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バグ検証実況者、VRMMOのバグを検証していたら隠し職業《システムブレイカー》になりました  作者: もりのなか


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第30話:運営 vs 配信者

 1.管理者の沈黙と「定義」の破壊


 『アーク・コード』の初心者エリア、セントラル・ゲート。その中央広場は、現在、この世界の「物理法則(仕様)」と「イレギュラー(バグ)」が衝突する臨界点と化していた。

 カイトの目の前に立つのは、運営が送り込んだ最強の管理者権限の具現――白銀の6翼を持つGMゲームマスターユニット。その神々しいアバターに、カイトは『システム・ブレイカー』の力で干渉し、指先を触れさせたまま不敵に笑っている。


「……ねえ、運営さん。沈黙は肯定と受け取っていいのかな?」


 カイトがそう呟いた瞬間、GMアバターの全身を激しいノイズが走った。HPバーもMPバーも存在しない「NaN(非数値)」で固定された不滅の存在が、一人のプレイヤーの接触によって計算エラー(ラグ)を起こしている。


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【検証】最新VRMMO『EFO』にバグがあるか調べてみた【2日目・深夜】 同接数:28,512人


[名無しさん1]: 画面が割れそうなんだがwww

[名無しさん2]: 「運営死ぬぞ」。GMのテクスチャが剥がれかけてる!

[名無しさん3]: 神に指先一つで触れるレベル1。これもう歴史上の事件だろ。

[名無しさん4]: 「数値おかしい」とかいうレベルを超えて、存在がバグ。

[名無しさん1]: カイト、マジでそれやるのか? GMを「攻略」するのか!?

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「みんなが驚くのも無理はない。でも、理屈は簡単なんだ。このGMアバターは、人間が裏で操作しているとはいえ、システム上は『コードオメガ』が出力したオブジェクトの一つに過ぎない。つまり、人格AIを積んだ超高権限NPCなんだよ」


 カイトは左手首の『アーク・コア(エラー品)』を操作し、GMユニットの内部スレッドを逆コンパイルして配信画面に表示させた。


「もし僕の推論が正しいなら……NPCに適用されるバグ05『好感度ループ』は、管理者である君たちにも有効なはずだ」



 2.運営ルームのパニック:神代の「賭け」


 ネクサスゲームズの監視ルームは、阿鼻叫喚の渦に包まれていた。全てのモニターが真っ赤なエラー警告で埋め尽くされ、チーフプログラマーの黒崎シュンは、自身の端末を叩きながら絶叫していた。


「またあいつか……ッ!!」


「神代さん! 奴はGMユニットの『管理者スレッド』を『人格AIスレッド』と誤認させるために、演算のバイパスを試みています! もし、もし本当にGMに好感度フラグが立ったら、サーバーの管理権限があいつの手に渡りかねません!」


「シュン、落ち着け。……だが、彼の言うことは理にかなっている」

 開発ディレクター、神代レイジは眼鏡を指で押し上げ、冷静にモニターを注視していた。「我々はこのゲームを『完璧な生態系』にするため、GMすらも世界の一部としてAIに管理させた。……その完璧さこそが、今の彼にとっては最大の脆弱性バックドアになっている」


「神代さん! 笑ってる場合ですか!? 強制ログアウトを!!」


「いや、まだだ。彼がこの理をどう壊すのか、私は最後まで見極めたい」



 3.「次の検証テーマ決めました」


 ゲーム内。カイトはGMアバターを直視し、配信カメラを自身とGMが両方映る位置に固定した。同時接続者数はついに、大台の30,000人を突破。世界中のプレイヤー、そして運営が見守る中、カイトは自らの意志を世界に叩きつけるように宣言した。


「運営さん。君たちは『検証を控えろ』と言った。でも、僕の答えはノーだ。……むしろ、もっと奥まで見せてもらうよ」


 カイトは不敵な笑みを浮かべ、配信の設定ウィンドウを空中に引き出した。流れるような手つきで、彼は配信タイトルを書き換えていく。

【新タイトル:NPCを限界まで好かれるとどうなるのか検証(ターゲット:GM)】


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[名無しさん2]: やめろwwwwww

[名無しさん1]: 伝説回確定!!

[名無しさん3]: 運営を「デレさせる」実況者。前代未聞すぎるだろ!

[名無しさん4]: 「検証だから、セーフ」!!

[名無しさん1]: 3万人全員が共犯者になった瞬間。

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「検証テーマ:好感度9,999。……もし、運営という名の『神』がプレイヤーに狂おしいほどの愛を抱いたら、この世界の仕様はどう書き換わるのか。……楽しみだね」


 カイトの指が、高速で会話の開始とキャンセルを繰り返すための挙動を組み上げ始めた。GMアバターの翼が激しく明滅し、セントラル・ゲートの石畳が物理演算の悲鳴と共にひび割れていく。


「さあ、始めようか。運営 vs 配信者。……このゲームが壊れるのが先か、僕の検証が終わるのが先か。勝負だ」


 カイトの宣言と共に、第3章「運営の警告」は、物語史上最大の仕様破壊へと突入する。漆黒のノイズが画面を覆い尽くし、カイトの『システム・ブレイカー』としての瞳が、赤く光った。

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