第14話:突然のバモアスからの襲撃!
ココシアを亡くして怒りに満ちたバモアスと闘うことになった輝夜。覚醒した姿でバモアスの最初の攻撃を受けたが衝撃が大きく、輝夜はその場で血を吐いた。覚醒した姿になっていなければもっと損傷が激しいところだったのだ。輝夜の体内では自己治癒が瞬時に始まっている。
だがその後も容赦なく輝夜へと向かってくるバモアス。きっと彼にとっては自分の命よりもココシアを大切に思ってきたことで仇を取らないでいられないのだろう。
本来であれば白のクイーンとしてキングからのキスを受けないまま戦いに挑むべきではないのだろう。真の力を発揮出来ずにいるからだ。
「輝夜っ!」
満流が近付こうとするが、輝夜は彼を巻き込みたくないので静止する。だがそれでも輝夜の元へとやってくる満流。
「もう、危ないじゃないっ!」
「何言ってるんだ!お前の方こそ、ほら!忘れ物っ!」
そう言って輝夜の唇へキスをした。それは白のキングから白のクイーンへの力の注入でもある小さな儀式だ。いきなりの出来事に思わず動きが止まってしまったバモアス。
「なんだ?目の前でいちゃつかないでくれる?!こっちはココシアを失って気が苛立ってるってのに!」
怒りを更に爆発させたバモアスが再び輝夜を狙って突進しようとした時、
〝ポオッツ〟と輝夜の身体を光が包んだ。
バモアスも双子たちもその状況を見て驚いた!
「何で発光してるんだ!?」
周りが驚いているのもお構いなしに、満流から離れた輝夜はバモアスに向かって宣言する。
「さあ、覚悟はいい?反撃よ!」
バモアスは相手がどんな状況であっても女だからと侮ってただ強がってるだけだと思い、輝夜に向かって言う。
「ハン!強がっても無駄だ。俺はココシアのように簡単にやられてやらないからな!」
「無駄口が多いわね!」
その言葉を発したかと思うと、あっという間に輝夜はバモアスの後方へと移動していた。
「────な!速いっ!」
それに気付いたバモアスには焦りが生じてきた。
〝……さっきまでとはスピード感が違う!なんだ?アイツとキスをしたことでまさかパワーアップしたとかか?!まさかな…。〟
バモアスは輝夜の攻撃から逃げながら考えていた。
輝夜はというと、効果がないとわかっているが影切刀をブンブンと振り回してバモアスに威嚇していく。
そして自分の胸の前で影切を構えてもう一度刃先にキスをした。〝ーお願いっ!〟心の奥底で祈るように…。
ーすると!
今度は影切が反応し、強力な光を放ちながら銀の剣に変わった!
〝────やったわ!もしかしたら白のキングの祝福がないとダメなのかしら……………。〟
その様子を見ていた双子とバモアスは更に驚いていた!しかも一度この剣でココシアが貫かれたところを見ているバモアスにとっては恐怖でしかなく、顔が引きつっていた!
だが、ーもう後戻りは出来ない。バモアスは覚悟をした。
体制を整えるバモアス。〝ジリ……。〟足元の砂の音がバモアスの心境を物語っている…。
「ハ!どのみち、俺は命令違反をしたんだ。処分されるんだ。だったら最後まで望みを諦めないで立ち向かうしかないだろう!」
覚悟を決めたバモアスは輝夜に正面から突っ込んだ!
輝夜もまさか正面からくるとは思わず、バモアスの攻撃を剣で交わすしかなく、普段剣を使っていない輝夜は長期戦になると不利だと咄嗟に判断した。
前回の件先に触れた感覚が蘇って恐怖が輝夜を襲う…。だが、ここでバモアスを仕留めないと自分だけでは済まない。大勢の命を狙われる。
輝夜も覚悟を決めた。たらりと輝夜の額から汗が流れる…。
「バモアス!覚悟っ!」
輝夜はバモアスに対して真っすぐに剣を向けた。刺さる瞬間を見るのは正直怖い。だが、輝夜は目を逸らさなかった…。
銀で出来た剣。しかも十字架が埋め込まれた聖なる剣だ。吸血族のバモアスにとっては一瞬でも身体に受けるとその先から身体が溶かされて剣を貫かせてしまうのだ。
バモアスも…。ココシアと同じように剣先がチョンと当たっただけでそこから身体が溶けて剣がそのままバモアスの身体を貫いた…。
〝あぁ……………。これしか方法がないのね……………。〟
輝夜はそう思いながらバモアスの身体が消えかけていくのを見て目を閉じた。
きっと、その手先の感覚を忘れる事が出来ないだろう。理由はどうであれ、えこれは命を奪う行為なのだ……………。
そして再び目を開けてバモアスを見ると
「あぁあ……………。これでココシアに会える……………。」
そう言って満足したような顔をしていた。
「何故…?生きることよりも死を選ぶの?」
輝夜は消えそうになるバモアスに尋ねた。
「お前もいつか理解するだろう。俺にとっては双子の妹であるココシアが世界で一番大事なのだ。俺の命よりも……………。」
そう言ってバモアスは砂になり跡形もなく消えてしまった。
輝夜は命を奪った事に対して罪悪感を感じている…。だが、奪わなければ奪われる……………。これは生きるか死ぬかの戦いなのだ。乗り越えなければならない試練だということ。
「輝夜っ!」
すかさず満流が輝夜のそばに駆け寄った。そして目一杯輝夜を抱きしめて
「よく頑張った!」
その一言だけ言った。輝夜は満流に抱きしめられてようやくホッとしたようでポ身体を震わせながらロポロと涙を流した。
「怖かった…。命を、また奪ってしまった…。」
「ああ、知ってる。大丈夫だ。俺も共に背負っていくからお前一人で背負うな。」
「うん、うん。」
二人は双子がまだそばにいることをすっかり忘れているようだ。
「あーコホン!」
ケドリスがわざと咳払いをした。自分たちの事を忘れていちゃついてるのを見ていられなかったからだ。
「俺たちのこと、忘れてやしないかい?」
「────!」
輝夜と満流はパッツと身構えた。
「ま、今日は一旦引き上げるとするか!」
「そうだな。今の状況は俺たちには不利だってことがわかったしな!」
双子は今もまだ銀の剣を持っている輝夜の姿を見てそう言った。例えかすっただけだとしても彼等吸血族にとっては命取りになるだろう。輝夜もまだ精神的に落ち着いていない。
「わかった。こっちも今戦える状況じゃない。」
満流がそう返事をすると二人はニヤリと笑ってからコウモリの姿になって夜の闇へと消えて行った。ホッとする二人。
「ねえ、満流。もうこんな時間。結局塾が終わってしまったわ。」
「ちぇ、アイツらに邪魔されてばかりだな!今度塾代請求するか!?」
「あははっ!それ、いいわね。」
二人はやっと一息ついたようだ。塾には戻らずに講師に連絡をしてそのまま帰ることにした。
ご覧下さりありがとうございます。バモアスは結局ココシアのいないこの世界で生きていくのが辛かったのです…。




