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イェルガー族の新生活

イェルガー族は早速、俺が知ってる知識を教わろうと全員が集まってきた。

俺もその思いにしっかり応えなければならない…


「まずは調合の仕方を見せるよ…ここではどんな草や石が生えているんだ?」


「草があると言えば、あちこちにある岩場のてっぺんに小さくて赤い色をした葉っぱ・レッドローブとあとは…」


「岩穴の中に生えている青い色をした花・シュウコン()だよね?兄ちゃん」


「そうだなルガート!ただ、どちらも試しに食ってはみたんだがそのまんまじゃ食えたもんじゃなかったんで、それからはほっといた訳なんだが」


「そうか、じゃあ試しにそれを取りに行きたい…って思う所だけど、まず最初にあのでかい魔石も回収してくる!あれは流石に運ばなかったみたいだね」


「ああ、肉ばかり食ってたからそういうのは興味なかったんだよ…あれがなんだってんだ?」


「あれこそ、一人ごとが持ってる隠されたスキルを目覚めさせるために必要な物なんだよ!

あれを細かく砕いて食べてみたら良い…でもあれの味はとてつもなく甘いから、なるべく注意してね?ひどい時は夢中になる相手もいるから」


全員「食えたのか‼︎」


「あはは、最初は偶然知ったんだけどね!

ついでに、今から俺の真似をしてほしい……俺が[ステータス]と言ってみるからみんなも声に出しても出さなくても、心のなかでも良いから言ってみてくれ!きっと驚くから…ラーナもやってみてね」


「はーい!」


「じゃあ行くよ…ステータス」


全員「ステータス」


「…うおっ!なんだこのヘンテコな色と形をした板は‼︎」


イェルガー族「ザワザワザワ……」


「あはは!それがさっき俺が話していたステータスってやつだよ

それは自分自身の状態を見る事ができるんだ!

そして何ができて何がダメなのか…考えるのにとっても大事な事だから、覚えといてね!」


俺のステータスの方は……うん、この精神的に刺激が強すぎる表示は、まだ公表すべきでは無いようだ。

こんなものを今見てしまったら、みんなもやる気を無くすどころか俺が抜けたら間違いなく総崩れになるし、みんなが今見た事を落ち着いて受け入れてくれる事だけに集中しよう。


「ナルガス!俺の所にサーチとか鑑定とかあるんだけど、どうすれば使えるの?」

ルガートがなんと、鑑定と索敵のスキルを持ってくれていた!


「ん?俺は炎甲(えんこう)と、調合ってのがあったみたいだな

それになんだよ炎魔法って…よくわかんねぇ」


「ルガースすごいな!調合があれば薬とかの作成がしやすいよ?炎魔法は扱ったことはないけれど、特訓の仕方なら分かるから聞いてくれ!

炎甲については俺も知らないから、もしまたあのでかい虫が出てきたら扱いを覚えた後でも試しに攻撃に使えないだろうか」


「お、俺があのデカブツにか?そりゃ存分にぶちのめしてやりたいとは思ってるけどよ…

まずは魔法ってやつをどうすれば扱えるようになるのかだけ教えてくれよ…そのあとは俺なりにやるから!」


男衆「俺たちもだ!」

みんな、本当はあのキリング・ミールを倒したくてたまらなかったんだな?


なら…教えられるものを彼らに全て教えよう!そうすれば彼らでも、自力で生きていける筈だから。


「分かった!まずは魔石を持ってくるからみんなはここで待っててくれ」


全員「(頷)」

さあ、しばらく忙しくなりそうだ…



同じ頃、神の間ではナルガスがイェルガー族と対峙していた時から今に至るまで内心ハラハラして慌てながら様子を見ていた神が、スーツのポケットから白いハンカチを取り出し、冷や汗を拭って落ち着きを取り戻しつつ眺めていた。


「やれやれ、アイツよりによってあの獰猛な種族のはずのイェルガー族を助けちまうとはな!

何せ俺が初めて見た時なんざ、あいつらを他種族を食い散らかすだけの存在としか見れていなかったし、おまけにあんなモンスターがいただなんて知らなかった……これに関しては完璧に俺の落ち度だったと認めざるを得ない

よし!お詫びの気持ちを込めて、砂漠中にある全てのオアシスの水を彼らが離れている間に清めよう!

そのあとはまあナルガスの働きに期待するって事で早速……[砂漠の水よ、清くあれ]!ふぅ〜…あとは適度に頑張れよナルガス」

その後、神からライにこの事を告げられた直後、ライは教会の中で口から泡を吹いて倒れた。


そばにいたメルマとジルカ。並びに、レダを含めた家族も正気を取り戻したライから神の伝言を伝えられた途端、同じように気絶してしまっていた事などナルガスは知る由もないだろう。



所変わって、神ゼオのいる天界からゲラルドを含め彼ら全異種族達が暮らしているまでの世界とは完全に無縁な場所…[亜空間(あくうかん)]と呼ばれている。

その無限に広がる淡く黄昏時のような明るさと、どす黒い空気みたいなものが漂うその中心地にはひどく朽ち果てた、かなり太古の玉座らしき残骸が存在していた。


奇跡的に無傷のまま残っていた漆黒の玉座に座り、足をなんとか組もうと必死に自身の手で持ち上げようと苦戦していたハニワ姿をしたルシフェルがそこにいた…


「フッ!フン‼︎くそ…やはり手も届かぬし足が上がらんか!


幸い亜空間の穴を見つけることができて無事に戻ってくる事はできたが、忌々しい姿に変えてくれよってあのナルガスめが‼︎……フフフ、だがアイツは今頃亜空間の覇者・『古の3巨人』の一人に無惨に破れている筈だ

先人達の叡智(えいち)と技術に満たされているこの世界の仕組みなど、あの後釜で入ってきた程度の神ゼオはまだ知らんのだからなぁ?ハハハハハ!」


「おい主、戻ったぞ!」

どこから現れて来たのか、ゲラルドでナルガスを吹き飛ばした例の巨人がこの亜空間の中では通常サイズで突然姿を現した。


「おお!よく戻ったなゲルル…奴はちゃんと始末できたんだろうな?」


「あんなの俺様にはただの雑魚ですぜ主様よぉ?

なんせ俺の威力低めな白炎弾に『盾を構えて』防ごうとしてやがったんだ!

その割に地の果てまで吹き飛んで行きやがるくらい、なんの力もねぇのよ…今ごろどこかの陸地でぺちゃんこさ

まあ最初に俺の居場所に気づいてたのか、小さい竜がそいつの代わりに攻撃してきたのは少しびっくりしたぜ!

思わずムカついて攻撃したが小さくなってた奴がいきなり大きく戻って、竜の姿だけが一瞬で見えなくなったのは気になるがな?」

ゲルルと呼ばれたその巨人だった時の者の目には、ナルガスが使用していた空間操作を認識することができない上に、更に小さくなったゼムノスを肉眼で探す事はできなかった。


「フハハハハ!そうかそうか‼︎流石は古の3巨人と言われるだけある……そんな弱い竜の事など捨て置け

せっかく利用しようと考えていた奴に邪魔をされて忌々しく感じていたが、いなくなったのなら構わん。あんなやつなどなくとも、私はあの世界を征服して見せるのでな‼︎

あの世界の支配権を仮の神となっているゼオを始末した後で玉座ごと奪い取り、あそこで暮らしている世界の連中を心置きなく支配して苦しめてやろうではないか!」


「…主様よぉ、何故そこまであんな弱いやつしかいない世界にこだわるんです?探しゃああれよりも上物な所は数えきれねぇくらいあったでしょうや」


「ふっ、分からんのか?抵抗できない程奴らを好きなだけ潰して観念した奴らを従わせられる事ほど、愉快でたまらないものはないだろうが」


「へっへっへ!あんた……ほんっとうに正真正銘の[悪魔]って訳なんだな?こえーこえー」


「くくく!勝手に言っておれ…ここから先がとても楽しみでならんよ」

ハニワ姿であるにも関わらず、悪魔という表現以外に例えようがない程、歪んだ笑顔を作っているルシフェル。


彼の醜悪な笑顔にさりげなく顔を背けたゲルルと呼ばれし者はその場から姿を消すが、彼は主とは違う目的で動こうと、密かに考えていた。


「…けっ!アイツめ、みみっちい神経な上に根暗な性格をしたクソ垂れた偽主が‼︎

俺としては、実力が強い奴と全力でぶつかってねじ伏せて勝つのが一番好きなんだ!

正直あんな野郎を元から信用してねぇし、他の二人も『無価値』『あんな愚者には付き合わん』って言っていたしな

いっそ連中の世界に紛れて暮らしてみるか!やつらと同じ世界に行っとけば退屈はしないはず……

ああ~でもな、あの世界にいる種族の[アバター]まだあったっけ?なんでも良いんだがなぁ~」

ゲルルは亜空間に収納している『パンドロン箱』へ片手を適当に突っ込んで、フィギュアサイズの竜族を選んだ。


「こいつにしてみるか!なになに、エウルーガ・ドラゴン…なんだそりゃ?

まあ良い、これで行ってくるか!」

彼は竜族の人形を片手に持つと、円筒状に延びてきた黒光りする台にそれを乗せて立ち止まる。


「これゲルル、あの世界に不要な干渉をするでない…ワシの命令をもう忘れたか!

『いつ、いかなる時にも無断でかの世界に立ち寄るな!彼らの暮らしを妨げてはならない!』……そんなたった二つの守り事すら、己は守れやせんのか?愚者のルシフェルになぞ待て遊ばされおって…」


「うるせぇアバじじぃ!俺はいい加減気晴らしがしてぇんだよ…野郎に従う振りをしているだけですんげぇむかついてくるんだから、少しくらい良いだろうがよ‼︎」

ドンッ!


「…どんな目に遭ってもワシは知らんからな?もう勝手にせい」


「言われるまでもねぇ、あばよ‼︎」

ゲルルの魂はナルガス達の暮らす世界へと、特別な力が働くその場所からワープして行った。

抜け殻となった体はそのまま、彼が寝床としている場所へとゆっくり『目に見えない何らか』の力によって、運ばれていく。


「…我が父アバ、息子の非礼は私が謝ります!どうかお怒りをお沈めくださいますように」


「インマヌス……あのわんぱく小僧が、巨人の姿となって君臨し、来るべき時が来るまではあの世界から決して戻ることなどできぬと言うのに」

古の3巨人…ゲルルの他にいるこの二人、アバとインマヌスは落ち着きのない我が子を見て、共に重いため息をはいていた。


この二人の正体をナルガスが死んだと思い込んで鼻を高くして笑い続けているルシフェルは一才知らない。何故なら…始まりの神がこの二人だったからである。


彼らは忍耐をもって[時]を待っていた。来たるべき裁きの時にどの者達をあの世界に生かすか、そして誰に終わりの裁きを授けるかを…



イェルガー族達とこの三日間、キリング・ミールという新しい食材の確保ができるようになると、彼らの先祖が過去に飲んだとされていたオアシスに俺は案内された。

するとその水がきれいな無色透明な清い水へと変わっていた事を彼らは知り、泣いて喜び出す。


「奇跡だ‼︎」


「神よ感謝します!」


「俺たちはもう、同士や他種族を食わなくて済んだんだ‼︎」

全てのイェルガー族達が大声を上げてこの出来事を心から喜び、神様にみんなが感謝していた。


「神様…せめてもっと早くこの世界にいる全ての種族達の事情くらい見てあげてれば良かったんじゃないの?」

ナルガスが思わず愚痴をこぼしていると神の間から神様が…(返す言葉もない)と、呟いていた。



「ありがとうよナルガス!お前がいてくれたおかげで、俺たちはもう悲しい思いで他種族を食う必要も無くなった!

あんなに焼いたキリング・ミールの肉がうまかったなんて、思いもしなかったぜ」


「俺はたんに、やりたいと思ったことをしただけだ

あとはそっちの意志でしたことなんだから大した事ではしないよ……ところで、ラーナの方はもう直ったんだな?」


「おう!まさかあの二種類の草を調合したものが、ラーナの食中毒どころか俺たちの血に宿った『歩く屍』を直す為の薬になるとはな!

先祖もこのスキルの存在を知ってさえいれば、生き方はうんといい方向に変わっていたかも知れねぇが、今こうして変わることはできた‼︎

これも全てナルガス、お前のおかげだ!本当にありがとう…

あと、お前が飛ばされたときに使っていたと言ってた『空間操作』と『収納魔法』のスキル習得を教えてくれてありがとうな?」

これで、今後彼らの未来は明るいものへと変わって行くことだろう。


ひょっとしたら、自由にこの砂漠を渡る旅ができる民族として世の中に知られる日が来るのも、近いかも知れない。


「どういたしまして!もう大丈夫そうみたいだし、俺もそろそろコウテイアホウドリ族が住む国へ旅に出かけなきゃ!

いつかみんながゲラルドに遊びに来てくれることを願うよ」


「…もう行っちまうのか、じゃあせめてラーナに声をかけてやってくれねぇか?今、起きてるからよ」


「そうだね…俺もあの子が魔石を一かじりしてたのを見てたし、もしかしたら何かすごい力を見つけてるかもな?」

俺とルガースは、ともにこの天幕の中で小さく仕切られていた場所へと入っていく。


俺が入り口を入ると、先程までステータスを見ていたのか彼女は指であちこちなぞっていた。


「おはようラーナ!もう大丈夫そうだね」


「あっ、ナルにぃに~‼︎」

ラーナは先程まで眺めていた己のステータス画面を閉じるや否や、寝床から勢いよく飛び起き…


「ぐはぁ⁉︎」

俺の頭に、信じられないくらいの勢いで頭突きをくりだしてきた!


「みてみて~!あたしこんなにげんきになったよーー‼︎」


「だ、大丈夫かナルガス?俺も今朝薬をラーナに飲ませたらすぐ、『…なおった~!』と叫びながら腹にくらっちまったんだ」


「あ、ああ…とりあえず大丈夫だぁ~?」


「全然大丈夫じゃねぇだろ⁉︎ってかラーナ、元気になって嬉しいのは分かったから頭突きはその辺にしてくれ!俺の身ももたねぇから」

ルガースがラーナの頭突き癖ができてしまった事にあきれるも、俺はまだ隣でフラフラしていた。


「にひひ、ごめんなしゃーい」


「やれやれ!こりゃしばらくは手がかかりそうだな…そうだ、ナルガスがお前に伝えておかないといけない事があるんだとよ」


「え?なにかななにかな~!ひょっとして、およめさんにしてくれるのかな~?きゃー♪」

一人でしゃべって舞い上がっていたラーナに、頭のフラフラが収まった俺は少し間を置いてから、静かにラーナへと語りかける。


「…いいかいラーナ、俺は今からコウテイアホウドリ族のすむ国に行くから、ここでお別れするよ」


「えっ……やだやだやだ~‼︎ナルにぃに、いっちゃやだぁ~~!」

間近であらんかぎりの大声で叫び声をあげてきたラーナに一瞬耳を塞いでしまった俺だが、気を取り直して構わず話し出す。


「寂しいとは思うだろうけどごめんな?俺もラーナみたいに明るい性格の妹分がいて、俺の帰りを信じて待ってくれているんだ

だから、俺は帰る為に行かなきゃいけない…」


「う、ひぐっ…うえぇ~ん!」

泣きはじめたラーナの頭にそっと優しく手を置いて、そして言う。


「ラーナも、そしてルガースやみんなもここを出られるくらいたくさん強くなっていつか遊びに来てくれ…俺もゲラルドのみんなも歓迎するから!」


「う、うぅ~…」


「…じゃあね」


「あたしも……あたしもいっしょにいく‼︎」


「「ラーナ⁉︎」」


「これみてあたしのステータス、ぜったいがんばるから!」


ラーナ レベル3(↑)


HP250(↑) MP1000(↑)

スタミナ800(↑)

攻撃力500 防御力600

賢さ500 器用100

素早さ1000 魅力200


オリジナルスキル

闇の目

(どんな暗い闇のなかでも、クリアに見ることができたり、闇系の魔物を召喚できる)


スキル

闇魔法I 水魔法I

光魔法I 火魔法I

かまいたちI 闇の(かま)I

Newステータス閲覧F

Newヘッド・アタックI


称号

アンデットイーター[屍喰らい]

鎌に選ばれし者

New閲覧者

死神の御子

危険な魅惑娘


なんなんだよ、このおっかないスキルと称号は⁉︎ってか、ラーナはいつの間に共有を覚えたんだ?俺はまだステータスの共有方法なんて教えた覚えは無いはずなのに……まさかルガースが?


「お、おいおいナルガス‼︎なにそんな疑いの目を俺に向けてんだよ?俺は知らねぇぞ⁉︎

逆に俺の方が、ラーナから色々教わったんだ!」


「はぁ~⁉︎どうなってんだよ!」


「俺が知るかぁ⁉︎」


「ふたりとも、めー!」


「うっ!」


「うぐぐ…」

何故か俺たちの方が、ラーナに叱られた。


「あたしをつれてって!かならずじゃませずについてくから!」

確かに、こうまで言ってるこの子を強引に突き放してしまえば、近い将来キリング・ミールの恐怖どころでは済まされないかも。


「分かった、ただしラーナだけではダメだ…もう一人ついてきてもらう!」


「ナルガス……よっしゃ、二人とも今すぐ外に出な?これからみんなと話してこようぜ」


「ああ!さあ行こう…ラーナ」


「う、うん…」

俺たちはルガースの後に続いて、ゆっくり進んでいく。

なんか途端に元気を無くしているラーナだが、それは仕方ない。これはあくまでも妥協点だ!本当なら俺のわがままに誰も連れてきたくはなかったけど。


だがもし、これで俺が無理矢理拒んで幼いうちにこんな危険な力を持ったラーナが八つ当たりでこの種族達を根絶やしにしてしまったとしたら、そうなれば必ず他の種族にも危険が及ぶ…それだけは回避しなければ‼︎


「おっ二人とも来たか、さあ前まで来てくれ!」


「分かった」


「……」

俺とラーナがルガースを挟むようにして隣に立つと、彼は目の前に集まっていた全員に向けて大声で呼び掛けた。


「みんな聞いてくれ!俺たちの恩人であるナルガスが、コウテイアホウドリ族の所に行くため今日から発つ!そこで相談なんだが、実は俺の妹…ラーナがナルガスの旅についていくと言ってきた!」


みんな「ラーナが⁉︎」


「うそだろ?まだあんなに小さいのに…」

イェルガー族も戸惑いを隠せないのか、母親を含めみんなが騒ぎだした。


「みんなも既に知っているとは思うが、この子は俺達の中で唯一暗闇の中を明確に進み続ける力がある!その証拠にこの子が生まれてから、あの虫どもの夜襲をいち早く察知してなんとか今日まで生き延びてこれたんだ

だから、この子が今したいと思っていることをそろそろさせてやるべきだと思う!

俺達の中で一人だけ、この子のそばにつきナルガスと共に旅をしたいと思うものがいたら、どうか返事をしてくれ‼︎」


全員「………」

誰一人として、返事も挙手もしない…まあ無理もないな。やっと虫退治の生活を覚え始めたばかりなんだから一人も声を出せるはずが…


「分かった!なら俺がナルガスとラーナについていく‼︎」


全員「ルガース⁉︎」


「…にぃに?」


「良いのか?ルガース…俺の旅はゲラルドについたら終わるかも知れないんだぞ?」


「へへ!構わねぇよ、俺も一生に一度くらいは行ってみたかったんだ!先祖達が過去に行ったことがあると言われていた…[都市・ゲラルド]にな?良いだろみんな!」


「そうねルガース……あなたはいつもこの子達の兄であり、今日まで頑張ってきてくれたんだもの

正直寂しいけれど、あなたがラーナを守りながら旅をしてくれると言うのなら、母さんは反対しないわ…体に気を付けるのよ?二人とも」


「ありがとな母さん…ルガート、あとは任せるぞ」


「任せときなって兄ちゃん!」


「…おかぁさん」


「…ごめんね、あなたにひどいことを言ってしまった私をどうか許してね…愛してるわラーナ、元気に暮らすのよ?」


「う…うえぇぇん~~‼︎」


「…なんにしてもナルガス、日中に出るのは良くねぇからここは最初にラーナが提案したように夜出発するぞ!

その時間の方がやつらは砂の上にほとんど顔を出して寝てるから、とても動きやすい」


「えっ、でも夜なんて…」


「心配すんな!俺たちは常に身の危険を感じながら生きてきたんだ

それによ、ちったぁここで年上らしい事くらいは言わせてくれよ!一応これでも14歳なんだぞ?」

ルガースは狼のようにふさふさした自分の体と同じ、夜のとばりを連想させる濃い色をした尻尾をご機嫌に振りながら、答えた。


「あはは!うん、分かったよ…じゃあそうしようかな?ルガース『兄さん』!」


「うわぁ!やめろい急に…気持ち悪ぃ!おかげで変な鳥肌っぽいのが立っちまっただろうが⁉︎」


「ひでぇ~⁉︎」


全員「ワハハハハ‼︎」


「…ナルにぃには、まるでかみさまみたいにあんしんできるね」


「そうか?ありがとなラーナ!無事にゲラルド着いたら、妹のように可愛がってるレダにも会わせてあげるからね?」


「その、レダっていもうとちゃんとナルにぃにはどんなかんけい?」


「あらあらまあまあ♪この子ったら!」


「全く、ほんとませた妹だぜ…」

みんなが苦笑いをしながらラーナを見ていた。


「どっ⁉︎どんなってそりゃあその、なんと言うか…ゴニョゴニョ」


「おいおいどうしたよナルガス?年端もいかない子供の言葉に何で緊張してんだよ!気にせず考えてる事をズバッといっちまえ‼︎」

ルガースはにやけ顔で、俺の背中を叩いて促し…


「こどもあつかいはめーなの!」

ラーナは兄の足をポカスカと必死に叩いて抗議していた。確かにここははっきり伝えとくか!


「レダと俺の婚約者…つまり、将来結婚を約束した者同士なんだ!それを変えることはできない…」

俺はラーナの目線に合わせて、優しくも厳しい意志を伝えた。


「やだ、いやだよぉ~…」

いやいやと駄々こねても、構わず言う。


「ごめんなラーナ、だから俺がゲラルドに帰ったときに紹介するレダとまず仲良くなってみてくれ

俺はこのイェルガー族のみんなと、こうして分かり会うことができて本当に嬉しかった!

はじめはみんなの事を、旅人を食い殺して喜ぶ怖い連中だとずっと思ってたから……

けどこうして会話して共に暮らしてて、全然そんないやな感じはしなかったんだ

それとおんなじで、ラーナが心ひかれる相手を一緒に探すことを約束するよ!俺を好きになってくれてありがとな」


「あきらめたく…ないよぉ~」


「よしよし、いい子だからナルガスの気持ちも分かろうなルーナ」


「にぃに~~‼︎」

3歳の女の子相手に本気で気持ちをぶつけてしまったけれど…レダ以外を選びたくはない。

彼女が一番俺を信じて、今も一生懸命に頑張ってくれてるから。俺は後悔しない…


巨人に吹き飛ばされ、奇跡的にも生還し最初は神が危惧していたイェルガー族を助けたことでお互いに打ち解ける事ができたナルガス。

その先にあるのは、3人を救い主(?)と崇められる出来事が待ち受けていた…

ふぅ、手直しがずいぶん長びいた…


次回の更新は今月の21日…22時にさせていただきます。

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