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冥界で待っている

クラキ国に侵略され、国名を失った大国ベルンの元第一王子。それが僕こと剣帝ディートリッヒ・ベルンである。捕虜に近い形でクラキ国に在留し、ヴァルハラ学園へと入学することになった。


(あの時の僕は荒れていたよ。女遊びに喧嘩ばかりの毎日。)


自分が嫌になる。何度自害を考えた事か。だけど、彼と、師匠と出会った事で僕の人生はようやく動き始めたんだ。


「冒険家というありふれた職業で剣帝である僕に勝利した。信じられるかい?」


下位である職業適正で未完成とはいえ七英雄に並ぶと称される剣帝へと勝利した。


(本当に凄い人だよ。僕の行くべき道を常に諭してくれる。剣の師であり、僕が共に歩むべき人だと心の底から感じた。)


そして転機は訪れる。師匠との訓練を終え、帰路についていた時に『彼』に声を掛けられた。


「きっひひ_____________こんばんわ、剣帝。」


道化師ロキ。『c』組序列一位の異端児。師匠の信頼する友人だと聞いている。


「ジークフリートの掲げる理想を僕達で叶えては見たくないかい?」


僕の周りを一周し、にこにことそう尋ねてくる。


「理想.......何を言っ「スローライフ計画、世界平和さ。」


馬鹿げた話を聞かされる。ラグナロクの再来を復活させ、ヴァルハラ大陸を壊滅まで追い込んだ後に化物達を倒すことで英雄として世界を再統一する。その筆頭としてジークフリートを立て、世界を我らが手で平和に導くと言うものだ。


「冷戦状態にある大国間の関係を根本から覆すのさ。侵略も貴族制度も何もかもを正すには全てを一度、破壊する必要があるからね。ジークフリートは君を欲しがっている。その力と復讐心、君が師匠と尊敬するジークフリートの為に役立ててはみないかい?」


狂った計画だ。大量殺戮を平然としようとしている。


「師匠は、本当にそれを求めているのか.........?」


師匠は本当にそれを求めているとは思えない。


「確かめて見ると言い。ジークフリートはきっとこう言うよ。この腐りきった世界を正す方法はもうそれしかないってね。」


多くの命を奪うことになる。どれ程の業、罪と生きていかなければならないのか。上手くいったとしてもろくな死に方はしない。


「最後に決めるのは君だ。いい返答を期待するよ、剣帝。」


きっひひと不気味な笑い声を響かせ、その場を去っていくロキ。


(.........父以外の親族は見せしめの為に処刑された。)


愛する母や妹はもういない。復讐心だけが心の奥底に残っていた。


「................スローライフ計画」


師匠、そしてそれに追随する道化師。その一派として計画に加担すべきか。


(失敗は許されない。一度の敗北も許されない。)


だけど成功すれば忌々しいクラキ国は他の大国らと滅び、師匠の掲げる理想郷を作り上げる事が出きる。誰もが安心をして暮らせる絶対的な国家。もう誰も悲しまなくていい。


「............そんな国があってもいいじゃないか。」


スローライフ計画を遂行すべく、道化師ロキが作り上げた組織『十解(フィンブルの冬)』に加入する。師匠や道化師の他に覇王が在籍していた。自分の与えられた序列は第三席の座だ。



「お前の考える......スローライフ計画はなんだ?」



師匠に一派として加わった事を報告した際に、スローライフ計画の意味を問われた。試されていた。自分が試練に立ち向かう度量のある勇者であるのかを。


「世界蛇を使い、大陸を半壊させる。そしてほぼ全ての英雄や英傑が滅んだ後に僕たちジークフリート一派が世界蛇を倒し、師匠の名の元、国を立ち上げるんです。」


理想を自分達の手で掴み取らなければ理想は叶えられない。


「誰もが平和で平穏な暮らしが出きる国を......僕達で作りましょう!」


師匠の真意を最後まで読み取る事は出来なかった。けれど、それでいいと思った。あの人は誰よりも人を、世界の歩むべき道を見据えている。だから僕は師匠を信じ、彼の行く道を阻む外敵を切り払えばいいのだ。


「_______________僕は神聖国王の剣なのだから。」


だから、僕は自分を許せない。こんな結末があってたまるか。神聖国王に降りかかる火の粉を払い、人類最強である勇者さえも凌駕してみせた。


(不甲斐ない。僕は、自分の役目を全う出来ず死ぬのだ。)


グローアの剣が首に当たる。スローモーションに見える。剣が肉を裂き骨へと到達する。


(師匠を庇い死ぬでもなく、強敵との死闘の末に力尽きた訳でもない。僕は洗脳を受け、仲間であるグローアへと剣を向けたんだ。)


当然の結末だ。因果応報とは良く言うよ。


(あぁ、そんな顔を見せないでくれよ。グローアは悪くない。全ては師匠の最強の剣であれなかった僕のせいなんだ。)


首が完全に断ち切られる。


(本当は最後まで見届けたかった。)


けれど、どうやらここまでのようだ。神聖国王に、師匠に迷惑は掛けられない。


「ありがとう_______」


僕を殺してくれて。


(___________________グローア。)


先に冥界で待っているよ。

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