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episode 12
かつての僕と同じ表情をする彼女を気にせずには居られなかった。
ピンと張り詰めた表情で擦りきれる前の糸脆くなっている意思はギリギリ…
……というよりももう、壊れてしまっていた。
『ヒューヒュー』
苦しそうな呼吸音を彼女が繰り返す度、もう苦しんでほしくない。と何度も願う。
それは僕のエゴなのかそれとも、単なる医者としての使命からなのか。
僕には分からなかった。
呼吸音が、先程よりも苦しそうになったとき、彼女の背中に手を当ててさする。
「吸って、吐いて。」
明確に、呼吸が先程と比較すると乱れてきたのがはっきりと分かる。
対症療法的だがそれ以上の方法が思い付かず、そうした。
どうか、彼女の心が少しでも軽くなりますように。
そう願って。
だが、そんな安っぽい願いは直ぐ消えた。
”3階の個室の患者が飛び降りた。”
そんな騒ぎの中僕は出勤した。
”橘先生、上手くやっていたのに。”
そんな慰めの言葉もあちこちから聞こえたが、僕は僕自身が許せなかった。
幸い、花壇に落ち打撲程度で済んだが、再び”そのようなこと”がないよう、自傷行為に走ってしまう患者同様の措置がとられることとなった。
病室で眠る彼女を巡回した際、出血を伴う程度の怪我をしていたが最悪の事態は免れた。
鎮静が効いており、会話はできなかったが僕ではダメだと思ってしまった。




