鳥取県での出来事③
そして、ついに迎えたお昼…
サービス弁当が配達されてきた。
恐る恐る中身を確認すると、発泡スチロールの箱の中に“赤いフェニックスの絵が描かれた真っ赤な弁当箱”が1つ入っていた。
弁当箱に、またも手書きで『メガ盛り』と書かれた紙をテープで貼り付けている。
他の先輩方も、その派手な弁当箱を見たら驚いた様子で、M先輩も上機嫌で大喜びしていた。
M先輩「うわっ!
メッチャ派手な弁当箱やな?
やっぱ本来100円のメガ盛りは迫力が違うわっ!
がははははっ♪」
そう高らかに笑いながら、真っ赤で派手なフェニックス弁当箱のフタを開ける。
すると…
ご飯の弁当箱の中身を見たM先輩の顔色が、一瞬で変わった。
もう、弁当箱に描かれたフェニックスかってぐらい、顔が深紅の赤色に染まっていく。
M先輩「おいっ!!おいっ!!おいぃぃっ!!!
これっ!
また、量が並盛と同じやないかぁぁっ!!?
限界盛りって、一体どこが限界なんじゃぁ!!?
ワシの怒りが限界じゃボケェェッ!!?
どう見ても、ご飯にスペースがメッチャ空いてるやんかぁぁっ!!?
何回頼んでも、弁当箱の色が信号機みたいに変わるだけで、弁当箱のサイズとご飯の量が、どこまでいっても並盛と一緒やんけぇぇっっっ!!!
ワシを馬鹿にしとんかぁぁっっ!!!!!」
ここで、M先輩の怒りがついに大爆発!
まさに怒りのフェニックス状態!
大声で叫びながら、今にも飛び立つのか?
てな勢いで大激怒!
この弁当箱には、人を変化させる魔力でもあるのかと思うほどだった。
そんな馬鹿な?
と誰もが思いつつ、皆で確認する…
またしてもメガ盛りの弁当箱のサイズは、並盛と同じサイズであった。
しかも限界まで盛っていると言っていたのに、弁当箱とご飯の間に並盛と変わらぬスペースが、確かに空いていた。
やはり…
どう見比べても、並盛とご飯の量は同じである。
その光景に、他の先輩方はもう大爆笑!
というか、こんな状況…
もう笑うしかない!
このどこまでも続く並盛サービス精神は、まさに不死鳥!
しかし、M先輩にしたら“1人合計150円の損害”をした事で、その怒りは収まるハズもなく…
M先輩「こんな人を馬鹿にした弁当屋、もう止めじゃあぁぁっっっ!!!
今すぐ弁当止めるように電話せえぇっっ!!!」
口から炎を吐き出すんじゃないかと思うぐらい、大絶叫するM先輩。
確かに…
これはヒド過ぎると、私はサービス弁当にクレームの電話を入れる事に。
………
サービス弁当「ええっ!
そんなハズはないのですが…」
やっぱり、お約束の返事が返って来た。
サービス弁当「では、同じ“プラス50円”で限界盛りを更に更に超えた、“限界突破盛り”の『ギガ盛り』を特別にご用意いたしますが…
いかがでしょうか?」
さすがにこれ以上は付き合いきれないので、キッパリ断る事に。
私「そう言って、また弁当箱の色が変わるだけで、中身は並盛なんでしょ?
更に更に超えてって、お宅はスーパーサイヤ人ですか?
明日から弁当はいらないので、もう配達してこなくて結構です。」
そう言って電話を切った。
ちょっと面白かったけど、こんなヒドイ弁当屋もあるもんやな…
と、話ながら弁当を食べていると、私の携帯が鳴った。
携帯を見ると、サービス弁当からの着信。
仕方なく出てみると…
サービス弁当「この度は誠に申し訳ございませんでした。
私、サービス弁当の代表、大森と申します。」
なんと、サービス弁当の社長からの謝罪の電話だった。
私「ご飯はどれも並盛なのに、社長は大盛なんですね?」
大森「本当に申し訳ございません。
この度はお客様に大変ご迷惑をおかけしました。」
私「ご迷惑どころでないですよ!
ご飯の大盛を頼んだら並盛のオンパレードで、先輩が怒り狂ってますよ?」
大森「それは大変失礼いたしました。
もし、明日からもお弁当をご注文して頂けるのなら…
お詫びに“プラス50円”のインスタント味噌汁を、ずっとサービスでつけさせて頂きますが…
いかがでしょうか?」
私「お宅、プラス50円好きですね?」
大森「恐れ入ります。
もちろん、お湯と入れ物のカップもこちらがご用意させて頂きますので、なにとぞご検討をして頂けないでしょうか?」
私はM先輩に聞いてみると…
M先輩「50円の味噌汁がタダで?
まあ…
それなら、しょうがないなぁ!
頼んだるか…
その代わり、ご飯は並盛にしてくれよ?」
そう言ってきたので、サービス弁当の大森に伝えると…
大森「かしこまりました。
では、並盛弁当5つ、ご注文ありがとうございます。
それとですね…」
私「はい?」
大森「“プラス50円”で…
味噌汁の『大盛』もできますけど…
いかがでしょうか?」
私「まだ続くんかいっ!
もうええわっっ!!!」
終わり…