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第88話(最終話) そして・・・

本日が最終話です。

 ガサ飛行場に戻ったジュアルは、狐稲荷主宰の宴会に参加した。どうやって来たのか分らないが、九千防もイキツ飛行場からやって来ていた。楽しそうに飲食する河童たちや狐人間たちを見ながら、ジュアルは、ふと心配になった。


『これからどうなるのだろう・・・』

呟くように声に出てしまったのが聞こえたのか


『これから、マモトク飛行場のターミナルに住んでいただきますわ。防衛装備は元にもどしておきましたので、誰が攻めてきても大丈夫ですわ』

コチュカがそう言って胸を反らせた。どうやら、イツカイ城は更地にした装備は、マモトク飛行場のターミナルに戻したらしい。元々結界があるので、こちらに入ってこれないはずなのだが・・・。


『マモトク飛行場の結界は、内側からはと通り抜け可能なので、無敵ですわ』

コチュカは自信たっぷりに言った。

(王国の反応を見極めるまでは、様子を見るしかないな・・・)

ジュアルがそんなことを思っていると


『悪いが、君の名前で、ウシュウキュ地方の全ての領主に書状を送らせてもらった。この地方の主は君だ!』

九千防はそう言って、手に持っていた酒を飲みほした。

『えっ!』

あまりの言葉に思わず声が出たジュアルに


『ウシュウキュ地方は君が治めるのだよ』

九千防はご機嫌である


『飛行場を開放、又は制圧し、魔族を退け、ソウア=シダヨを滅ぼしたのだからね』

狐稲荷も楽しそうに話に入って来た。


『我が配下に確認させたが、今のところ反抗するものは出ていない。全て恭順してきたよ。彼らは、自分の領地が安泰なら問題ないからよ』

九千防はジュアルの知らないうちに事を進めていたらしい。

(様子を見るしかないか・・・)


・・・


その後、BE36でマモトク飛行場に移動したジュアルは、ターミナルの中を、生活に必要な空間に改造するべく、準備をしていた。コチュカが、一族を連れてきたので、それらの生活場所を作るとともに、水源や農地、結界の外との連絡口を設け、元々マクアサ地方の奥地にあった、コチュカの故郷とも転移魔方陣で繋いてしまったのである。狩りなどは、今まで通り出来る上、結界内にも農地を多少確保出来たことから、生活は問題なさそうであった。


・・・


1ヶ月後、ターミナルの結界部分に王国の使者と名乗る一行が現れた。王家の紋章を掲げているので間違いなさそうである。駐機場にコチュカの魔法で土壁を作って覆った後、テントを張って会談会場を作った後、やって来た一行を全員眠らせてから、転移魔方陣を使って、一行をテントの中に移動させる作業を行った。


『大忙しですわ』

コチュカが、愚痴を言っている割には何故か楽しそうに準備を進めているのを見て、

(さて・・・どうしたものか)

思案に吹けるジュアルであった。


『ジュアル=ラィシカーラクセン様。本日はお会い出来て光栄です。私は国王近衛隊長をしておりますノルミ=ハラキと申します』

国王近衛隊長と言う割には、どう見ても文官にしか見えない男にジュアルは首を傾げながら

『ジュアルです。ラィシカーラクセン家のものではない認識です』

ジュアルは、わざとラィシカーラクセン家のものでないということにした。そうしないと、見たこともないラィシカーラクセン家に迷惑が掛かると思ったのである。


『陛下は、ソウア=シダヨの行いを嘆いておられます。自らも洗脳されていたことをご理解され、ソウア=シダヨが手引きした教団関係者を国外追放にすべく、摘発をしているところです。そして、今回、魔族や、他国の教団からウシュウキュ地方を開放したジュアル殿に2つの恩賞を授ける決定をいたしました』

『2つの恩賞?』

ノルミ=ハラキの言葉に、驚きながら、思わず声の出てしまったジュアルに

『はい。

ジュアル=ラィシカーラクセンに新たな家名、“ウシュウキュ”を与え、ウシュウキュ地方の太守に任じる

というものです。こちらはその署名入り書類になります』

そう言うと、ノルミ=ハラキは1枚の書状をジュアルに手渡した。ジュアルはその内容を確認すると、ノルミ=ハラキの言った内容、ジュアルに“ウシュウキュ”を与え、ウシュウキュ地方の太守に任じるとある。


『なので、今から、ジュアル=ウシュウキュ様となります』

ノルミ=ハラキは淡々と言った。

(こいつ、どう見ても国王近衛隊長には見えない)

だが、受け取った書類は、王家の正式な書類であった。人間に化けた九千防が再度確認して、問題ないとジュアルに合図してくれている。


『黄色い依頼書はどうなりますか?』

ジュアルはノルミ=ハラキに向かって言った。


『15年前に発行された黄色い依頼書にある“ボナと書かれた布に巻かれた子供”は、“ゾベミのターミナルで白くまと相打ちで死亡した”と報告されております』

ノルミ=ハラキは淡々と答えた。その頬が僅かに上がったのをジュアルは見逃さなかった。


(こいつ・・・何か裏がありそうだ)

『わかりしました。太守ということは、ウシュウキュは私にお任せになるといことでよいのですね』

『はい。その認識で間違いございません』

ジュアルの確認するような問いに淡々とノルミ=ハラキは答えた。


『本日は、遠路はるばるお越しいただいてありがとうございました。お帰りは大変でしょうから、ウシュウキュの入り口までお送りさせていただきます』


そう言うと、コチュカに準備させていた転送魔方陣がノルミ=ハラキとその一行を包み込んだ。

『な・・・、何だこれは!』

先程は、全員眠らせていたので転送魔方陣を理解していない、ノルミ=ハラキとその一行は、己が、何かに包まれるようになっていくことに驚いている



『太守は了解しましたよ。でも、母とその部下をひどい目に合わせたことは忘れません』

ジュアルがそう言った直後、転送魔方陣はノルミ=ハラキとその一行を消し去った。


『ねえ、コチュカ。彼らは何処に転送されたのかな?』

一仕事終えてほっとしているコチュカにジュアルが声を掛けた。


『はい。モノセキシに繋がる海底トンネルに転送させていただきましたわ。ウシュウキュに入ってこないように、トンネルのウシュウキュ側出口は閉鎖してありますわ』


彼らがモノセキシに入るまでは、トンネル内の監視システムでチェックするそうで、彼らがトンネルを出たのち、閉鎖は解除する予定とのことであった。

(まあ・・・用意のいいことで)


・・・


通常であれば、王国の使者を歓待もせずに追い返すのは失礼以外の何物でもないのだが、ジュアルは、今まで自分、及び母とその部下に対する行いを許す気にはならなかった。

(これで俺の気持ちも伝わっただろう・・・)

この先、どうなるかはわからない。だが、何があっても今の行動を後悔はしないと誓うジュアルであった。


(完)

今まで読んでいただき、ありがとうございました。


ジュアルは、これからもいろいろあるでしょう。

ですが、それはまた別のお話かと思っています。

(もしかしたら、続編を書くかもしれませんが・・・)


最期に

これはフィクションで、搭乗する人物、地名は全て架空のものです。



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