第11話 Dangerous
「……あ」
静寂の中、俺の口から乾いた声が漏れた。
腕の中では、日本の至宝とまで呼ばれる天才探索者が、見たこともないような顔をしてフリーズしている。
そんな奇跡的な、あるいは絶望的な光景を前にして、俺の脳裏をよぎったのは「勝利の余韻」ではなかった。
「……鉄平。ドローン、回してたか?」
俺の問いかけに、呆然と立っていた鉄平が、弾かれたように手元のコントローラーを見た。
そして、みるみるうちに顔を青くした。
「……いや、奏。お前が『シャモン!』とか言って突っ込んだ衝撃で、俺のドローンは地面に激突してレンズ割れてる。……奏のドローンも氷室さんの魔力障壁に弾かれて全部『おじゃん』だ」
「………………」
俺は、天を仰いだ。
MPは空。そして目の前には、無惨にも地面に転がり、レンズが粉々に砕け散った俺の愛機たち……。
命を懸けて日本のトップを『Bad』に制圧し、歴史的なハグまでかましたというのに、カメラが!1台も!回っていない!!
「何よ……。何よ今の、バカにしてるの……!?」
腕の中の氷室冴香がようやく再起動したらしい。
屈辱で瞳を潤ませながら、俺の胸元を拳でポカポカ(実際にはドカドカと、骨がきしみそうな威力)と叩いてくる。
「私の完璧な計算を台無しにして、……あんな恥ずかしい独り言を世界に晒した男が、どうしてこんな……っ。責任取りなさいよ、この……変態!!」
「痛い痛い! 待て、独り言はライブ配信の事故なんだって! 責任って何だ、俺はただ平穏に暮らしたいだけの枯れたおっさん――」
「おっさん……? あなた、やっぱり何か隠して……。いいわ、逃がさない。あなたのその『音楽』の正体、私のギルド《隣》で骨の髄まで暴いてあげる!」
氷室冴香の瞳に、攻略対象を絶対逃さない「ハンター」の光が宿る。
「奏! 氷室さんの部下たちが、こっちを『殺すぞ』って目で見てるぞ! 逃げるぞ、俺たちの焼肉が待ってる!」
「焼肉じゃなくて、俺の平穏が死にそうだ……!!」
オークの魔石で多少の小銭は稼いだが、壊れたドローンの修理代、そしてこの後に待ち受ける「社会的死」を考えれば、家計簿は真っ赤っかだ。
俺はボロボロの体を引きずり、鉄平と共にダンジョンの出口へと猛ダッシュした。
背後からは、冷気を纏った「氷の女王」の、聞いたこともないような叫び声が追いかけてくる。
「成瀬奏!! 明日の朝、ギルドの迎えを出すから首を洗って待ってなさい!!」
(……妹よ。お前の千円、ポーションじゃなくて、俺の『香典』になるかもしれん……)
おっさんの第二の人生。
『Bad』なスタートどころか、もはや世界で最も危険な『Dangerous』な領域へと突入していた。
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現時点のステータス
(19歳)7/7誕生日
成瀬奏ステータス
ベース:Lv.5
スキル:Lv.4
HP:88 (+6)
ポーションで腹をやられたせい。本人も「当たったら死ぬし」と諦めた数値。
MP:900 (+300)
ソロ修行とポーション中毒で体が馴染んだ?
STR:10(+2)
一般成人男性の平均まであと少し。
VIT:9 (+3)
ポーションの飲み過ぎで胃腸がイマイチ。
AGI:22 (+5)
がんばってメタル〇ライムを超えたい。
INT:55 (+5)
スキルを使ってから調子がいい。
LUK:1 (0)
不動。 運命は彼に「平穏」という文字を見せない。
保有スキル
固有スキル:召喚 lv.3
※MPが枯渇し0になると変身が解ける。
MP10%を下回ると倦怠感・吐き気。
現在解放済み:『Billie Jean』
Lv.2で開放:『Bad』(New)
Lv.3で開放:
固有スキルレベルが上がると楽曲・レジェンドを開放できる。
特殊補正:プロデューサー・アイ(New)
ドローン操作時、視界が広角化し、最も「映える」アングルを直感的に察知できる。
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影山鉄平ステータス
18歳:誕生日10/10
ベース:Lv.6
スキル:Lv.5
HP: 330(+30)
演出の火薬が直撃しても「いい湯だった」で済ませそうな勢い。
MP:35(+2)
やっと平均並み。本人的にも「考えるだけ無駄」と悟る。
STR:33(+3)
ムチムチになって服を買い替えた。
VIT:46(+5)
もはや鎧は「おしゃれ」で着ている。
AGI:15(+1)
鈍重に見えて、突進の初速だけは獲物を逃さないラグビー仕込みの鋭さ。
INT:8(+0)
複雑な戦術を奏に丸投げした結果、思考が「突撃」と「飯」の二択に収束。
LUK:25(+4)
奏がトラブルを引き寄せ、彼がそれを粉砕してドロップ品をかっさらう黄金パターンで運気上昇。
保有スキル:
1:【重撃】Lv.4
単純明快な一撃粉砕技。
奏のリズムと同期すると、威力が倍増(1.3倍)する「シンクロ・スマッシュ」に変化する。
2:【不屈の咆哮】Lv.1
敵のヘイトを稼ぐ。
奏とのパーティーでは役に立ちにくい。
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※自衛隊・警察を抜けば日本では有数の探索者。
氷室 冴香
年齢:21歳:誕生日11/1
戦闘スタイル:魔法戦士。
ベース:Lv.14
スキル:Lv.10(水魔法・細剣術 共に極めて高い)
【ステータス】
HP:300
優秀。鉄平(LV3)とほぼ同等。前衛として十分なタフネス。
MP:380
魔導師級。奏の初期値を上回る。精密な魔法制御を支える膨大なリザーブ。
STR:24
鉄平Lv1並み。細剣で急所を確実に貫く筋力。
VIT:22
軽装備で回避重視。身のこなしと魔力膜で耐える強さ。
AGI:28
彼女の真骨頂。 水流のような滑らかな連撃と回避。
INT:50
魔法戦士の要。戦況を即座に読み、多種多様な魔法を使い分ける。
LUK:15
運に頼らず、全てを計算と実力でねじ伏せる数値。
魔法:水魔法
【攻撃系・変幻自在の殺傷力】
・物理的圧力(高圧魔法)
1:ウォーターカッター:水を高圧で極細の線として射出し、鋼鉄すら切断する。
2:激流:大量の水を叩きつけ、打撃ダメージと押し流し(ノックバック)を狙う。
・相転移(氷結魔法)
1:アイスランス:水を瞬時に凍らせて鋭利な槍とし、貫通力を高める。
2:内部凍結:相手の体内の水分を凍らせ、細胞レベルで破壊する(非常に強力かつ残酷な魔法)。
【補助魔法・戦場支配と生存力】
・妨害・弱体化
1:足止め(バインド):相手の足元を泥濘化させる、あるいは水分を絡みつかせて重圧を与え、機動力を奪う。
2:視界遮断:濃霧を発生させ、敵の命中率を大幅に下げる。
3:酸欠:敵の頭部を水の球体で包み込み、呼吸を封じる。
【防御・回復】
1:水鏡の盾:水の膜を張り、衝撃を分散・吸収する。また、レーザー系の攻撃を屈折させて逸らす設定も多い。
2:治癒:聖属性ほど劇的ではなくとも、細胞に水分を行き渡らせ、止血や火傷の冷却、毒の洗浄を行う。
武器の親和性:彼女は魔法戦士ですので、「水を通しやすい特殊合金の細剣」などを愛用。
※剣先から直接ウォーターカッターを放ったり、剣を振るう軌道に沿ってアイスランスを生成するスタイル。




