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「────……何語?」
けれど、直感的にこれだと思った。
「所謂古代文字ですね」
「リュカさん読めますか?」
「いえ…」
「そっか…」
始まりの物語なら、古代文字でもおかしくない。
でも読めないと確かめようがない…。
「お借りしてもいいですか」
「え?でも」
「古代文字と言えど文字です。何かしらの法則があるはず、解読します」
「リュカさん頼もしすぎて惚れそう」
「エリオット一筋の癖してよく言いますよ…」
「バレてましたか」
この分野の勉強はしてなかったし、前世から文系はちょっと苦手だった。申し訳ないけど、これはリュカに任せてしまおう。
少しでもわかれば教えると約束し、私たちは別れた。
「ペルラ、今いい?」
「エリオット?」
明日に備え、そろそろ寝ようかなと準備してた頃、エリオットが訪れた。
風移動の練習のため数日会えなかったから、久しぶりな気がする。
「一体どうしたの?わざわざ噴水まで来るなんて」
呼び出しに応えると、連れて行かれたのは満月の明かりでライトアップされた女王の噴水だった。
うわぁ、スチルでも綺麗だと思ってたけど、本物は段違い…!これは夜に見せたくなりますな。センスいいぞ、ゲームのリュカとニコラス。
っと、そうじゃなくて。
いつもより深刻そうな顔をしているエリオットに再度声を掛ける。…なかなか応えてくれない。この噴水を見せたかったって訳じゃ無さそうだし。
でもだんまりじゃこっちもどうしようもない。
小さくひとつため息を吐き、せっかくなので幻想的な噴水を楽しもうとエリオットに背を向けた。
「────え」
「リュカのとこに行かないでよ」
今にも泣きそうな声だった。
私を抱く手は微かに震えていた。
表情は見えないからわからないけど、きっと泣くのを堪えるような顔してると思う。
「ぼく、ぼくにはペルラだけ。ペルラだけなんだ。ペルラがいなくなったら、ぼく」
またひとりになる。
一層抱きしめる手に力が入った。
ななななななんて勘違いを。
何をどうしてそう思うのか。私は前世からエリオット一筋だと言うのに!
動揺して変なこと口走りそうなのを必死に抑え、なんとか言葉を絞り出す。
「…どうしてそう思うの?」
「さ、さっき、書庫で」
「書庫?」
なんかあった?文献一緒に探してただけなんだけど…。
「頼もしすぎて惚れそうって…」
「へ?」
「な、なんだよその反応!」
「いや、そんな冗談のやり取りを…」
「僕は本気だと思った!」
思わず顔を覗き込むと、ちょっと涙目で顔を真っ赤にしたエリオットと目が合った。
なんだそれ。なんだそれ!
「ふふ、ふふふふふ」
「わ、笑うな!」
「ごめ、ふふふふふ」
かわいい。かわいい。なんだこれ。嬉しい。笑いが止まらない。
手が緩んだのを感じ、お返しとばかりに振り向き、私もエリオットを抱きしめた。
前に抱きしめた時より腰周りがっしりしてる気がする。…毎日鍛錬頑張ってるもんね。
「大丈夫だよ」
「…何が」
拗ねたような声。さっき笑っちゃったの、ダメだったかなぁ。でもめちゃくちゃ可愛かったんだもん。仕方ないでしょ。
「私も、貴方だけだから」
どうしてたくさんいた仲間の中から貴方だけを引き取ると言ったのか。貴方は知らないでしょう。
貴方への愛は、前世含め10年も募らせているんだから。
「…そう、なの?」
「そうだよ」
「…そっかぁ」
ふふ、と私と同じような笑い方をする。
それに気付くと、顔を合わせて笑いあった。
でもごめんね。
私はきっと、貴方を独りにしてしまう。
残り34ヶ所の燭台に火を灯した時、私はどうなるだろうか。




