マルガレーテ、これ、すっごくいいよ! すーっとしてひんやりするのが、特に気持ちがいいねえ!」
仕事から帰って湿布薬の試作品を作り続けること二十日。
遂に完成した試作品をお父様に使ってみてもらったところ、大好評をいただいた。
ここのところずっと猫の手を作っているお父様は腰だけではなく肩こりにも悩まされていたため、湿布が大変お気に召したらしい。
……ただ難点は、これ、ポーション作りの応用で聖魔法まで使っちゃったから、お父様では作れないってことなのよねえ。
本当は材料を混ぜ合わせるだけにしたかったのだが、それだとあまり効きがよくなかったのだ。効かないものは売れないだろうと、聖魔法を使用してきちんと効果のある湿布薬を作ったのである。
……ポーションじゃないから、普通の商会で売るのもセーフだと思いたい。
ポーションは、販売先が国で決められている。医療機関以外には販売できないのだ。だから伯父もポーションの販売には手が出せない。
……湿布薬製造のために使った聖魔法はちょっとだけだし、ポーションじゃないから、いいよね? 大丈夫だよね? だってポーションは「飲むもの」って決まってるもんね。これは飲むものじゃないもんね。限りなく黒に近いけどグレーだよね? グレーは、セーフだよね?
と自分に言い聞かせたものの、わたしは小心者なので、上司に確認が必要だと判断した。
その前に、今日はミヒャエラさんと騎士団の訓練場に待機する日だから、湿布薬を持参して使ってみる予定だ。お父様に好評でも他の人はそうではないかもしれないから。
「あ、お父様、猫の手のことだけど、売れ行きがいいから伯父様が量産体制を整えるそうよ。今度作り方を教えるためにお父様に来てほしいって言ってたわ」
「ぅ……義兄さんが……」
借金を作って伯父様に怒られたお父様は、いまだに伯父様に会うのが怖いらしい。
「お母様にも一緒に行ってもらったら?」
「うん、そうするよ……」
一人で行くのは怖いけど、なんだかんだと伯父様は妹である母に弱いので、お母様がついて行けば父の恐怖も多少やわらぐはずだ。
……よっぽどこっぴどく怒られたのね、お父様。
爵位はお父様の方が上のはずなのだが、妻の兄には頭が上がらないようだ。
しょんぼりしているお父様に手を振って玄関へ向かうと、ぱたぱたとエッケハルトが走って来た。
「姉様、いってらっしゃい~」
「行ってきます、エッケハルト。あら、濡れているけどどうかしたの?」
「母様の洗濯を手伝ってきたんだよ」
「あら、偉いのね」
お母様は慣れないながらも家事を頑張っている。前世の記憶持ちのわたしと違い、純粋培養のお嬢様であるお母様は大変だろうけど、嫌な顔一つしない。いつもにこにこしている。
……そう言えば、手荒れがひどいって言ってたわよね。
湿布薬も完成したし、今度はハンドクリームだろうか。
お父様の肩こりと腰痛対策をしてお母様の手荒れ対策を放置したらお母様が拗ねそうなので、今度はハンドクリームを作ることにした。ハンドクリームなら聖魔法を使わなくても作れるだろう。
「お手伝いをする優しいエッケハルトには、来週、給料が入ったらお菓子を買ってあげるわ」
「ありがとう姉様!」
うんうん、借金地獄のこの状況でもにこにこと笑ってくれるエッケハルトは本当に偉くていい子だわ。
……借金を作った当の本人も常ににこにこしているのは謎だけど、暗いよりはましでしょうし。
うちの家族って結局、どんな状況でも変わらないんだなあと思いながら、わたしは湿布薬を鞄に入れて家を出た。
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