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昔の記憶

入学初日で同じクラスの成瀬碧《あお》にタイプだって言われてクラスは混乱している。


  「初日でそんな事言うなんて少し礼儀がなってないんじゃないですか?」


私は印象を悪くしたくなかったのでニコッと微笑みながら聞いてみた。

すると碧君は首を傾げながら困った様な表情を浮かべては私に


  「やっぱり覚えてない?」


と苦笑いしながら言ってきたが全くもって覚えが無い。

顔もそこそこカッコ良くて優しそうな雰囲気な人と会ったり関係があったなら忘れる訳が無いので必死に記憶を遡るがやっぱり思い出せない。これは正直に言うかと思い申し訳無い気持ちになりながら


  「ごめんなさい。思い出せなかった‥‥。」


私がそう言うと碧君はアハハと声に出して笑い「こうしたら分かるかな?」なんて呟いては碧君本人のセットしていた髪をぐしゃぐしゃにして鞄からメガネを取り出しかける。そして顔を上げて私の事を「瑠花ちゃん」では無く「東堂さん」と呼び微笑んできた。背も高くなり、声変わりもしていて見た目も大きく変わっていて気が付かなかったが今ハッキリと思い出した。小学生の頃に私がイジメられていたのを助けに来てくれたんだけど逆にボコボコにされていた子だ。同じクラスになったのが1回だったのに覚えていたのかと相手に感心しながらも私の中で一つの疑問が浮かび上がって来た。


  「碧君って”成瀬”だったっけ?」


私の記憶の中には確かに碧君がいたけど「成瀬」では無かった気がした。この記憶が正しいならきっと家庭の都合だろうと思ったが気づいた時には聞いてしまっていた。そんな私に碧君は丁寧に答えてくれた。

碧君が中学生になったタイミングで父親が再婚した事、それに伴い引っ越してしまい中学が同じじゃ無かった事。


  「先生が困ってるからその話後にしてくんない?」


懐かしいと昔話に浸っていると私の横から暗い感じの声が聞こえて来たので見てみるとさっきまでイヤホンをしていたもさお君がこっちを睨み付けてきていた。「ありがとな、橘。」と先生がお礼を言ったので本当に迷惑してたのかと思っては取り敢えず謝罪をし、碧君にも自分の席へと帰ってもらった。


  [このもさお君、橘っていうのか‥‥。]


良い印象を保つ為にも後でお礼言わないとと思いながら再開した自己紹介を聞く事にした。

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