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ルードス帰還とゴブリンの異変

「うわぁ‼︎」

ブンッ!っと大きな腕のパンチが飛んできたのを感じたので、俺は寸前の所で避けた。


オーバーセンスを使ってない状態で避けたからだいぶん慌ててしまったけれどなんとか無事だった。


「ナニシテル!コイツアブナイ……ニゲロ、シヌゾ‼︎」


「へぇ、コルナ以外にも良いゴブリンっていたんだなぁ…少し嬉しいや」


「こるな⁉︎ブジナノカ?」


「…コルナの友達か何かか?安心しろ、元気いっぱいだし今はぐっすり寝てるさ」


「…ヨカッタ!」

おいおい、ゴブリンごこんなに感情を露にするモンスターだったなんて知らなかったぞ。

てっきり転生したあのコルナだけなのかと思ったじゃないか。


「なぁ、戦うなってお前は言ってるけどこのデカブツは逃がしてくれそうにないぞ

コイツはお前にとって、倒しても良い奴なのか?」


「エッ?ア、アア!」


「それを聞いて安心したよ…」

すぐにオーバーセンスを常時使用に切り変えて俺は双剣を強く握りしめ、不敵の笑みをこぼした。


「「⁉︎」」

二体別々のゴブリンから、ひどく緊張した顔が浮かび上がる。


「フフ…お前は何秒持つんだろうな?」

無情としか思えない連続攻撃を俺は目の前のでかいゴブリンに対し、何度も何度も繰り返し続けた。


「グホァ⁉︎」

とうとう耐えられなくなったのか、でかいゴブリンはうつ伏せの状態となりそのまま息絶えた。


「ふぅ、久しぶりに結構動いたかな!……お前の方は大丈夫か?」


「ヒ、ヒギィ‼︎」

恐怖で怯えているようだ。

俺、毎回誰かと出会う度に恐れられてる気がするんだけど気のせい?


「はぁ、もう大丈夫だからそんなに怖がるなよ」


「ウ、ウウ…」


「とりあえず無事みたいで何よりだ!じゃあ、倒したコイツは空間に入れて縮めておこうかな

今夜か明日の朝にでもミアさんたちに見てもらえば良いだろ」


「オマエ、マサカオニネコサマカ?」


「えっ‼︎いやまあ、あながち間違いではないかも知れないが歴史に出てるのとは多分違うと思うぞ?」


「タノム……こるなニアワセテクレ、オニネコサマ」


「鬼猫ってそう何度も言われてもなぁ……一応俺の名前はナルガスって言うんだよ

できたらそう呼んでほしいから頼んだよ?ところでお前の名前は?」


「オレ…オレハ[ごーふ]、ごーふダ」


「分かった!じゃあゴーフついてきてくれ」

夜の都市ゲラルドは、昼間とは別の違う賑やかさがあった。

それこそ、こんな年端のいかない子供が出歩くには刺激が強すぎる光景がそこかしこに広がっている。


強いて言うとなれば、盛りのついたオスメスの交遊…としか言えそうにない。

はっきり言ってしまうと、理性がぶっ飛んだ状態で本能のおもむくままにそこかしこで[行為]をしているである。


「「………」」

そんな危ない時間に大人の男女が盛っている道中を、俺とゴーフはなるべく周りを見回さないようにまっすぐ宿屋に向かっていた。


「な、なるがす…ココハコレガアタリマエ?」


「すまん、実を言うと俺もこの時間で歩いたことが無いんだ

間違っても盛りがついたからと言って所構わず女の子を犯す真似なんかするなよ?」


「シナイ!マダ……シラナイ」


「そうか、ならまあ安心だな!

……ついたぞ?ここが俺達やコルナ止まってる宿屋だ」

俺達が宿屋の入り口をくぐった瞬間、強烈なタックルをレダがかましてきた。


「ぐへぇ⁉︎」


「もう~お兄ちゃんのバカバカ‼︎心配したんだからぁ!」


「ご、ごめんレダ!首はヤメテ……苦しい」

どこで覚えたのか、レダにタックルされた直後後ろをとられ、そのまま俺の首を両手で握ってきたのだ。


「もうレダったら~お兄さんが死んじゃうからその辺に……って、ゴーフ?」


「こるな‼︎ヨカッタ!」


「わっ!ちょっと離れてよぉ~~‼︎」


「ウレシイ、アイタカッタ‼︎」

俺の後ろにいたゴーフがコルナを見るや否や、すぐに走っていき抱きついてきた。


「フワァ~…何の騒ぎ?」


「あれ?なんでまたゴブリンが増えてるの?」


「てき、じゃない?」

サラティ、シエッタ、ビーが起きてきてそれに反応していると他の皆も起きてきた。


「…お兄ちゃん、何がどうしてコルナ以外のゴブリンと仲良くなってるの?」


「うん、レダの疑問はその通りだしその事についても話したいから、早く俺の体に巻きつけている尻尾をほどいてすぐ降りてくれ…」


「ぶぅ~!ケチ」


「…最近どんどん激しさがましてないかレダ?」


「何言ってるのお兄ちゃん?いつも通りじゃない」


(毎日過激になってるのはいつも通りなのか?)


「まあ、とりあえず話はするからそこに座ってくれ

皆も眠たいだろうけど聞いてくれないか?ダメそうなら明日の朝にでも…」


「待って待ってお兄さん!わたしこのままの状態で朝を迎えたくないよ⁉︎」


「あ、ごめんそうだったね……ほらゴーフ、そろそろ離れろよ」


「ウ、ウン…」

名残惜しそうにコルナから離れたゴーフを見届けてる間にみんなも席についてくれていたので、俺が外で味わった事を詳しく語った。


「おいおいナルガス、それはさすがに大人に知らせた方が良いって!

正直そんなデカブツ倒すお前の力がバケモンじみてるのはいつものことだが、こんな危ないことがこれからも起きるかも知れねぇだろ?だからよ、今からでもギルドに行こうぜ!」


「私もヴォルスと同じよナルガス!これはすぐにミアさんに言っとかないと……明日はルードスに戻るのにこれじゃ不安で眠れないわ!」


「そうだな、そうしたいんだがその……今は俺達子供が一緒に出て良い雰囲気じゃないんだよこの夜のゲラルドは」

俺とゴーフが揃って思い出したように顔を真っ赤にしてしまうのを見て、みんなは悟ってくれたのか口を閉ざしてその話をしなくなった。


「で、でもさナルガス…転移なら外を動き回らなくても良いよね?」


「エリオル、ナイスアイデア!」


「「転移?」」

コルナとドルファは聞きなれない言葉に首を傾げているようだ。


「転移ってのは早い話、一気に目的の場所まで飛べるためのスキルだよ

サラティ、シエッタ、レダも!早速やるから手を貸してくれ」


「うん……って私達この格好なんだけど?」

そうだった。今この子達は寝巻き姿のままだったんだよな?


「あっ、ごめんごめん!じゃあ俺達ここで待ってるからみんな悪いけど着替えて来て?」


子供たち「分かった!」


「…なるがすハネコゾク、ナゼミンナシンジテイウコトヲキイテル?」


「ああ、確かに俺は猫族だけど俺ら家族はあの子達の暮らしているルードスで感謝される事があってね?なのでそれからはみんな信じてくれるようになったんだよ」


「ドンナコトシタノカ、キニナル」


「まあ、一段落付いたらみんなと話してみなよ?きっと話してくれるから」


「ワカッタ」


子供たち「お待たせ!」


「ありがとうみんな、眠たいときにごめんね?」


「気にすんなナルガス!俺達は今や冒険者の一員ってやつなんだからよ?」


「ああ、そうだな!じゃあさっそく行こうか

みんなで円になってそれぞれが手をつなごう」

皆は俺が言った通り円となり手をつないでいき、俺の隣にいたゴーフの手をレダがつないでくれた。


「よし、みんなギルドの場所を頭で思い浮かべて?合図したら一緒に飛ぶよ!」

皆はその場で頷いてくれたので、すぐに俺達はイメージを浮かべる。


「…見えた!今‼︎」

四人で一緒に転移を発動した。



一方その頃、現在のギルド内酒場ではナルガス達の両親とギルド長のミアやジグル、ギウル達による談話が続いていた。


「ナルガスさん……なんて凄まじい体験をされてこられたんでしょう!」

現在、酒で出来上がった状態のミアは泣き上戸に成り果てながら、夫婦の話に耳を傾けていた。


「ウムム…俺も初めてナルガスをこのギルドで見た時そこいらの子供とは何か違うものがあると感じてはいたが、そういうことだったか」

ギウルもうんうんと唸っていた。


「俺も最初は、長老様から初めて転生の話を聞くまで知らなかったからな…」


「今思いかえせば、ナルガスが一人で動き回るようになってからは冷や汗の連続だったわ。

いきなりいなくなったと思ったら何事もなかったかのように突然現れたり…」


「無事にギルドについた~!」


「ブッ⁉︎」

俺達が転移で突然出てきた為、思い出話中だったレアラ以外の大人達みんながビックリしてお酒を吹いてしまう。


「そうそうこんな感じで現れ……ってナルガス⁉︎あなたたちまでどうやって入ってきたの!」


「宿屋から一緒に転移してきたんだよ」


「おいおいナルガス達、今何時だと思って……ん?なんだ、コルナが二人になったのか?」

ジグルさんもまだ酒酔いが冷めきっていない。


「違うよジグルさん、私は一人だけだよ⁉︎こっちはゴーフ……同じ住みかにいたゴブリンよ」


「ふぇ?なんでゴブリンがもう一人いるんですか~?」


「ミアさんがめっちゃ酔っぱらってる!こんな状態で話をしちゃってしても良いのかな?」


「なんだ、何かあったのか?」


「ギウルさん実は…」

俺はついさっきまで起きた出来事を簡単に説明した。


「おいおいそれってまさか、ゴブリンウォーリアじゃねぇか⁉︎なんだってそんな奴がここに現れるんだよ!」


「アレ、オレヲオッテキタ…オレズットニゲテタ」


「どういう事なのゴーフ?あなた私を殺そうとしたやつらと同じだったんじゃないの?」


「…ソウダ、ソウシナキャコロサレテタ」


「あいつに追われていた理由は?」


「ワカラナイ……アレ、ヨソノゴブリンダケド、ナニカヘン」


「…変?」


「少し良いかナルガス?昨日おかしな話を他の冒険者達から聞いたのだが……

なんでも、たくさんのモンスター達が少しずつ北の森に集まり始めているらしい

それと一部のモンスター達が変な色をしたスライムを食っていたのを見たと言う者もいる

件のゴブリンウォーリアも何かあったのではないかと俺は思うのだが、そいつの死体はまだそこにあるのか?」


「ううんギウルさん、空間に閉じ込めて回収しておいたよ」


「…ハッ!ナルガスさん、今日は何を持ってこられたんですか‼︎」


「ミアさん、酔いを一瞬で覚まして仕事の状態に戻れるんだ……ギルドの鏡だね」


「それはもう伊達に長くやってませんから!それで何を見せて頂けるんですか?」

ワクワクしながら俺が[その代物]を出す瞬間を楽しんでいるミアさん。


「あー…いいけど酒の席が悪くなるかも知れないし、少し大きい奴なんだけど良いのかな?」


「構いませんとも!」


「じゃあえっと……これなんだけど」

俺は収納していたあのデカブツを引っ張り出して、席から離れた床へと置いた。


「これは……過去に北の国から東の国へ攻めて来た、モンスターパレードにいたと言われているゴブリンウォーリア!」


「コイツ、オレタチコロシニキタコワイヤツ……ナゼカオレタチタヲオシニキタすらいむタチ、コイツラトタタカッテル」


「⁉︎」

なんだと‼︎


「ミアさん…」


「分かりました!事は一刻を争います…今働いているスタッフと共に今すぐこの都市にいる冒険者達全員へ呼び掛け事態の終息に当たりましょう!

ナルガスさん達、今日はせめてゆっくり休んでいてください?心配しなくとも、この都市の冒険者達は強者揃いですから」


「そうだぜ!たまには俺達にもでけぇ仕事を任せろよ!じゃなきゃこちらも、商売上がったりってもんだ」


冒険者達「ハハハハハ!」


「はい!お願いします」


「もちろんですよ!明日は私も一緒にルードスに行くんですから、ここで寝不足で倒れてもらっては困ります」


「ナルガス、ミアの言うとおりよ…今日は子供のあなた達みんなも、すぐに寝ててちょうだい?」


子供達「はーい!」


「じゃあお兄ちゃん、もう一回転移で宿に戻ろ?」


「そうだな!みんな付き合ってくれてありがとう……さすがに俺も眠たいや」


「そうですよ?後は私達大人の冒険者に任せて早く寝てくださいね?

でも、ご両親であるお二方はどうされますか?やや過酷な戦いになる恐れがありますけど……」

両親はお互い目を合わせてから、再びミアさんに向いて告げた。


「もちろん俺達も戦闘に参加するよ!少しでも早く終わらせるために

間違っても、モンスターパレードになんかなってほしくないからな!」


「それに一人でも多く回復できる役が増えれば、みんな無事に帰って来やすいでしょ?」


「お父さん、お母さん…」

レダも心配そうに見つめている。


「大丈夫よレダ!危ないと感じたら私達もすぐ逃げるから」


「ありがとうございますお二方…」

二人は急いで支度をして、他の冒険者達と一緒に出る。


「「行って(きます)くる!」」


「「言ってらっしゃい!」」

大人達の姿が闇夜の中へと次第に消えていった。


「大丈夫ですよナルガスさん?皆さん強い方ばかりですから!」


「うん」


「はい!本当は私も寝たいところですけど、報告してくれる皆さんが帰ってくるのを待ちますね?

このウォーリアの解体もお願いしなければ…」


「俺で良かったら解体するけれど?手間はかからないはずだし」


「ウフフ!ありがとうナルガスさん…その気持ちだけで十分ですからすぐに帰って寝てくださいね?

明日も早いんですから」


「分かった!みんな行こう?」

皆も頷き、宿屋の時と同様手をつないで円をつくり宿屋へと転移した。


「……本当に、すごい子供達だわ」


無事に宿屋に戻った俺達は手早く部屋に戻り、寝間着に着替えてそれぞれが眠りについた。



同時刻、ラルガとレアナが参加したギウル率いる冒険者の討伐隊が北の森に歩みを進めていた。

しばらく進むと何やら奥の方が騒がしい。まるで戦闘しているかのような音が断続的に聞こえてきた。


「…どうやらもう始まっているみたいだな?みんな用意は良いな?突入するぞ‼︎」


全員「おう!」


「おお!もしやと思うが私達スライム族を助けてくれたあの子供達が住むという、ゲラルドの冒険者達ではないのか?私は北の森に住むスライム王…エル・ド・ライマーだ!すまぬが、ご助力を願いたい‼︎」


「無論だ、俺達はそのために来たんだからな!

目の前でゴブリン同士が戦っているがどちらを倒せば良いんだ?」

外見では見分けがなかなかつかないのが、ゴブリンの特徴である。


「今私らと共に戦っているゴブリン族は皆こん棒しか扱えん連中だが、相手はしっかりとした防具と剣や盾を持っている

それと、やつらの目の色は真っ赤に染まっているから目を見たほうが分かりやすいだろう!」


「ムッ!らいまーヨ、ソイツラミカタカ?」

ゴブリンの長らしき者が話しかけてきた!


「そうだ!そして彼らの暮らす国の子供達が、我らスライム族を助けてくれたのだ!」


「オヤブンオシラセ!

ごーふ、『アノうぉーりあ』ニオイカケラレテタ

猫族ノコドモ、アイツヲ助ケタ!イマハ、[げらるど]イル!」


「「⁉︎」」


「助けたのはうちの息子よ?」


「いやぁ、我が息子ながら全く立派だなぁ!ハッハッハッハ‼︎」


「ア、アリエヌ…」


「そりゃまぁ驚くわな?……おっしゃ、俺達も目の前にいる大群を叩きのめすぞ!ナルガスに負けるなぁー‼︎」


「おおーー‼︎」

広範囲で魔法攻撃なんかを行うと自然破壊になりかねないので、みんな接近戦を決行した!

ラルガとレアナを始め各冒険者達がギウルの掛け声を聞き、ナルガスに負けじとよそから来ていたモンスターどもを迎え撃った。


「‼︎レアナ、防壁結界を!」


「はい!全員いったん戻って‼︎」

みんなご一斉にレアナの後ろまで戻って来たのを見計らうと、彼女はすかさず光属性の広範囲防壁を展開。それから間も無くして、大きめの火の玉がまっすぐ防壁に当たってきた!


「忌々シイ……めいじごぶりんダ!」


「ふん、炎には炎で返してやるか…みんなこの防壁から出んなよ?……後で水魔法使えるやつがいたら、すまんが消火を頼んでいいか?」


「…あなた、森一帯を燃やし尽くすのだけはやめてね?

せめて飛んできた方向にだけ控え目に撃ってね!」


「お、おう!あの残り火が見えた先で誰かと会話らしき言葉を口に出している……アイツがメイジゴブリンだな?」

ラルガは深呼吸をして集中し、狙いの標的を絞って威力は高め。

だが、サイズは通常の火球を打ち出した。

向かい側にいるメイジゴブリンが、ケラケラと笑ってからかうように口で息を吹き掛けた途端…激しい轟音をたてて、巨大な火柱が天高くへと伸びていった!


全員「…………」

ラルガ含む全員が、一瞬だけ呆気に取られる。


「…よ、よし今が好機だ!全員で攻め落とせー‼︎」

正気に戻ったギウルの掛け声で皆が我に返る。


「オオオー‼︎」

メイジゴブリンがいたところには、骨とネックレスに、変わった形の指輪が落ちていた。

その周りには、親玉のキングゴブリンとオークキングがいた!


突然起きたショックからか凶悪なモンスター達がなにもできず呆然としていた所を、収まらぬ興奮をたぎらせて快進撃を進める冒険者達によって、無抵抗のままあっけなく倒されていった。


「…オマエタチ、深ク感謝スル!我ラノ仲間ごーふヲ助ケタ事ニ感謝!」


「えぇ…でもコルナを仲間外れにしないであげて?あの娘もゴブリンなんでしょ」


「子孫残ス邪魔ヲスルヤツ、家族チガウ……ダカラ知ラヌ」


「ゴブリンのメスは子供を作れぬのか?ゴブリンの長よ」


「ツクレル…ダガ、数ガ足リナスギナノデ他種族デモ必要」


「せめて少数でも、これから生まれてくる子供をまずはみんなで仲良く大事に育てば良いじゃない?

数だけを増やすより、他種族とも仲良く打ち解け方を覚えて子供をつくってくれる良い女性に嫌われないやり方を学べば良いでしょ?

コルナなんて、とっくに仲良く私達と付き合えてるのよ」


「仲良クハヨクワカラナイ……ナニヲスルノダ?」


「まずは俺達みたいに会話をして気持ちを伝える事から始めれば良い。

それをコツコツ続けて行けば理解してくれる女も必ず現れてくるさ

だからまずお前らがすべきなのは、連れてきた他種族の女性に自身のしてきた事を謝ってほしい

その上で、彼女達を解放してあげてくれ!この俺ギウルもお前らのしたことをとりなすから」


「……分カッタ」


「あとはうちの息子が助けたゴーフ、そしてコルナにも会ったときに必ず謝るんだ!どんな理由であれ、仲間にしてきた事を謝れないんじゃ誰ともやってけないぞ」


「スマン、感謝スル……すらいむノ王」


「む?なんだゴブリンの長よ」


「我、今カラげらるどノ王ニ会ッテ、モウ誰ニモ迷惑カケナイト約束スル!モチロン、ソナタラニモ」


「ふふ、そうか!ならば夜分ではあるが早速私ら長だけが彼らについていき向こうの国王と語ろう

戦利品の献上をすること忘れるな?」


「分カッタ!デハマズ『めす達』ヲ解放シテコヨウ…オ前達武器ト防具以外ハ全テコノ者達ニ渡セ!

デハぎうるトヤラ、ツイテキテクレ」


「あなた、私達も行きましょ!」


「おう、分かった!……すまない消火をしてくれている皆

今から他種族の女性を保護しに行くが、女性の中で手が空いてたらどうか一緒に来てくれ!」


女性冒険者達「はい!」

こうして捕らえられていた女性達も助け出され、ゴブリンの長と実際に行為に走ったオスゴブリン数名は揃って彼女達に謝った。

この光景を見て、最初目が死んでいた彼女達はみるみる涙を流し、大声で共に泣いていた。


レアナを始め他の女性冒険者達、そして捕らわれていた女性と交際していたそれぞれの種族も後に合流して再開を喜びあった。

彼らがゲラルドに無事に戻ってきたのはまだ夜明け前の頃だったが、ギルド長ミアは慌てて起きてきた国王に事情を説明している最中だった。


「タノモウ」


「ゲラルド王よ初めに非礼を詫びる……急に足を運んでしまい申し訳ない」


「む!ゴブリンの長と……スライム王⁉︎何がどうしてこんなところへ共に来ているのか!」

国王自身もなんらかの非常事態を覚悟してはいたが、彼らが語ってきたものはそれ以上の驚愕をギルドにいる彼らにもたらせていたのである。


三人による緊急会談後、ギルドを中心に早朝からスライム、ゴブリン。そしてこのゲラルドにて和睦条約が即座に締結された。

ラルガとレアナを含め、戦闘に参加した冒険者達は敵の規模がモンスターパレード相当の数を討伐したことが認められ、一人辺り千ゴールド渡されたからかそのままどんちゃん騒ぎの宴がギルドと宿屋から行われたのである。


賑やかな下の声を聞いて早めに目が覚めてしまったコルナは、宿屋にゴブリンの長が来ていることにも驚いていたのだが、もっとも驚いたのは長が自分に頭を下げて謝ってきた事。

そして、和睦条約を結び二度と迷惑をかけない生き方をすると約束した話を告げると、長は宿屋を静かに去っていく。


「そっか…もう、目の前で女の人が犯されなくて済むんだね?……良かった」

しばらくコルナはその場から動かないで、静かに泣いていた。


朝日が登る……外と中から浮かれるような笑い声が聞こえてきて、俺は目が覚めた。

ゴーフは他の部屋が空いていなかったので、俺の部屋にある隣のソファーみたいなところで寝ている。


「…やたらにぎやかだなぁ、なんなんだろう?」

俺は窓の外を覗いてみた。


見ると朝っぱらだというのに、昨日出ていった冒険者達が嬉しそうに酒を片手に持って騒いでいたのである。


「…ムゥ、ウルサイナ」


「あっ、ゴーフも起きたか!外はなんか冒険者達が賑やかに騒いでるみたいだぞ?」


「お兄ちゃん達、起きてる?」

レダがドアをノックしてから、扉越しに声をかけてくる。


「ああ、起きてるよレダ」


「そろそろ出発だって!お父さん達はなんか酔っぱらってて今は動けないみたい」


「あらら、何か良いことあったのかな?分かった!今着替えておりるよ」


「はーい」


「さあ、早く着替えて降りるぞ」


「ワ、ワカッタ」

二人で部屋を出て下に降りてみると、普段よりも冒険者達がごった返してお酒と食事を頼んで宴会みたいな事をしていた。


「な、何があったんだ?」


「おーい二人ともこっちー‼︎」


「ドルファ?どうしたのこれ」

俺達はみんなのもとに合流してから、何が起きたのか尋ねてみた。


「聞いたら驚くぞナルガス!昨日の夜も軽く聞いてはいたが、北の住みかにいたゴブリンは一緒に争っていたはずのスライムと協力して、別のとこから来てた強いモンスター達と戦ってたんだとさ‼︎」


「「‼︎」」


「そしてここの冒険者達がそいつらと一緒に戦って強いモンスター達をみんな倒すことができたから、結果的にこの都市を守ることができたそうよ!」


「それでねお兄さん!王さまとミアさんが、南北のスライム王と北の住みかにいたゴブリンの長達に和睦条約?って決まり事をつくって、みんなが仲良く暮らす事を約束したの!」


「ええ⁉︎なんかすごい変化だな」


「お兄さんがゴーフを助けたのと、あのウォーリアを倒したって事がきっかけなんだって!」

し、信じられない展開すぎて、言葉が出せないんだけど。


「アリガトウ!なるがす‼︎」

隣にいたゴーフも、涙を流して喜んでいた。


「お、おう…」


「さっ!お兄ちゃんも早く食べて、ミアさんの所にいこ?」


「なんか展開が急すぎて頭の中がクルクル回ってばかりなんだけど……まいっか!いただきます」

こうして俺とゴーフも食事を食べ終えて、皆と一緒にミアさん達がいる正門広場へと足を運んで行った。


「あっ!皆さんナルガスさんが来ましたよ~~!」

ん?なんでだろう…英雄を見るような目で俺見られてるんだけど?

俺達がミアさん達の所まで来ると、突然俺は抱えられて他の冒険者達から胴上げされてしまった!


「え…ええええ~⁉︎」

胴上げされながらビックリし続けている俺を見て子供達は嬉しそうに笑っていた。


 なになに?これってなにかの夢なの?


「ナルガスさんの働きのおかげで、私達は未然に災害級であるモンスターパレードの兆しを防ぐことができたんです!あなたはこの都市の恩人です!」

そんな事態に陥ってたのか…知らないうちにとはいえ、すごい偶然…なのか?


「ただ、親御さん達と他の冒険者方はあの調子なので私と国王様、並びに職人の方々と護衛の冒険者さん達が同行します

ルードスまでなら、あなたの足でどのくらいの時間に着けそうですか?」


「まあ、30分もあれば十分つくけど…」

俺は言いながら、昨日みんなで作った乗り物を取り出して元の大きさに戻してみた。


一行「おお~~!」


「どうです?乗れそうですか?」


「はい!余裕で30人近く乗れそうですね

皆さん、早速乗ってみましょう!」

国王様を先頭に、職人達と冒険者、最後は子供達とミアさんが乗り込んだ。


「すごいなこれは…こうして座っただけで体の大きさに合わせてはまっていくから、安心できるほど落ち着くぞ!」

国王様も評価していただけたようで何より。


「じゃあ皆さん、空間操作で圧縮しますよー?」

みんなが席に座ったのを見届けてから、俺は片手で運べる大きさにして持ち上げた。


「出発します」

まるで俺はバスの運転手だな。


初めに速く走ったらみんなが気分悪くなるのは目に見えているので、ゆっくり走ってから徐々に速度を上げて森の中を走り抜いていく事にした。


「皆様外の様子をご覧ください

ナルガスさんの速さで見える光景がこれほど素晴らしいものだったなんてとても感動ですし、こうして体験することができて私はとても嬉しく思います。

ルードスに到着するまでの間、しばし外の移り行く景色をご覧くださいませ!」


ミアさんあなたはバスガイドか!…まあ、こうして速い速度で走って左右に俺が避けても、子供達まで嬉しそうにはしゃいでるし作って良かったなと今すごく思う。ドルファの提案に感謝だ!


もう間もなくルードスにつく頃だから、徐々に速度を落としていこう。

今までは急停止してたけど、さすがにやったらマズイよな…


「皆さーん、ルードスに着きましたよ~?」

乗り物を俺は置き、元の大きさに戻していった。


「お兄ちゃーん!とてと気持ちよかった!」


「そうか!そう言ってもらえるとすごく嬉しいよ」


「おや、ナルガス達じゃないかどうしたんだ?ずいぶんな数のお客さんみたいだが」


「あっ!道具屋のおじさん久しぶり!実はね…」

声をかけてくれた道具屋のおじさんにジグルさん達の事と、この町に学校を建てる為視察に来られた国王様と職人達をここまで運ぶ乗り物を作った話などを、細かく伝えておいた。


「スゴい!この町に国王様達が来るなんて‼︎早速みんなに知らせて案内をしなければ!」

大急ぎで住民に声をかけにいくおじさん。


「ナルガス、ここがあの結界に閉ざされていたルードスなのか?何て言うか、その…」


「ぼろぼろダ…」


「ゴーフ‼︎」


「あはは!大丈夫だよコルナ、ライさんの封印を解いた勢いでなったようなものだし今はほとんど直ってるんだ」


「らいサンッテ、ダレダ?」


「鬼猫様と恐れられてた人だよ?今はゲラルドの神官だ」


「ンナ⁉︎」

おー、驚いてる驚いてる。


「ナルガス、僕オンセンってのを見てみたい!」


「良いよ!行こう」


「じゃあ俺達は一度家に帰るぜ、また後でな!」


「ありがとう、みんな!」

ルードスに戻った子供達は、それぞれの自宅に戻っていった。


「じゃあ、俺達も行こうか」


レダ達「おー!」



ナルガス達の会話する光景を、離れた所で眺めている子供がいた。

片手にハンマーを持ったまま立っている、ドワーフの女の子である。


この後、ドルファとの運命的な出会いを果たす瞬間が訪れるのであった。

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