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第五話 拒否反応
神。
そんなものは存在しないと、思っていた。
心の底から。
小5の時のことだ。
あの悲劇が日本を襲った。
西暦3542年度首都直下地震。
その地震には、名前がついた。
ついてしまったのだ。
死傷者数?
知らない。
見ていないから。
どうでもよかったから。
あの日、俺の知り合いは全てこの世から去った。
その中には、信心深いやつも善人もいた。
救われても良いはずだった。
だが、1人残らず死んだ。
神がいるなら、せめて一彼らと緒に死にたかった。
新しい小学校で6年生に上がった頃には確信していた。
神なんていない、と。
しかし、その説を支持するとしたら、目の前のオオカミに説明がつかない。もしこれが神なら殺さずに俺を救ってくれ。
神じゃないなら、止まってくれ。
……バカだな。
あの日から5年以上、自殺願望を抱き続けてきたんだろ。
今更「生」すがりつこうとしてどうするんだよ。
また血を吐いた。
目の前にある血だまりはかなり大きくなっていた。
いつの間にか右足が勝手に少し上がっている。
しかし、貧血なのか恐怖なのか違う原因があるのか、それ以上動くことはなかった。
そうだよ。
俺は死ぬんだよ。
全身から力を抜き、ゆっくりと目を閉じた。




