エピローグ
……………………
──エピローグ
あの邪神討伐から5年が過ぎた。
今やドーフェルは温泉の街として定評ある観光地となった。
毎年、観光シーズンになると大勢の観光客がドーフェルを訪れる。
観光シーズンになるとどこも大忙しだ。
商店街も、市場も、食堂も、宿泊施設も、冒険者ギルドも仕事でいっぱいになる。
「相変わらずこの季節は忙しいものだ」
私自身はさして忙しい様子を見せることもなく、ディアちゃんのお店でお茶を味わっていた。実際のところ、私は事実上のニートに逆戻りしたため、そこまで忙しくないのである。魔王様は働かないのです。
「本当に大忙しだよ。シュペー君は店番お願い。シェア君は薬草採取に行ってきて」
ディアちゃんのお店ではゴーレムの数も増えて、今日も観光客を相手にハーブ石鹸などを販売している。この時期になると冒険者の活動も活発化するので、ポーションの類も大量に陳列しなければならない。
「ディア。店の方は大丈夫か?」
「大丈夫ですよ、ジーク。問題なしです」
そうそう、ディアちゃんとジークさんは結婚しました。
順調に好感度も稼いでいたし、驚くことではないです。しかし、結局何がトリガーになって、ジークさんルートになるのかは分からなかったな……。まあ、それでもジークさんとディアちゃんは上手くやっているので文句はないです。
「陛下! ここにおられましたか!」
「陛下はやめろといったはずだぞ、エーレン」
ジークさんに続いてエーレンフリート君改めエーレンがお店に入ってくるのに、私はちょっと凄んでそう告げた。
「は、はい、ルドヴィカ」
「それでいい」
私もエーレンと結婚しましたー!
わー! どんどんぱふぱふ!
エーレンには私の初めてを取られたわけだし、責任は取ってもらわないとね。
ちなみにオットー君とミーナちゃんも結婚しました。
残されているのはジルケさんのみ……。ジルケさんも最近では貴族の晩餐会でお相手を探しているそうな。頑張れ、ジルケさん。
「それで、何の用事だ、エーレン?」
「はっ。また魔王を名乗る魔物が出没したそうであります。いかがしましょう」
魔王かー。
もう他の人が魔王やりたいなら、やらせておいていいのだが。
私自身、もう魔王としての地位に興味の欠片もないし、魔王を名乗っても従ってくれるのは四天王と人狼たちだけだし。
「ならば、葬り去ってくれよう。この私こそ真の魔王であることを思い知らせてやる」
とは言えど、魔王軍なんてものが再び結集して、私たちの平穏を脅かされても困るし、ここはひとつやってやりますか。
「あっ。ルドヴィカちゃん、お出かけ? お弁当いる?」
「そうだな。弁当を作ってから出発することにしよう」
世界はまだまだ物騒かもしれないけれど、このドーフェルの街は平和です。
全ての人々に幸あれ!
……………………
本作品はこれて完結です! これまでお付き合いいただきありがとうございました!
明日10月5日より新連載など始めますのでよかったらご覧ください。
それでは!




