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刻の檻刀シリーズ②偽りのsânge ー赤き薔薇が示すものー  作者: 慧依琉:えいる


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第10話:かおりの吸血鬼化は阻止出来たのか?!



この辺りは街灯がなくとても暗い。だが、輝夜が吸血行為で血を吸われたために自己治癒が始まった為、輝夜の身体が一時的に発光し、どこよりも明るくなった。

だが近隣住民が誰も騒がないのはきっと輝夜がコウモリたちが現れた段階で予め結界を張っていたからだろう。


「輝夜っ!」


彼女を抱きしめる満流。その肩は小刻みに震えていた…。


「馬鹿やろう!自分の身を犠牲にするだなんて…!お前に勝算があったのだとしても俺は!俺は…っ!」


輝夜がふっと目を覚ました。ずっと気を張って意識を失わないようにしていた分、かおりが自身の身体から離れた時点で安心したのか、一時的に気を失ってたのだ。


「輝夜……………。」


自分を覗き込む満流の姿から心の底から心配しているのがわかる…。そっと手を伸ばして彼の顔に触れる。


「ごめん、満流…。これしか方法が浮かばなかった。私は半分人間ではないからきっと大丈夫だと思ったの。」


「それでも心配するだろ?俺、何も出来ないのが悔しい。お前ばっかり辛い目に…!」


満流の声と手の震えは止まらない。〝きっと私を失うと思って恐怖を感じていたのだろう…。〟輝夜はそう思うと満流に凄く申し訳なく思った。それと同時にとても愛おしいと感じた。だから自然と言葉が出た。


「ごめん、満流。……………ねぇ…。キスして。」


満流はふと輝夜の顔を真剣に見た。あんなに恥ずかしがるくせに今はキスを強請るだなんて…。だが敢えて何も言わずに輝夜の唇にキスをした。


〝ずっとこうしたかった…。〟



二人の心がシンクロする……………。


満流は輝夜を失わずに済んだことですっかり安心してコウモリたちがいることを忘れて熱くキスを交わした。




2匹のコウモリたちは目の前でキスを始めた二人を見て唖然としていた。思わず人間の姿になって


「な…!いきなりお前たちは何してんだ!!?」


と言い出した。



せっかくの時間を邪魔されてイラッとした満流。だが、輝夜の回復スピードはキスによって跳ね上がっており、もうほとんど吸血される前の状態に戻っていた。


「チェッ。せっかくいいとこだったのに邪魔するなんて野暮な奴らだな!」


「はあ?ちょっと様子見に来たらソッチの女、人間じゃないんだな?」


コウモリだった男の一人が言う。



輝夜はスッと立ち上がって


「あら?何ならお手合わせといきましょうか?間違って砂になって消えても知らなくてよ?!」


そう言って相手を煽っていた。

そのやり取りを見て〝輝夜自身、相手を煽ってる自覚はないんだよんぁ~〟と思いながら満流は様子を見ていた。前回の件が彼女にとってトラウマになってなければいいと思っていたが、この様子だとどうやら大丈夫か?と思いながら…。




「ほぉ~。綺麗なお嬢さんだね。俺はフラッパだ。ドライト様の眷属だ。」


「こちとらドラドラだ。同じくドライト様の眷属だ。」


二人はカッコつけて名乗ったが、輝夜も満流も二人の姿を見て〝サーカス?〟と思った。二人の服がサーカス団員そのものだったからだ。思わず声に出そうなのを二人して我慢したようだ。だがそれよりも重要なのは二人の口から新たな名前が出て来たことだった。


「ドライト?ケルドアって奴とはまた違うのか?!」


警戒しながら二人に質問する満流。



「は?ケルドアさんとドライト様とじゃ比べ物になんないさ。ドライト様の方が陛下の信頼が厚いんだからな!」


「おいこら、ドラドラ。内部情報をペラペラと喋るな!」


どうやらドラドラは口が軽く認識が低そうだ。こいつを捕まえて色々聞き出せば手っ取り早いだろうが、きっとフラッパがそうさせないだろうと二人は思った。



「それにしてもお嬢さん、この結界展開はあんたかね?見事なもんだな。この中で遭った事は外への影響なしってやつか。」


「………………。」


輝夜も満流もフラッパも良くしゃべる奴だなと思って若干白い目で見ていた。ヤツの問いに答える必要はない。それよりも無駄に時間を費やすよりも早く戦う方がいいだろう。輝夜が畳みかける。



「それで?お手合わせするのかしら?」


「いや。今回は様子を見に来ただけだ。手合わせは次回にしよう!帰るぞ、ドラドラ。」


フラッパは即答し、コウモリの姿に戻ってバサバサッツと夜の闇へと消えて行った。ドラドラも追うようにして去って行った。


二人が去ったおかげでようやく緊張が解けた輝夜と満流はかおりの元へと向かう。



かおりの顔色が随分良くなっていた。きっと輝夜の血が体内に入ったせいだろう。


「なあ。これで吸血鬼化を防ぐ効果があったとして、そのあと彼女の中でちゃんと落ち着くのか?」


「ん?妖力とかのこと?」


「ああ。」


「さあね?私はこの方法しか思いつかなかっただけ。その後のことまではわからないわ。」


「ふぅーん。」


満流はせっかく輝夜が痛い思いをして吸血鬼化を防いだのに、そのあと妖力とかが暴走して死ぬような事になったら悲しいなと思ったのだ。そしてふと開きっぱなしの輝夜の首元に目がいった…。



「輝夜。さっきは気付かなかったけど、かおりが吸血したところ!」


「ん?ここ?」


輝夜はそっとその部分に手を当てて見た。



「ああ、そこだ。赤い薔薇のようなのがある。ん?痣か?今まで無かった…よな?」


「本当?家に帰ったら鏡で見てみる…。確かにここにはホクロすらなかったわよ?……ってか、満流?何でそんなこと知ってるの?」


「は?……………い、いや。その、ほら。俺ら長い付き合いだろ?だから……………その、Tシャツとか…。ほら、首元あいたのとか…。」


満流がしどろもどろに答えるのが面白くて輝夜はわざと横目で満流を見た。本当はそれくらいわかっていた。その姿が面白くもあり、可愛くもあり、満流のほっぺにそっとキスをした。



「────!」



驚く満流は輝夜を見た。輝夜はニッコリと笑って今度は満流の唇にそっとキスをした。


暗く不気味な雰囲気の公園だが、隠れていた月がほんのり姿を見せて普通の夜の公園にしか見えなかった。ただそこには輝夜に振り回される満流の心臓の音だけが響き渡っていた…。








ご覧下さりありがとうございます。いつも輝夜に振り回されてばかりの満流です。でもこの二人にはこれがちょうどいいのです。

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