表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
星霜エルフの追想録  作者: 古賀月 蜜柑


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

21/29

第21話 祭りの後で

「...よし、これで最後かな?」


 そう言いながら、カイレンは宿舎の倉庫に最後の屋台の骨組みをしまう。


「助かったぜカイレン。屋台の片付け、一日でこんなに終わるとはな……。後の資材の撤去は、村の連中達だけでどうにかなる。ほら、こいつがお待ちかねのバイト代だ。少し多めに入ってるぞ」


 宿舎の主人がカイレンに貨幣の包みを手渡す。


「へへっ、サンキュー。じゃあなおっちゃん!また来るぜ!」


 扉が開き、貨幣を数えながらカイレンが出てきてリュミナ達と合流する。星祭りが終わったフィンベルの村はすっかり人が減り、元の静かな村の雰囲気に戻っていた。パーティメンバーが揃ったところで、セリが口を開く。


「じゃあ、エアロムントに戻ろっか?」


「うん、また変なのに絡まれる前にね……」


「へー、変なのってどんな奴のことだ?」


「そりゃ…変な剣を振り回して、リュミナを狙ってくる、ナルシストで、絡みたくないような奴だよ」


「……アシュレイ?誰と話してるの?」


 どこからか聞こえた声に、思わず応えてしまったアシュレイを見て、リュミナは首を傾げた。


「……へ?」


 四人は周りを見渡すが、リュミナたちの他には撤去作業中の村の人以外誰も見えない。その時、


「ここだ!ここ!」


 大きな声と共に二つの影が宿舎の屋根から飛び降りてきた。

 ドシンという音と共に、地面が揺れて土埃が舞う。その土煙を振り払うように大剣が振り回される。


「流浪の剣豪!再び参上!」


 剣を担ぎ、ポーズを取ったその男はザンドだった。


「やい!お前達!一昨日はよくもやってくれたな!」


 ザンドが地団駄を踏むと、セリが苦笑いしながら反論する。


「いや……あれは自分で足元を崩したんじゃ……」


「そこ!静かに!」


 セリの指摘をスリーズが注意する。


「……だが、今回は前のようにはいかん!何てったって、今は頑丈で平面な大地の上、さぁ!覚悟せよ!」


 そう言って剣を振りかざしたザンドは、そのまま真上へ飛び上がる。


「刮目してみよ!炎風融合!サンダー・ソードV2!」


 雷を纏った剣を地面に突き刺し、以前同様派手に電気を吹き上げる。


「……ぶいつーって、前とそんなに変わってないじゃんか……」


 ボソリとつぶやいたカイレンを、ザンドは鼻で笑う。


「ふん。素人には、見ただけでどう変わったかはわからんか……。いいだろう、特別に教えてやる……」


 そう言うと、ザンドとスリーズはニヤリと笑って飛び上がる。


「転がり落ちたあの後に、あの丘を登り!星祭りに間に合うように走り!カッコつけるためにこの宿舎に登った!この短期間で鍛えられたこの足が!目に入らぬかーっ!」


 そう言って二人は地面を踏み締めた自らの足をパチンと叩いて強調する。その様子を、四人は白い目で見つめる。


「何でいちいちジャンプするんだ……?」


「カッコつけたって言っちゃってるし……」


 しかしザンドは気にしない。


「そう言うことなんで……さあ、どっからでもかかって来んかーい!」


 ザンドとスリーズは武器を構えて戦闘体制を取る。その時、度重なる振動で弱っていた宿舎の看板が外れる。


「がっ……!」


 看板が頭に直撃したザンドとスリーズはその場に倒れ、のびてしまった。


「……大丈夫かな?」


「ピクピク動いてはいるし、そのうち起きるだろ……」


「ほっとこ、構ってる時間が勿体無いよ……」


 一行はフィンベルの村を後にした。



 帰り道は怪しいものに襲われることもなく、半日ほどでエアロムントに戻ってくることができた。


「あ!リクト!」


 エアロムントの南門にはアシュレイの学友の一人、リクトが彼のパーティメンバーと共に旅の支度をしていた。


「おお、アシュレイ!今帰ったとこか?遅いなー。俺たちはさっき、ギルドからの報酬金を受け取って、今からまた旅に出るとこだぜ!」


 それを聞いたカイレンは目を光らせる。


「何!もう報酬金が受け取れるのか!?悪い、みんな!俺は先にギルドに向かうー!」


「あ、こらカイレン!報酬金はみんなで平等に分けるんだからね!独り占めはダメなんだからねー!……行っちゃった」


 セリの注意を背に受け、カイレンは猛スピードでギルド方向に走っていった。


「アシュレイ達も、この後また旅に出るのか?」


 リクトの問いに、アシュレイはもちろんだと頷く。


「だよな……今から出発する俺たちが言うのも何だけどさ……。今、ギルドの依頼が……」


 その時、何かを告げるような強風が、門のそばの木々を揺らし、木の葉が数枚落ちてくる。


「...え?」


 リクトが言ったセリフに、三人は少し困ったといった表情を見合わせると、リクトたちに手を振って、ギルドへと向かった。

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 第21話「祭りの後で」いかがでしたか?


 ザンドたちはしつこくリュミナ達を追いかけてきていましたが、今回は戦闘にならず、何事もなく平和にエアロマントに戻ってくることができました。さらにエアロムントでは、以前の地図作成依頼における報酬金を支払っており、それを受け取ったら、また旅が再開しそうですね♩


 しかし、最後にリクトは一行に何を伝えたのでしょうか?次回、新たな旅が...始まる?


 次回「パーティランク」水曜日投稿予定です。お楽しみに!


☆ブックマーク・評価・感想をいただけると、投稿主の励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ