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刻の檻刀シリーズ②偽りのsânge ー赤き薔薇が示すものー  作者: 慧依琉:えいる


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第16話:いざ!創造主に会いに行こう!



悠一の登場で一気に場の空気が変わった。さっきまでは一向に進まない様子に苛立ちさえ覚えており、空気が張り詰めていた。だが、悠一が現れて「僕がサポートしてあげる」と言ったのだ。その時、雲間に隠れていた月がちょうど顔を出して集まったみんなの顔を照らした。



「悠一くん、それって…?」


輝夜は悠一に尋ねた。



「うん、僕も一緒に行くよ。だから半死にならなくても大丈夫だから。」


「どうやって?」


皆がゴクリと固唾を呑んで悠一を見る。再び空気が張り詰めてきた。境内は人の気配すら感じないほど静かだ…。


だが、悠一はニッコリと笑って言った。



「忘れてた?僕って〝導きのナイトだ〟ってこと!」



皆の顔から緊張が解れていく。



〝確かに自己紹介でそんな事を言っていたけど…。〟


輝夜は少しだけ不安だった。それはあの場所がそれだけ特別な場所なのだと輝夜自身が実感しているからだろう。



〝あの場所は死にかけていた時に辿り着いた場所よ。ダナの言う通り、半死でないと辿り着けないのかもしれない。だけど、導きのナイトだったらとそこへ辿り着けるのかも…。〟


今は疑っている余裕はない。いつ敵が現れて襲ってくるかわからないし、被害がもっと出るかもしれないからだ。輝夜は唇をキュッツと結んでみんなに宣言をする。



「だったらお願いするわ!私は悠一くんを信じる!」


すると満流も続けた。


「ああ、俺もお前を信じる。すぐにでも行こう!」



悠一は二人の決意に強く頷いた。そしてすぐさま、あの場所へと向かうためにみんなに指示を出す。



「ケンとダナは離れていてください。そして輝夜さんと満流は僕と手をしっかりと繋いでいて下さい。」



────ジャリッ、ジャリッ…。

ケンとダナが後ずさりする音が敷石を踏んだ事でわかる。みんなは悠一の言う通りにした。



悠一が声を張り上げて輝夜に向かって言う。


「輝夜さん。それでは時空結界を張って下さい。」


「……………!?悠一くん?何故、その事を知って…。」



悠一は目を伏せて首を横に振った。


「今は全神経を集中して下さい。僕に〝創造主〟から扉を開くようにと指令が来ております。」


「────!創造主から!?」


「ええ、どうやらあのお方はこちらの状況を把握して待っておられます。」


「わかったわ。」


輝夜も満流も強く頷いた。



そして輝夜は意識を集中して結界を展開していく。離れて様子を見守るケンとダナはどんどん境内の中の空気が鋭く尖ったものへと変化していくのを感じていた。少しでも今の場所よりも彼等のところへ近寄るならばきっと空気がケンとダナを切り裂くかもしれない…、そんな緊張感がそこにはあった。




輝夜はどんどん…。どんどん…遠くへ意識を広げて行く。夜月神社の空へ、雲へ、大気圏へ、宇宙へ…その先へ──────────………







すると突然強い光に出会い、問われた。



「ワレハコノヨノカンソクシャナリ…。オマエハダレダ?」


「────我が名は輝夜!」


──────────刹那‼


目を開けていられないほどの強い光に包まれて三人は意識を失った。薄れて行く意識の中で輝夜も満流も懐かしい感覚が身体の中を突き抜けた。


〝────あぁ…、この感覚…知っている…。〟


そして温かい光に変わり三人は何もない空間に辿り着いた。









次に目を覚ましたのは輝夜と満流には見覚えのある場所だった。


「────輝夜!」



思わず満流は輝夜を探してガバッツと起き上がる。すると同時に輝夜も同じようにしてガバッツと起き上がって満流を探す。


「……………満流…。」



二人は無事に辿り着いたことを感じて安心した。そして悠一を探したら自分たちのすぐ隣にいた事に気付いた。


「きっとすぐに目を覚ますさ。」


満流の言葉に輝夜も静かに頷いて二人は悠一が目を覚ますまで静かに待った。それはほんの僅かな時間だった。



「ん…んん…。」


どうやら悠一も気がついたいようだ。



「ここは…。そうか、ここなんだね。」


悠一は初めて来た場所だが不思議と受け入れているようだ。きっと創造主からの導きの声を聞いた時からビジョンを捉えていたのだろう。



「悠一くん、ありがとう。ここが創造主の世界よ。」


「ああ、ここだ。だが、創造主に会うにはここからひたすら歩き続けたよな。」


満流が補足して言った。輝夜も懐かしんで


「そうよね、あの時は何もわからず歩き続けたわ。」


そして二人が悠一を見つめる。物凄い期待を込めた目だ。悠一は二人の圧に負けそうだ…。



「いや…僕、初めて来たのでわかりませんよ?」


「そんな!〝導きのナイト〟なんだろ?直感とかそういうのは?」


満流が悠一にせがんだ。



「その前に普通の人間です。僕はやり方を、創造主の声を伝えたまでです。」


「じゃあ、その創造主の声はもう聞こえないの?」



二人は悠一が頼りだった。この何もない空間で果てしなく歩き続けるのは今の自分たちには時間がもったいないからだ。早く戻らないと奴らがどう攻撃をしてくるかわからない。焦る満流と輝夜。


「うーーーーん……………。」


悠一は唸って黙ってしまった。何もない空間。ただただふわふわの地面があり、果てのない空と呼べばいいのか、上を見ても下を見ても遠くを見てもどこも光で溢れた世界なのだ。


「あっちの方角に何か感じるような気がする…。」



悠一がポツリとそう言った。輝夜たちは悠一だけが頼りなので彼の言う通りにその方角へと進むことにした。

創造主がいるところはあのチェス盤のような床のある空間だ。そこにはどうやって辿り着いたのか二人は覚えていない。


「あの時はどこに行けばいいとか何もわからず、ずっとこの空間が続いているのが不思議な感覚だったが、今はある意味恐怖を感じるな…。」


「そうね……………。〝無〟に等しいからなのかも……………。」


「あの時、俺らは元に戻るための手がかりを探して彷徨っていて、突然あの空間へと足を踏み入れたのだからきっとあの場所は〝どこにでもあって、どこにもない〟のかもしれない……………。」


「ふふっ、満流がそんな詩人みたいな事を言うとは思っていなかったわ。」


輝夜がクスクスと笑った。満流はちょっと恥ずかしくなって顔を赤らめている。


「本当ですね、僕も満流さんがそんなロマンチストな部分があるとは思いませんでした。」


悠一にまでそう言われる満流。耳まで真っ赤になっている。


「ちょ…っ!お前なぁ~~!」


前回は何もわからず彷徨い続けていたが、今回はこうして賑やかに歩き続けている。この差が二人にはとても大きく感じた。


〝そう言えば悠一は「黒」のナイトだったんだな……………。〟


満流は思った。それと同じくして輝夜もそう思ったのだろう。「黒」のナイトたちは主であるクイーンもキングも亡くしている。ただの彷徨える立場だ。どうにか出来ないのかな……………。二人の心の中では悠一のおかれている立場に対しての願いが強くなっていった。






ご覧下さりありがとうございます。悠一のおかげで無事に創造主の世界へと辿り着くことが出来ました。だが、創造主の場所へは中々辿り着けません。満流の言う通り、そこは「どこにでもあって、どこにもない場所」だからです。

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