第27話:輝夜救出の為に!作戦会議
それから輝夜が意識を取り戻したのは半日後だった。
いくら輝夜であっても身体が元に戻らない間に血を吸われると回復にかなり時間を要するようになっていた。
〝……………。あぁ…あのあと意識を失っていたのね……………。どれくらい眠っていたのかしら……………。〟
輝夜は起き上がろうとするが〝くらっ〟として手に力も入らない状態だった。
〝おかしいわ……………。一度目の吸血の時は自己治癒が速く感じたのに今回はどうしてこんなにも遅いのかしら……………。吸われた量?アイツ……………。今度会ったらただじゃおかないんだから!……………って、身体回復してないとどうにも出来ないんだったわ……………。はぁ。どうしよう……………。満流、きっと心配してるだろうなぁ……………。ここ、結界張ってるから居場所を連絡しようにも出来なさそうだし……………。〟
輝夜は焦りつつも今は身動きが取れない実情をよく理解しているから比較的落ち着いていた。
〝まさかまた8時間しか持たないとか言って無理やり……………。〟
輝夜はゾッツとした。回復する前にこうも頻繁に吸血される、このまま永遠に血を吸われ続けるのかと思ったからだ。
その頃、満流と悠一は一旦夜月神社へと共に戻っていた。この頃にはようやく暑く覆われた雷雲もなくなりかなり星空が見えていた。
そして輝夜救出のために知恵を出すべく狛犬たちの石造の前に向かった。
「駒たち!力と知恵を貸してくれ!」
満流が狛犬の石造に手を当ててそう力強く言った。すると石造の狛犬たちが人間の姿になって二人の前に現れた。
「キング……………。クイーンの身に何かあったのですか?!」
ダナが神妙な顔で満流に問う。
「あぁ。怪我を負っていた俺たちの代わりに自ら敵地へと向かったんだ……………。」
「なんと!!」
「しばらくその場で待っていたのですが、まだ戻ってこなくて……………。敵地の場所もわからず。」
悠一がそう説明をするとダナが小さく息を吐いてから言った。
「それで、なすすべもなく……………ですか。」
「面目ない……………。」
落ち込む満流と悠一。大事な輝夜が目の前で敵に攫われたということが許せないダナは二人に対して怒りを露わにしていた。その時、怒りで震えるダナの肩にケンがポンと手を置いて間にはいる。
「気持ちはわかるがそんなに責めるなよ、ダナ。」
「………………。」
ケンとダナが黙って見つめ合う。
「わかってるさ、ケン。だけど今、クイーンがどんな状況なのか……………。考えただけでおぞましい……………。。」
ダナは震えながら両手で自分の頭を抱え込む。
「怯えるのはあとだ。それよりも今はどうやったらクイーンの元にいけるのかが重要だろ?」
ケンはそう言ってダナをジッと見た。
「………………そうだな。」
ダナは大きく息を吐き、怒りと恐れの気持ちを封印して問題にとりかかろうと決めた。
「きっと向かったのは奴らの言う〝陛下〟がいる場所だろう。」
それについては全員が一致していた。
「そのザンテかもしくは双子の気配を辿る事は出来なかったのか?」
満流と悠一は静かに首を横に振った。
「そうか…、あの酷い雨だったしな。」
「あの時はちょうど止んでいたが、あのザンテは突然現れたし、突然消えたんだ。その場で…。少し辿ってみたが1メートルも気配すら残していなかった。」
「そうか…。そうすると探すのが本当に困難になってきたな。もう一度奴らが現れてくれればいいが……………。」
話は中々解決策へとは続かなかった。真夜中の境内はいつも以上に静けさを増していた。
そんな時、満流が一つの考えを言葉にした。
「輝夜が前に自分が囮になると言っていたが、俺が囮になるのはどうだ?うまくいけば輝夜と合流出来れば俺が輝夜に力を与える事が出来るはずだ!」
「……………………………‼」
一斉にみんなが驚いた顔で満流の見て、そして全員が沈黙する。
「なん…で、みんな黙ってしまうんだよ!」
満流の言うことが一番確実なのだろう。だが、この囮作戦が上手くいかなかった場合、キングとクイーンを揃って失うことになる。その方がリスクがあるから誰も賛成出来なかった。
「だったら、誰か他にいい案出せないのかよ?!」
「………………満流……………。」
満流の渾身の言葉に悠一が隣で困惑の表情を浮かべていた。
「気持ちは充分わかります。僕らだって輝夜さんが心配です。だからと言って君まで…。僕らは前の時のようにただ待ってるだけだなんて、もうしたくないんですよ……………。」
満流も本当はわかっている。自分が逆の立場ならきっと同じだからだ。だが、輝夜を救う事が一番の目的だ。輝夜が自分から戻れるなら明日までには戻ってくるだろう。だが、輝夜一人で対決するには相手の数が多いのも簡単に想像出来るからきっと戻れないのだと推測した。
まさか吸血行為で動けずにいるとは思いもせずに……………。
「なあ、導きのナイト。これをお前に預ける。」
そう言って満流が悠一の前に差し出したのは満流の髪から作った念珠だった。
「これは…!」
「ああ、これだと俺とお前が繋がっていられると思うんだ。ただ、どこまで奴らの結界内でもその威力を発揮出来るかは自信がない。輝夜に渡そうと思って作ってたんだが、結局渡せず仕舞いだしな。今はお前が持っていてくれ。そしてそれを使って俺たちの居場所を特定して乗り込んできてくれ。」
満流が悠一に諭すようにそう言った。悠一もその念珠の力を、受け取った手の先からジワリジワリと感じていたので満流のいう〝繋がり〟を信じるしかなかった。
ご覧下さりありがとうございます。輝夜自身で抜け出せると輝夜も皆も思っていたが、実際には相手の方が何枚も上手だったという。輝夜救出作戦は果たして……………?




