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【完結】刻の檻刀シリーズ②偽りのsânge ー赤き薔薇が示すものー  作者: 慧依琉:えいる


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第28話:鍵は輝夜の回復力



チュンチュン……………。


明るい陽射しを瞼の裏に感じ、小鳥の鳴き声で朝なのだと思った輝夜。




〝……………。ことり…?〟




輝夜が疑問に思ったのはここが洞窟の中に造られた空間だからだ。




〝ふぅん、これもアイツの力ってこと?〟




輝夜はベッドの中でそう考えていた。手は…何とか動かせそうだ。起き上がろうとしてみた。〝クラッ〟とするが、昨日よりはかなり楽になっていた。




〝う…ん、回復度80%くらい…かしら。〟






ベッドの上で上半身を起こして座った状態で輝夜は改めて部屋の中を見た。家具などの調度品は贅沢に設置されているが窓は見せかけだし、小鳥だってそばにいるわけではない。どこかにスピーカーでも仕込んでいるのかもしれない。監視カメラは…とキョロキョロしてみたが天井に一つ明らかに違和感のある柄のつなぎ目があった。




〝ふぅ~ん、きっとアレが監視カメラだわ。〟




カメラを見つけて輝夜は気付いた。今は護衛という名の見張りの双子の姿が見えないということに。






輝夜はその場所に向かって人差し指を〝ピン!〟と向けて念を込めた。






─────シュッツ!




小さく微かな音が部屋の中を駆け巡り、〝プシュッツ〟という音がした。輝夜は監視カメラを一台壊したのだ。




〝多分、見つけられていないだけでまだあと2台くらいはあるのかもしれないわね。〟




そう思ってまだ身体が完全に回復していなくて起きているのが辛いのでそのままベッドに横になった。






〝そうだわ。面倒だからあのドアも出入りされないように結界を張って…。〟




ドアに向けて今度は両手で印を結んだ。両手を組み合わせて人差し指同士をくっつけて




「────ハァッ!」




と気合を込めてそのドア目掛けて霊気を飛ばして結界を張った瞬間、全身から力が抜けてベッドへ倒れ込んだ。




「これで暫くは誰も入ってこないはず。ちょっと疲れたからもう少しだけゆっくり眠らせてもらうわ。」




そう言ってスゥーツと眠ってしまった。








もちろん、これらの輝夜の様子を別室で陛下、ロワールは見ていた。






「ハハハッ!中々やるではないか、輝夜め!」




面白がっていた。






「陛下、よろしいのですか?あのまま放置していて…。」




ザンテが言う。




「ああ、どうせまだ身体が元に戻ってないからそうそう動けまいてよ。俺たちの侵入を防ぎたいのだろう。好きにさせておけ。あやつが回復したらまた血を頂きに行くのだ。しっかり回復させねばな。あれだけの特殊な血だ。死なすわけにはいかんだろう。」




そう言ってニヤリと笑った。その口元には牙がチラッと見えていた。








そこへやって来たのは深紅の衣装がよく映えるケルドアだった。灰色の長い髪を振り乱して深紅のヒールをコツコツ鳴らしながらやって来る…。




「陛下っ!どういうことです!?」




ケルドアはロワールに詰め寄った。かなり苛立った様子だが、ロワールはそれを感じ取りながらも平然として言った。






「ケルドアか。何の用だ?我は招集しておらぬが?」




ロワールに冷たくあしらわれたケルドアはそれでもなりふり構わず詰め寄る。




「私めが陛下をお慕いしているということ、陛下御自身もよくおわかりではありませんか!なのに、人間の娘を妃にされるとは本当の事ですか!?」






────そう。ケルドアはロワール直属の部下であるが、ずっとロワールに対して恋心を抱いていた。いつかは自分が妃に選ばれると信じて……………。


だがロワール自身はケルドアを部下の中の一人としが見ていなかったのだ。






ロワールはジッとケルドアを見てから大きく息を吐いて冷たく言い放った。




「我がどうしようと我の勝手ではないか?お主に咎められる覚えは一切ないはずだが?」






〝────────っ!〟




ケルドアは顔が真っ青になった。これまで散々尽くしてきた相手にここまで冷たく言われた事に衝撃を覚えた。今までは多少わがままも許された。自分は陛下にとっての特別なのだと思っていた。なのに……!!




「しかし!しかし陛下!……………。」




ケルドアはそれでもロワールの気を引こうと何か言葉を探してみたが上手く見つからなかった。


ウンザリした顔でロワールが命令を出す。






「ザンテ。ケルドアをつまみ出せ。」




「────はっ。」




ザンテはすぐさまケルドアの元へと歩み寄った。そしてケルドアの腕を掴んだタイミングでロワールがケルドアに向かって






「ケルドア。暫く居住地での監禁を言い渡す。我より招集があるまで反省していろ。」




そう言ってロワールは背を向けて玉座の間をあとにした。






「さあ、ケルドア。行くぞ。」




「ーッツ、離せ!自分で帰る!」




そう言ってケルドアは自分で玉座の間を出て住処へと帰って行った。








***




スタスタスタ……………。心中穏やかでないロワール。だが子供の姿なのでどんなに歩いてもたかが知れていた。先ほどのやり取りで気分を害していた。それに本来の姿からこの姿に戻ってから数時間が経過しており、そろそろ気分も限界だった。そこで求めたのは輝夜の血だった。




〝子供の姿のままは何かと不便ではあるが、あの娘の血を飲んでも8時間しか効果がない。定期的に摂取すればいいのだが、回復時間の方が長くかかるのだ。無理をすればいずれ枯渇するだろう。あの聖痕を持つ人間は我らの救世主になると言われてきたのだ。絶対に生かしておかねば……………!〟






本来の姿で居続けたいがそれを行うと聖痕の持ち主である輝夜を殺してしまうということで相反する気持ちに悩まされていたのだ。




〝しかし、あの娘はやっぱり人間ではないな。あの回復力は…。普通の人間ならいくら聖痕を持っていたとしても倍以上は回復するにはかかるだろうに…。ふむ…。〟




ロワールは立ち止まって考えていた。





ご覧下さりありがとうございますケルドアは上司である陛下を好きだったのです。これはまた違う意味で一波乱ありそう???

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