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星霜エルフの追想録  作者: 古賀月 蜜柑


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第18話 戦闘!ザンド!

 静かな林を一頭のエルクが駆けていく。その背後から飛んできた一発の風弾が木々の葉を散らした。


「〈空気の弾を出す魔法(ウィンド・ショット)〉」


 アシュレイが二発目の風弾を放つがスリーズは木々の間を飛び回り、まるで羽でも生えているかのように軽やかにいなし、アシュレイに狙いを定め、飛び込んでくる。


「させるか!」


 盾で受け止めたカイレンは、右の拳で反撃するが、攻撃を防がれたスリーズは即座にカイレンの盾を蹴って枝に飛び乗る。


「隙あり!」


 背後から、カイレンを狙ったザンドの攻撃をセリが剣で受け止める。しかし力負けして後ろに吹き飛ばされる。追撃しようとしたザンドの足元にリュミナの魔法の矢が刺さり、ザンドは素早く後ろへ飛び退く。


「逃がさない…」


 再び弓の狙いをつけたリュミナだったが、弦を引き切る前に飛び上がってきたスリーズが斬りかかり、驚いたリュミナは枝から飛び降りる。


「あのスリーズって人、速すぎて捉えられない!」


「ザンドってやつも、すごい力だ!」


 カイレンとセリが体勢を立て直していると、すごい勢いで風が舞い始める。


「話してる暇あるんかぁ!〈風に斬撃を乗せる魔法(エア・スラッシュ)〉!」


 離れた位置から放たれた風の魔法は、周囲の木々の隙間を縫って正確に四人を吹き飛ばす。


「ぐっ、林の中での戦闘は不利だ!みんな、外に出るぞ!」


 カイレンがそう言って吹き飛んだアシュレイを引き起こし、一斉に林の外に向かって駆け出す。しかし、


「……逃がさない」


 枝を伝って追いついてきたスリーズが、走るセリの背中を捉えて飛び込んでくる。


 ガキンッ!という音とともに、スリーズは地面に着地し、恨めしそうに上を見上げる。


「……驚いた。弓使いだと思っていたが」


 スリーズに負けない身のこなしでリュミナが追いついていた。そしてその手には円月輪が握られていた。



「……よし、ここまでくれば、スリーズの身軽さも関係ないぞ!」


 林を抜け、丘を登った一行は再び武器を構え直す。


「甘いぜ!ガキ共!」


 遅れて丘を登ってきたザンドはさらに大ぶりな動きで大剣を構える。


「林で戦いづらかったのはお前らだけじゃない。俺もだ!しかし、ここなら俺も!全力の本気を出せるってもんだ!」


 そう言うとザンドは大剣を高々と掲げる。すると掲げられた大剣が震え出し、熱を帯びた風を纏い始める。


「あれは…まさか!」


 アシュレイが驚くとザンドは再びニヤリと笑う。


「そのまさかだ!とくと見よ!炎風融合!〈雷を剣に纏う魔法(サンダー・ソード)〉!」


 叫んだザンドは雷を纏った大剣を地面に突き刺す。丘が揺れ、剣から放たれた電気がザンドたちの足元を派手に光らせる。


「授業で習った属性の融合…。炎魔法と風魔法を合体させて、雷魔法を使った……。あいつやっぱりただものじゃないよ!」


 アシュレイが汗を垂らしながら解説する。


「だろう?もっと褒めてくれてもいいぜ?」


 ザンドは大剣を担ぎ上げ、ドヤ顔を浮かべ、スリーズはやれやれといった調子で額に手を当てる。次の瞬間、再び地面がズシリと揺れる。


「?なんだ?」


 ザンドもよくわからないといった様子で周囲を確認する。ズシン!……再び地面が揺れ、ザンドの立っていた周辺の地面にヒビが入る。そして――


「な!地面が!ぐわー!お、覚えてろー!」


 先ほどの一撃で地面が弱ったのか、ザンドたちの周辺が崩れ落ち、二人の戦士はそのまま転がり落ちていってしまった。


「な、なんだったんだ…あいつら」


「さぁ...?」


 カイレンたちは呆れた顔で武器を収めると、気を取り直して前を向く。


「さぁ、先へ進もうか。アマカゼ平原はもうすぐだ!」

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 第18話「戦闘!ザンド!」いかがでしたか?


 人数差を感じさせない、ザンドとスリーズの強さはリュミナたちにとってかなりの脅威になりそうですね。


 それはそうと、目的地まではもう少し!新たに訪れる場所ではどのような出会いが待っているのでしょうか?


 次回「信じてる」水曜日投稿予定です。お楽しみに!


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