第41話:暴食の格闘王―グラトニーオブバトルマスター―その12
ツルギ周辺の闘いはツルギの圧倒であった。
狂気に囚われているとはいえ、参加している人間たちはそれ相応の腕前を有した戦士や強豪ばかり。
無論、まともにやり合えば如何なツルギと云えども勝ち目のない相手もそれなりにいた。
だが狂気に呑まれている人間相手に後れを取る程、ツルギもまた弱くはない。
精製・出現した大型の鎖鎌と素早い身体能力を活かし、相手を瞬く間に翻弄していく。
時には鎖分銅を飛ばして相手の腕などに絡ませ、彼らを活かした周囲を攻撃などで相手を一歩も寄せ付けない様に立ち回っていく。
アナウンサーの声:
『凄いぞあのニンジャボーイ!!巧みな動きで並居る戦士たちを翻弄していくー!!!!まさしくワッザマエ!!!!』
観客の声:
『ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!』
アナウンサーの声に呼応する様に観客も大いに沸いた。
ツルギの闘い方は戦士を倒してはいるが誰も死なせず、あくまで行く手を阻む者だけをノックアウトに留めるという不殺の闘い方をしていた。
場合によっては不満や不評の声も上がる可能性もあると思ったがツルギの軽やかな翻弄戦法がかえって彼らの注目を買い、それが人気へと繋がっていった様だ。
有象無象といったいっぱしの戦士たちではツルギの相手にはならず、ツルギに闘いを挑んだ者は皆、リングアウトしていく。
ツルギ:
「会場が平べったい土だけの舞台じゃなくて助かった――――そうでないと延々と戦わされる所だった・・・」
ふとツルギは視線をとある人物の方へと向ける。
視線の先にいるのは先ほどツルギと会話をしていたトリガーだ。
トリガーの武装は大型の二丁拳銃。
拳銃の銃身には一体化したブレードが付いたいわゆるガンブレードと呼べれる代物の大きさの銃剣と云える。
彼の戦闘スタイルは銃と刀に格闘術を組み合わせた近接戦闘術。
彼もまた殺傷はせず、相手の武器などを破壊するなどして場外へと叩き出すスタンスを取っていた。
時折、斬撃や銃撃を行っているがあくまで相手の牽制程度に留めているなどツルギと同じく相手を殺さない方向で戦っている。
お互いに敵となっている戦士たちを蹴散らせながら背中を合わせる。
トリガー:
「やるな。相手を殺さずに戦闘不能にして場外に叩き出すとは」
ツルギ:
「そっちこそその大型な獲物で誰一人も殺さないなんて」
トリガー:
「率直に言えばザコを殺しても楽しくないって所さ」
ツルギ:
「――――そうですか」
トリガー:
「まあ、半分冗談だが―――狂化されている連中に無駄な体力を割きたくないってのが理由さ」
笑う男:
「ここでお会いするのは初めてですね。“笑う男”と申し上げます。皆さまに一つお伺いさせていただくことがございます。皆さまは心の底から笑うことはございましたかな?その時はどのような時でしたか?そしてそんな時、アナタ様はどのような表情で笑っているのでしょうねぇ(仮面の奥の顔は特に変わらず)」




