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【完結】刻の檻刀シリーズ②偽りのsânge ー赤き薔薇が示すものー  作者: 慧依琉:えいる


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第15話:静かな境内で作戦会議



二人は夜月神社に戻って来た。その足でいつもの場所へと向かう。


そう、狛犬たちのところだ。境内の敷石が歩むたびにジャリッ、ジャリッと音がする。狛犬たちの前に辿り着き、輝夜は狛犬の石造にそっと手を添えて小さくすぅっと息を吸って




「ねえ、狛ちゃん、…いる?」






石造に向かって声をかけた。


するとその声に反応するように石造の狛犬たちが光り、次の瞬間、輝夜たちの前にスゥーッと二人の青年が姿を現した。




「どうした?輝夜。」




「ケン!ダナ!」




輝夜は二人に駆け寄った。輝夜からの呼び出しは珍しいからケンもダナも心配そうな顔をしていた。






「俺もいるぞ?」




ぼそっと満流が言った。




「ああ、キングもいたのですか…。」




ダナが素っ気なくそう言う。この二人、いつも険悪な雰囲気なのだ。それはダナが輝夜に恋心を抱いているからなのだが、輝夜本人は知らないので、どうしていつもこうも険悪なのか不思議だった。






「チッ、お前いつもそうだよな。まあ、いいや。今はそんなことよりもちょっと事態が複雑になってきたんだ。」




「────!?」




ケンもダナも真剣な顔をして満流と輝夜を見た。






「この前、新たな敵が現れたって話はしたよな?それがウジャウジャいるんだ。現在確認出来ている敵は大きく三勢力。」




満流はそう話を切り出すと太い枝を拾って来て地面に何かを書き出した。


シャッツ、シャッツ…


そこには図式で陛下を筆頭に三つに枝分かれをし、そこにケルドア、ザンテ、ドライトと書いた。




「この下は眷属になるのだが、」




そう言ってからケルドア♀の下を二つに分岐してバモアス♂、ココシア♀(双子)、ザンテ♂の下を二つに分岐してケドリス♂、パドリス♂(双子:恋人)、ドライト♂の下を二つに分岐してフラッパ♂、ドラドラ♂と書いた。




それからココシアとバモアスに✕を付けて




「この二人はこの前と今日で既に退治した。」




と説明をした。






〝────退治…〟


輝夜は胸の中がズキンと痛むのを覚えた。




〝……………わかってる…。それが私達の使命なんだから…。〟


胸の前で拳をギュッと握った。








そんな輝夜をよそに満流の説明は続いていた。



「今わかってる敵の状況はこんな感じだ。ただ、これよりも実際には多いのかどうか、全体的な事は何も把握出来ていない。前回と今回で俺たちが遭遇し、彼等の口から出た名前を整理した結果がこうなるんだ。」




ケンとダナは満流の説明を聞いて口を開いた。




「では…、少なくとも10人(?奴らは人じゃないから合ってるのか?)はいるってことだね。」




と声を揃えて言った。






「そう言うことだな。」






満流は話を続けた。






「しかもこの陛下とやらに輝夜を生け捕りにして来いって命令が出てるらしい。」






〝────そうだ、陛下、あいつ……!〟


真剣に話をしているのに突然輝夜が話に参戦してきた。






「それだけじゃないわ。満流のこと、〝おもちゃ〟呼ばわりしていたのよ?!」




輝夜は満流をバカにされて苛立っていたのだが、その輝夜の言葉にケンとダナは笑った。






「おもちゃっ…って!」






満流は顔を真っ赤にして




「だぁっ!輝夜!それは別に言わなくても…!」




と言うが輝夜は真剣だ。






「だって、アイツらにバカにされてるのよ?!満流が弱っちいだなんて…!」






輝夜が怒っているのに満流の方は温度差があった。




「いや、その通りだよ。俺には霊札しか武器がないのだから。」




「満流…。」




輝夜が心配そうに満流を見る。








「確かに吸血族相手に霊札は効果ありませんね。やはり〝銀〟の剣だけです。」




「だよな。俺…全然役に立たない…。」






満流は落ち込む。こんな彼の弱い姿を初めて見る輝夜。






「キング…。」




ダナが満流に声を掛けた。






「あなたの最大の力はクイーンに与える力です。だけどその力は同時にあなた自身を守るための力でもあり、クイーンをサポートする力でもある、その使い方を伝授してもらいましょう。」




「ダナ…。」




「そうだ。キングであるあなたに何かあればクイーンの命に繋がる。過去、黒のキングが封印された為に黒のクイーンは本来の力を発揮出来ずに無茶をしたんだ。」




「ケン、それって…。」




「あぁ、キング。輝夜の母、叶柄(かなえ)様のことだ。」




哀し気に語るケン…。自身のクイーンを亡くした時は相当辛かったであろう、満流はそう思った。








そして満流は拳を強く握って




「ダナ!頼む、その力はどうやったらいいのか伝授してくれ!」




ダナは強く頷いた。




「その方法はとても危険であります。前回の戦いであなた方が訪れていた〝創造主の世界〟へ行ってもらいます。そしてそこで創造主に会って力を授けてもらって来て下さい。これしか方法はありません。」






「……………は?!」






満流は唖然とした。そばで聞いていた輝夜も目をぱちくりとさせている。




「え…、ちょ…ちょっと待って。それって…。」




輝夜が慌ててダナに問う。






「ええ、創造主の世界は生者が簡単に辿り着ける場所ではありません。」




「そうよ?わたしたち前回はほぼ死んでたようなものだし……。」


「はい。だから半死になって頂きます。」






ダナは顔色一つ変えずに、突拍子もないことを言い放つ。




「はぁあ?!冗談じゃない!そんな命掛けだなんて…!今お前っ、俺に何かあったら輝夜にだって影響があるって言ったじゃないかっ!出来るかっ!そんなこと!」




満流はずっと輝夜を守れるのなら自分に何かあっても構わないと思っていた。だが、自分に何かあれば輝夜をも巻き込んでしまうという事を知ってしまったからそういうわけにはいかなくなった。




「ねぇ…。他に安全に何か方法はないの?」




輝夜もダナに問う。だがダナ自身もそれ以外に方法は知らないようだ。






沈黙が続く…。広い境内に静けさが怖いくらいに広がっている。




どれだけ長く沈黙していたのだろうか…。






「だったら……………!」




輝夜が切り出した。








「だったら私も一緒に行くわ!」




「はぁあ?!駄目だ!絶対にダメだ!」




流石にこれには全員で反対をした。








「じゃあさ、僕がサポートしてあげるよ。」




聞き覚えのある声が背後からした。






振り向くとそこには悠一が立っていた。






「悠一くん?!いつの間に…?」




あの静けさの中、いつ悠一はここに来たのだろうか…。だが、一人でも状況を理解出来る人間がいることは大変心強い。






ご覧下さりありがとうございます。夜月神社に戻った二人は早速作戦会議を行います。一番のネックはやはり満流の武器がないということだった。

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