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【完結】刻の檻刀シリーズ②偽りのsânge ー赤き薔薇が示すものー  作者: 慧依琉:えいる


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第33話:これからのこと、作戦会議



〝満流がいる……………。それだけでどんなに心強いか。〟




輝夜は心底そう思ってやっと安心した。


白のクイーンとしての圧倒的な力を持っていたとしても一人では何も出来ないのだと、そして自分がいかに満流を頼りにしているのだということが、今回の事で改めて感じた輝夜だった。




二人が唇を離したあと、輝夜はさっきよりも断然スッキリしているのがわかった。




輝夜は唇をそっと自分の指で触れ、


〝凄い…!こんなにも力がみなぎってくるだなんて…!〟




そして顔を上げて、




「満流、きっとあの副作用を解くのは〝白のキングの口づけ〟だったんだわ。」


「あぁ、お前の手の甲にキスした時、もしかしたらって思ったんだ……………。」


満流は輝夜がまだ少し無理をしているんじゃないかと心配の眼差しで彼女を見つめている。輝夜はじっと見つめてくる満流に対してちょっと恥ずかしいのか、わざと明るく振舞ってみた。




「ほら。私、今のキスで更に体力も戻って来てる…。」






そんな輝夜を見てやっといつもの彼女だと安心した満流はニッと笑った。ずっと気持ちが張り詰めていたのだろう。やっと普段の彼に戻っていく。




「はぁー、どんな仕組みだよ。ほんと、あの創造主め。」


「ふふっ、創造主が決めたわけじゃないんでしょ?キングがクイーンに力を与えるって言ってたアレじゃない?あ、そうしたら満流の力って減ってたり…?」




輝夜は恐る恐る聞いてみた。自分のせいで満流の体力諸々を奪っているのならと思ったからだ。




「いや、全然。…そっか。俺、輝夜のためのパワー増強装置みたいなもんだんだ。ちゃんとお前の役に立ててたんだ。」



そう言って満流は自分の手を見つめた。



「俺、この力しかないって悩んでいたけど、この力があって本当に良かった。」


そう言って輝夜を見て笑った。


彼の笑顔にはもう不安の影は残っておらず、自信に満ち溢れていた。輝夜はそんな彼を見て安心した。




「もう、満流ってば、何言ってんの?私、満流がいてくれるだけで百人力よ?」




そう言って輝夜は満流を抱きしめた。輝夜に抱きしめられたまま満流は


「ふはっ!それは嬉しいな!」




二人は久しぶりに心から安心して笑っていた。




だが体力も戻った輝夜たちはゆっくりしているわけにもいかなかった。すぐに気持ちを切り替えて、


「じゃあ、作戦会議といきますか。まずは…。」


そう言って輝夜はまたドアに向けて結界を張った。今度は以前よりも強力な結界だ。満流によってパワーが増しているからだ。




「ふぅ、これで集中出来るわね。」


「ところでどういう状況だったんだ?」


満流が尋ねてきたので、輝夜は隠さずに全部話した。話をしている途中で満流の表情はみるみるうちに変わっていった。




「アイツ~~~~~!ほんと、許せん!」


「私もね、油断しちゃったのよね。」








輝夜は自分の力を過信していたことを正直に話した。だが、満流はそれでも抵抗出来ない輝夜を心配しつつ敵に対して怒っていた。そして大きく息を吐いて




「とにかく、その聖痕が原因か。消すことは出来ないか…。」


「多分、消したとしてコレって自然と現れたんだからまた現れる可能性もあるしね。」


「ふぅ~~~」


そう大きくため息を吐いて満流はベッドにゴロンと横になった。



その様子を見て、いくら輝夜が強力な結界を張ったからと言って敵地内なのにそんなにリラックスしてていいのだろうか……………。そう思いつつ、満流らしいな、と輝夜は思った。






「アイツらにとって救世主だって言ったんだ?それって人間化するってことはないのかな?」




満流がふと忘れていたことを思い出したように言い出した。




「………………!そう言えば、かおりさんは人間化したのよね。」


「ああ、アイツの場合吸血されてから間もなかったからかな。」


「そうよね、一度の私の血で人間化出来たのだし。」


「きっとあの陛下って奴は長く吸血族してるだろうから、この数日分だけじゃ効果なんてないんじゃないか?」


「私だって効果を狙ってたわけじゃないけど…。なればいいなとは思ったわよ?」


「それにしても、面倒なことになったな……………。それ、消せないし。」






満流は思い出したかのように輝夜に言う。


「そうだ。ここにビジョン作り出せるか?」


「ビジョン?出せるけど、媒体は?」


「ほら。」


そう言って満流は悠一に渡した念珠と同じものを手に持って輝夜に見せた。


輝夜がその念珠を手に取ってふっと息を吹きかけると目の前にテレビのような画面が現れた。


ザザッ……………。と映像を繋ぐかのような砂の嵐が映った。


そのままジッと待っていると悠一が映った。どうやら山の中で何かが起こるまでそこで待機しているようだ。






「悠一!」


思わず満流がそう声をかけると、画面の向こうで彼はまわりをキョロキョロしだした。




〝─────聞こえてる!〟


すると彼の前にも同じような画面が現れて、そこには満流と輝夜が映っていた。




「満流、それに輝夜さん!無事だったんですね。よかった……………。」




悠一は二人が無事な様子を見て取り敢えず安心した。そして




「僕も加勢に行きます。場所はわかりますか?」




悠一はそう言って唾をゴクリと呑んだ。




「あー……………。それがだな、洞窟ってことしかわからないんだ。」


「洞窟……………!それだけですか?この広い山の中で洞窟だなんてどれだけあるかわからないし、どこにあるのかすらもわからない…。他に情報は?」


「ん?てか、これ…。」




そう言って満流は念珠を見せた。悠一は自分の念珠を確かめた。




「ああ、同じのを作った。」


「………………。満流さんとおソロなんですか……………。」


「は?今、そんな事言ってる場合じゃないだろ?もう、変な事言うから肝心な事言い忘れちまうじゃないか。」




満流は呆れてやれやれと言った仕草をして小さく息を吐き


「これとそれが繋がるんだ。輝夜、二つの念珠を繋げて位置情報を悠一に送ってくれないか?」




満流は輝夜の方に向かってそう言った。


「………………。ねぇ。満流。」


「………………ん?」


「あんた、私のこと便利屋か何かだと思ってたりしないわよね?」


「………………。あれ?出来ないっけ?」


「普通はね!」


「お前なら出来るって。」




〝なにを根拠に…〟そう思いながらも輝夜は大きく息を吐いて満流の念珠を再び手に持ち、自分の額に近付けて瞳を閉じて念珠に〝気〟を集中させた。


すると念珠はポォッと光り、目の前の画面へと光を繋いだ。画面を見ていると悠一の方の念珠へとその光は糸のように繋がっていた。

そして輝夜が念珠を持ったまま画面へと向けると今度は地図が浮かび上がり、二人の今の位置情報が表示された。




それを見て悠一は


「ここから少し北東へ上っていけばいいようですね……………。」




という反応を見せた。




「なあ、輝夜。この位置情報はずっと表示させれるのか?」


「念珠がWi-Fiの役目をしてると思ってくれていいわ。スマホに情報を移したから。」


「なるほど。山の中だからスマホは使えないけど、念珠がWi-Fi変わりなら地図をずっと見ていられるってわけですね。しかもスマホへ移したということは、この画面を出している方がずっと接続させてるから輝夜さんの体力が消耗するというところですね。わかりました。このあとはこのスマホの情報を確認します。」


輝夜は悠一の理解が早くて助かったと思った。




「それから、悠一くん。場所がわかったわけだし、私も満流がいてくれるから大丈夫だから、来るなら狛ちゃんたちと一緒に来て。あなたが入ってしまうと外への連絡が出来なくなるし、こちらは大勢いるから念のため彼等にも協力してもらうのがいいと思うの。私達も出来るだけ自力で脱出するようにするから。」




輝夜がそう言うと悠一は




「わかりました。ではケンとダナにも来てもらうよう段取り付けてきます。お二人とも気をつけて。」


「ええ。お願いするわ。」


満流はそばで見ていて輝夜はただ脱出を考えてるだけではなく、ここを殲滅出来るのならするつもりだと感じた。そうすると向こうもきっと全力でくるだろう。総勢どれだけいるのかわからないからこっちも出来るだけ大勢で対応する方が無難だということだ。


創造主の元で手に入れた力を使う時が近付いている……………満流はそう感じていた。







ご覧下さりありがとうございます。とうとう悠一とも連絡が取れてお互いに安心したことでしょう。これから先、ロワール達との戦いに発展していくのか……………。

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