序章「ネオン街ととんこつラーメンバリカタ」09
今週もよろしくお願いします!
それをまじまじと見る二人。
ぱっと見ではちょいと高級そうなアクセサリーにしか見えない。とてもじゃないが、中洲まで追いかけるほどのものではないだろう。
「これなんね?」
「これはリンクストーンです」
リンクストーン。
なんとも安直なネーミングのものであるが、なかなかどうしてこれがリアにとって大切なものなのだ。
今はまだその価値の十分の一も引き出せていないが……。
リアはそれを考え自嘲気味にクスリと笑った。
「リンクストーン……どっかで聞いたことあるぞ……」
幸良は腕を組み、むむむと唸る。
「リンカーが必ず持っている石です。これがそれです」
さっさとリアが答えを言った。
幸良は実のところ、全く知らなかったが、それは恥ずかしいので黙っておくことにした。
リンカー、結合者と書いて「リンカー」と呼ぶそれは、幸良のようなスキルホルダーとはまた、別のところにいる人間のことである。
スキルホルダーのスキルは先天的なものであるのと対称的に、リンカーは後天的なものである。
さらに正確に言うと、彼女の持っているようなリンクストーンがあれば素質の差はあれど、一応リンカーにはなれる。それが求めているリンカーであるかどうかは別問題ではなるが。
さて、リンカーとは簡単に言ってしまえば、
「リンカーは、スキルホルダーの方のお手伝いさん、言わばサポーターみたいなものです」
である。
そのサポートの形はどうであれ、リンカーはその能力を持って、スキルホルダーの支援を行うのだ。例えば、スキルの効果範囲を広げたりとかそういうところだ。
「そのために必要なのが、この石ってわけか」
「はい……あ、どうぞ」
リアはまじまじと胸元を見られるのがちょっと恥ずかしかったのか、少し頬を染めていそいそとネックレスを外し、幸良に渡す。
受け取ったネックレスは少しひんやりしている。それはこの石の温度なのかは分からない。
「うーんただの石にしか見えんばい」
幸良は白熱灯の光にかざして見る。当然ながら何もない。ちょっとばかし、熱を感じる白熱灯の光が和らいだように感じたぐらいだ。
「一応それA3ランクの石なんですよー」
リアは胸を張って幸良の言葉に答えた。
A3と言うのはリンクストーンの階級のことである。例えるなら牛肉のグレードのようなものだ。
DからA3まであり、最も高いのはA3ランクであり、それは世界にも数少ない貴重なものである。
もちろんランクが高い方がリンクストーンとしての性能は高い。そして、当然ながらお値段も高い。
「へえ〜そいで、こいいくらすっと?」
幸良は首を傾げならがリアの方なんて見ずに尋ねた。
「えっと〜よく覚えていないのですが、確か……一億は軽く超えていたような……」
「一億ぅ!?」
店主と幸良が口を揃えてリアの方を向いた。
「わわわわわ、そがんもん渡すなって」
押し返すようにリンクストーンをリアに返した幸良は、ぎょっとした顔でリアを見る。
対してリアはポカンとしている。
そうか、こいつ金持ちだったか……。
幸良はその可愛らしい顔を見てそう思った。