11 銀玉
950回転回せば時短モードに入る遊タイムと言っておよそ370回転の間は電サポ(持ち玉を減らさず回転させられるシステム)があり当たりが引きやすくなる大海物語5SPに比べ、大海物語5は謂わば底なしタイプであるからして、ハマる時は3000回転以上回しても大当たりしないこともある。
まあ、この3000回転と言う数値は稀であるが、起こり得る回転数である。
これを回すには、およそ20万円必要、業界的に言えば200kとか5万発以上を溶かすことになるのだが。
ドカーン!
大当たり確率はいずれも表示上1/319と同じであるが、遊タイム付きのSPに比べて底なし、つまりハマる訳だから、大当たりによるトータル出玉は下振れが大きい分だけ上振れも大きいと言う訳だ。それはデータから見てば一目瞭然である。
ドッカーン!
粕谷は筐体手前のパールボタンを四回押下し、アトランティスモード、トレジャーモード、クリスタルモードをへて海モードを選択した。
ちなみに海モードとはなんなのか?
パチンコで言うモードとは、なんら確率が変わる仕掛けではなく液晶画面の背景が変わること、またバイブや画面タッチなどの演出設定にも違いがあることである。
パチンコで言うモードとは、つまり味変みたいなものである。
ナルヘソ!
そしてカスタムと言う設定が変更できる仕組みが今や定番であり、海シリーズではMy海カスタムと名付けられる。
「まずは定番の海モードで、カスタムは魚群100%と告知控えめ」
粕谷は満面の笑みでこれを設定して、確定ボタンとなる矢印ボタン中央の赤ボタンをポチる。
するとマリンちゃんの声で「設定完了!」と答えてくれる。
この声は、まさにこれから大金握りしめて店との金取り合戦に立ち向かうおうとする粕谷の背中を案じてくれる、謂わば火打石なのである。
オッス!
「おりゃおりゃおりゃおりゃ、よっしゃー!」
粕谷は気合を入れ直し「漢」になる。
これじゃ拙者、前田慶次利益ですな。
「負け戦こそ面白いってもんだ!」なんて思っちゃいないけど、この勝負、傾奇いてみせるぜ!」
ふにゃあ?
お札投入口
これは何と言うか、神社にある賽銭箱のようなもの。
かつて遊技で使う銀玉を交換機で替えるには、100円、500円硬貨での投入しかできないシステムであったから、わざわざ両替機まで歩いて行って小銭を作っていたのだが、今や、硬貨では戦えない高価な闘いをパチンカーは強いられている。
時代は硬貨から諭吉や栄一頼みに移ろい、それはそれは高価な土俵入りを示唆している。
かつては100円玉、500円玉入れたら「ジャラジャラ」と球を借りられた訳だが、まぁ、お札投入には変わっているが、相変わらず500円単位で「ジャラジャラ」っと球を借りている訳だから、「高価な土俵」との表現は訂正しておこう。
「では敢えて言おう。銀玉は借りているんです」
ここがミソ。
銀球は借りるのだ。
銀球は取引きの媒体。
謂わば仮想通貨のようなもの。
銀球は持ち帰れない。
狭義な意味では、銀玉を持ち帰られたのでは、店は商売あがったりだ。
いや、本質はそう言う事ではない。
銀球を購入したら売買であり、銀玉を取りっこした結果、店のカウンターで景品交換ならぬ銀玉の売買となれば、パチはまごう事なき博打として扱われてしまうと言う事なのだ。
ウォー!
そうでないにしろ、パチンカーがお札にお礼してお札の如く願掛ける言葉遊びのような現代パチンコの在り方は、その点においてもやはり「遊技でなくて賭博」と言わざる得ない領域ではないだろうか。
ドドン!
さあ、能書はこれくらいにして「勝負の大海」へと飛び込むとしよう。
カイジ風な言い回しは、賭け勝負には馴染みがあるな。
ドンドドン!
ここからはマリン、ワリン、ウリンにクジラッキーのワンダフルなプラ海の世界への旅立ちだ!
なんてね。




