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バグ検証実況者、VRMMOのバグを検証していたら隠し職業《システムブレイカー》になりました  作者: もりのなか


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第32話:サーバー再構築

 1.4万人の共犯者と「神の権限」


 セントラル・ゲートの広場は、もはや現実離れした光景に包まれていた。膝をつき、ノイズを撒き散らす白銀のGMゲームマスターユニット。その目の前で、カイトは手に入れたばかりの『サーバー管理パネル(限定試作版)』を空中に展開していた。半透明のパネルには、通常プレイヤーには決して見えない、世界の裏側を流れる「生」のデータが滝のように流れている。同時接続者数は、ついに大台の4万人を突破した。


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【検証】最新VRMMO『EFO』にバグがあるか調べてみた【2日目・深夜】 同接数:40,245人


[名無しさん1]: 画面が情報量で埋まってて何も見えねえwww

[名無しさん2]: 「なにこれ」。本物のデバッグ画面じゃん。

[名無しさん3]: 運営、マジで権限取られたのかよ……。

[名無しさん4]: カイト、それ触ったら最後、二度と戻れないぞ!

[名無しさん1]: 「歴史の目撃者」。同接4万とか日本の人口の何割だこれ。

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「みんな、落ち着いて。……これ、今の僕なら、この街の『重力設定』や『物理演算のサンプリングレート』さえ自由にいじれるみたいだ」


 カイトは興奮を抑えながら、パネルの項目をスキャンしていく。ユニーク職業『システム・ブレイカー』の能力が、管理パネルの不可解なコマンドを瞬時に「悪用可能な仕様」として翻訳していくのだ。


「でも、ただ地形を変えるだけじゃ面白くない。……第4章のテーマを決めよう。『プレイヤー最強化』。……運営さんがパッチで封じようとした僕の自由を、このパネルを使って『仕様』として永続化させてみるよ」



 2.バグ11:無限バフスタックの再定義


「このゲームのバフ(強化)システムには、本来、同一効果の重複を避けるための『排他処理』が入っている」


 カイトはパネル上の『演算優先順位』という項目を操作し始めた。「でも、今の僕ならこの『排他フラグ』を一時的に無効化できる。……見てて。今から、僕自身に『速度上昇』のスキルをかけてみる」


 カイトが低級の速度上昇スキルを発動する。通常なら効果時間は30秒、2度目を使っても時間は上書きされるだけだ。しかし、カイトが管理パネルで『処理遅延ラグ』を意図的に発生させると、スキルの終了処理がサーバーに届かなくなった。


「ここで、管理パネルからバフの『持続時間変数をマイナス』に書き換える。すると、符号が反転して……」


【通知:速度上昇バグスタックが永続化されました】

【警告:移動速度が通常の1500%を突破しました】


 カイトが軽く一歩踏み出した瞬間、彼の姿は広場から消え、一瞬で街の反対側の壁に到達していた。あまりの速度に、物理演算が追いつかず、背後の石畳がバグ18(ワープバグ)に近い形で粉砕される。


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[名無しさん2]: 速すぎてフレームが飛んだwww

[名無しさん1]: 「数値おかしい」!! 1500%って自由落下より速いだろ!

[名無しさん3]: これもうゲームじゃない、ただのバグの塊だ。

[名無しさん4]: 運営、見てるか? お前らの権限で世界がリフォームされてるぞwww

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 3.運営の絶望:黒崎シュンの悲鳴


 ネクサスゲームズ監視ルーム。全ての予備サーバーが「異常な演算負荷」で赤く点滅し、空調の音が悲鳴のように鳴り響いていた。


「またあいつか……ッ!!」


 チーフプログラマーの黒崎シュンは、自身の頭を抱えて叫んだ。「奴は、管理パネルを使って『バフの消去スタック』を無限ループさせている! 修正しようにも、奴が管理権限を握っているせいで、こちらのパッチコードが『下位権限』として弾かれるんだぞ!」


「シュンさん、もう手が出せません……!」

 白石ミユが、震える指でカイトの配信画面を指差す。「SNSでは『#カイト神降臨』がトレンド1位です。運営の無策を笑う声が、30,000,000人のプレイヤーに広がっています」


 開発ディレクターの神代レイジは、椅子に深く腰掛け、モニターに映る「再構築される世界」を静かに見つめていた。「……彼は、ゲームを壊しているのではない。我々がAIに任せきりにしていた『世界の定義』を、一人のプレイヤーとして再定義リフォームしているんだ」


「悠長なことを言っている場合ですか、神代さん! 奴は今、地形データそのものを書き換えようとしていますよ!」



 4.「世界のリフォーム」開始


 ゲーム内。カイトは空中に浮かんだまま、管理パネルの『広域地形編集モード』を起動させていた。


「さて。セントラル・ゲートのこの広場、配信の背景としては少し地味だよね。……少し、変えてみようか」


 カイトがパネル上で指を滑らせると、広場の中央から巨大なクリスタルの塔が突き出し、石畳が黄金の回路図のような模様に書き換わっていく。本来なら数ヶ月の大型アップデートで実装されるはずの『魔導大陸』のテクスチャが、カイトの意志一つで初期エリアに上書きされていくのだ。


「検証成功。管理パネルを『システム・ブレイカー』の視認能力と組み合わせることで、本来は不可侵なはずのサーバー・サイドの地形データも、リアルタイムで再構築リフォームできる」


 カイトは膝をついたままのGMアバターを見下ろし、不敵に笑った。

「運営さん。君たちが『完全』だと信じていたこの世界は、今、僕の指先一つで書き換わった。……これ、『運営公認の仕様』ってことで、配信を続けさせてもらうよ」


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[名無しさん1]: 街が神殿になったんだがwww

[名無しさん2]: 「検証ガチすぎ」。もはやクリエイティブモードだろ。

[名無しさん3]: 同接45,000突破! 世界一の配信者になったな。

[名無しさん1]: 「伝説回確定」。ここからカイトの『建国』が始まるのか?

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「さて、共犯者のみんな。……無限のバフと、地形操作の力。これを手に入れた僕が、次に向かう場所はどこだと思う?」


 カイトの瞳には、運営が必死に隠してきた『未実装領域』の最深部が、鮮明なバグノイズとして映し出されていた。

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