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夢を見た。
エリペル神が『アスカの真珠』というタイトルのROMをSNSに上げていた。
エリペルメインのアスカプロトタイプと。
噂には聞いたことがあった。
アスカは元々キャラデザ原案であり、漫画家のはすまみえさんの同人ゲームが元になっていると。
そこから商業用に手を加えられ、発展したのが『ASKA~安らぎの楽園~』。
プレイ感想を見る前に死んじゃったから、どんな話かはわからないけれど、でも、アスカより深く、重く、考えられている話だと言っていた。
「それとなにが関係あるのだろうか…」
今日は昨日のこともあるから、燭台に灯すだけで終わりだ。
────調べてみよう。
「多っ!!」
ジュリオに空いた時間勉強したいと話し、書庫の鍵を借りた。
全て貴重なものだから、汚したり破いたら覚悟しておけと言われた。怖かった…。
しかし、ニコラスが言った通りとてつもなく多い。これ、関連文献探すことすら難しいのでは…?
図書館みたいな検索システムなんて存在しない。…自力で探さなくては。
「で、5分も経たずにギブアップですか」
「だって、だって!!」
「まぁ、昔から探すことは苦手でしたもんね」
あまりにも膨大な量、しかもジャンル分けされておらず、開始早々根を上げた。
そこにたまたま通りかかったリュカを巻き込んだ。すまん。でも得意でしょこういうの。
「で、何を探しているんですか」
「この宇宙最初の物語」
「は…?」
きっと語学とか、力の事とか、すぐためになることだと思っていたのだろう。想定外の答えだったからか、リュカらしからぬ変な声が聞こえた。
「なぜ、それを」
「リュカさんは違和感に気付きませんでしたか?」
「違和感?」
「エリュシオンですよ」
全ての力が均等に注がれ、主星と同等…いや、それ以上に暮らしやすいであろう星に、生き物が一切いないことを。
他の過酷な星にはいるのに、それより快適なエリュシオンにはいない。
もし魔物が問題でも、暮らしていた痕跡が残るはずだ。でも、小神殿を出てから私が見たのは、生い茂る木々と区切るための小道だけだ。
「そう、言われるとたしかに…」
「ニコラスさんは、この宇宙を作った神様を祀ったお墓って言ってたんです」
「…?それで、何故」
「そのはじまりの物語を読めば、何かわかるかもしれないと思って」
「短絡的ですね…」
あ、ため息つかれた。うーん、やっぱり協力してくれないかな…。
「早くしましょう、ここを2人で探すんです、いくら時間があっても足りませんよ」
「…リュカさん…っ!」
「はい、涙ぐむ暇あったら探してください」
「あ、ありがとうございますうううう!!!!」
「ペルラが?」
「あぁ。勉強したいと言っていたが、エリュシオンの話をしていたからな」
「もしかして、私と同じ…?」