序章「ネオン街ととんこつラーメンバリカタ」10
本日もよろしくお願いします
「は、はぁ……」
リアは受け取ったそれと幸良の顔を交互に見やる。なぜそんなに慌てているのだろうか?
「んで、お前は誰かのスキルホルダーのリンカーなのか?」
リアは首を横に振る。
彼女の金髪がふわりと舞う。
「いえ、なんと言いますか、まだ修行中というか……」
「はい? どういうこっちゃ?」
どうもはっきりとしない回答であった。あって間もないが、リアらしくないなと感じた。
「そもそもリンカーは別に誰か一人というわけではないのです」
「そうなんか、知らんかった」
幸良はスキルホルダーではあるが、そこまでスキルに詳しいわけでもないし、当然リンカーについても同じだ。
リアの言うとおりである。
リンカーはその場その場や、他のスキルホルダーの要請に応じて対応をするという助っ人外国人みたいなものである。
「それであと……」
「ん?」
リアは恥ずかしそうにもじもじする。どうにも不自然だ。
「リンカーとして未経験なんです私……」
ということである。
有名なリンカーともなれば、多くのスキルホルダーから引っ張りだこである。
中には多額の報酬を用意してまで頼みに来る人もいるらしい。
しかし、リアは違った。彼女はまだリンカーとしての経験はない。
「ならその石はどがんしたと?」
「これは母から貰ったものなんです」
眼を軽く伏せ右手で石を握る。なんとも優しげな表情に幸良は本日何度目かのどきりとした感覚になる。
その綺麗さに思わず息を呑むほどだ。
それを紛らわせるように、丼を抱えずずずとスープをすする。とんこつラーメンの濃厚なスープが喉を通り抜ける。
「母からは、お守りだみたいなこと言われたのですが……」
眼が座りふうと嘆息するリア。
幸良は追われていた彼女を思い出し苦笑する。
「確かに全然守ってくれていないな」
「そうなんです……はぁ……」
リアとしてはそんな愚痴を言っても仕方がないのだが……。
母にリンカーになると宣言してからすぐに貰ったものだ。恐らくそれが意味することは一つなのだろう。
「まああれやろ? お前の母さんはそれに見合うやつになれってことやろ?」
「だと思います。それに応えないといけませんね!」
すぐに元気を取り戻しにっこりと笑うと、先ほどの幸良に習って丼を両手で持ちスープを飲む。
「おお……」
彼女のイメージとは違う男臭い飲みっぷりに店主と幸良は小さく歓声を上げた。
コトッと丼を置くと、「そういえば」とリアは話を切り出した。
「ベッキー、あなたのその刀、一体何なのですか?」




