表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【BL】日高兄弟は一緒に暮らしたい 〜 十ヶ月ぶりに会った弟がメッチャ怒ってる  作者: 城山リツ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1/8

第1話 好きな人が怒ってる

 いけないとわかっていても、好きな人。

 離れても、やっぱり好きだと思ってしまう。


 十ヶ月経っても、その顔を見たら気持ちが込み上げた。

 ただ、(好きな人)はメッチャ怒ってた。




「……おお」


 玄関ドアを開けると、弟の真宙(まひろ)が仏頂面で立っている。

 その迫力に、オレは思わず引いてしまって言葉が出なかった。


「兄貴、久しぶり」


 怒気をはらんだ声。

 一体こいつは何に怒っているんだろう。

 オレは何もしていない。だってこいつに会うのは十ヶ月ぶりだから。


「入るよ」


 無遠慮に靴を脱ぎ、ズカズカ部屋に入る真宙。

 その背中はやっぱり怒ってる。肩で風切っている。

 こんな弟は初めてかもしれない。少なくともオレが知るかぎり。


 日高(ひだか)真宙(まひろ)は、オレの母の再婚相手の息子だ。

 真宙の方が一つ年下だから、こいつは義理の弟。

 

 出会いは十五年前。まだほんの幼少の頃、母の彼氏を紹介された。

 オレの名前が真澄(ますみ)で、真宙と漢字が一文字同じだから、彼氏──義父(ちち)は驚いていた。

 本当の兄弟みたいだねって、それで母と義父は距離が近づいたらしい。


 一年後、二人は再婚。

 オレと真宙は本当に兄弟になった。


「ま、真宙……?」


 兄弟として一緒に暮らしていた間、弟はこんな様子ではなかった。

 もっと素直で、「お兄ちゃん、お兄ちゃん」と慕ってくれた。

 高校生になってからは「兄貴」呼びになったけど、素直な良い子だったのに。


「結構、散らかってんな」


 人ン家をジロジロ物色して文句言う、この子は誰? と錯覚しそう。


「いっ、忙しいんだよ! 講義とバイトで」


 シャツやカバンがテキトーに放り出されている部屋の惨状を見られてしまった。

 来るっていう予定より一日早く来やがって。掃除するヒマがなかったじゃないか。

 ……そう言おうと思ったが、怒っている真宙の雰囲気に飲まれて言い訳しか出来なかった。


「ふうん」


 オレの言い訳を聞き流して、真宙はクッションの上にドカッと胡座をかいた。

 お気に入りのグリーンのクッション。無惨に潰されている。こいつ、こんなにデカかったっけ?


「えーっと……なんか飲む?」


「うん」


 居た堪れないオレは、真宙から視線を逸らして冷蔵庫へ向かった。

 中からいつものスポーツドリンクを一本出して、手渡す。間近で見る手が、なんだか大きくなっていた。


「まだコレ、飲んでんだ」


 真宙は渡されたペットボトルをしげしげと見てそんな事を言う。

 その言い方がまだ少し怒っているような気がして、オレはまた居心地が悪くなる。


「い、いいだろ。別に」


「……好きだな」


 急に緩んだ顔。オレの心臓が跳ねる。

 真宙の大人びた顔が、オレをますます禁忌の感情へ向かわせた。


 こんな気持ちになりたくないから、家を出たのに。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
真宙はなんで怒ってるんでしょうね。 「好きだな」はスポドリと思わせといて、実は…とか。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ