43/43
43
目の前に、細い竜巻が起こって
それが呼吸をしていて
震えながら、少しずつ少しずつ
大きくなっていった
私は、妹に
「逃げよう!」と叫び
彼女の腕を引いたのだ
だが、彼女はびくともしなかった/
人生におけるありふれた矛盾の触り心地というのは、たとえるなら
かくれんぼしたのに
鬼から諦められ
仕方なく
「ここだよお」
と自らノコノコ出ていくしかない
子供のような感触だ/
水揚げされたばかりの絶望が
刺身になって食される
あれは鮮度が肝要である/
窓は締め切った
何度も何度も確認した
それでも、どこからか風が入ってきて
用もないだろうに、家じゅうを物色していった/
トビウオのように疾走し
やがて
人のように走るのを諦める




