第20話 エアーターミナル
毎朝6時投稿予定です。
(確かエアーターミナルに行けと書いてあった)
ボナは手紙に書いてあった内容を思い出していた。手紙は、剣と共に異次元ポケットに収納してあったので見ることができるのだが、セベスティンとコバーシュを失ったこともあり、ボナには余裕がなくなっていた。
十字路を左に曲がって走っていくと、前方に建物が見えてくる入り口に
“エアーターミナル”
と表示されていた。
・・・
ボナは、建物の中に逃げ込むように駆け込んだ。途端に、謎の光が天井から降って来た。
『ジュアル=ラィシカーラクセンよ・・・』
天井から声が聞こえてきた。ボナが周囲を見渡すが人がいる様子はない
『ジュアル=ラィシカーラクセンよ。焦らなくてもよい』
ボナは意識が遠のいていった。
・・・
『ここは?!』
ボナが気が付くと、そこは、一面雲のような何かが敷き詰められた場所であった。見える範囲に壁はなく、天井も雲のような何かが一面に広がっていたのである。そして、ボナの目の前に、金色に輝く、人のようなものが現れた。
『どうやら、お前には、人の形をしたものが見えないと話にくいようだのう・・・』
金色に輝く人のようなものから声が聞こえてきた。
『あなたは誰ですか?』
ボナはようやく、反応して質問する。
『う~ん。お主からすると、さしずめ神とでも言っておこうかの・・・お前をこの世界に呼んだのは儂じゃ』
再び金色に輝く人のようなものから声が聞こえてきた。
ボナは、どうしていいのかわからなくなっていた。
『この世界は、お前が元いた世界をコピーして作った世界じゃ。だがな、どうしても、お前たちのように文明が発達しない。儂はこの世界をコピー元のような文明社会にしてみたいのだ・・・って聞こえているのかの?』
金色に輝く人のようなものから声が響いた。
『俺は、ただの孤児院上がりの冒険者だよ』
ボナが答えた。
『ほっほほほ・・・であれば、備考欄に記述が有るわけあるまい・・・』
金色に輝く人のようなものから声にボナは背筋が凍るような気がした。
(たしかに、冒険者ギルドの水晶で確認したとき
異界からの訪問者、異世界のパイロット
なんて記述があったような気がする)
ボナは自分の知らないことが起きているのを感じていた。
『お前は、元の世界から転生させたのだ。この世界の金持ちの家に生まれさせれば何とかなると思ったのだがな・・・あの阿保国王め・・・』
金色に輝く人のようなものからの声に
『あの・・・私はどうすればよいのですか?』
ボナは金色に輝く人のようなものに向かって話しかけた。
『そうだのう・・・実は、特に何も考えていなかったのじゃ。だがな、お前が前の世界にいたときに趣味にしていた飛行機の操縦ができるようにしていたのじゃ』
『ひこうきのそうじゅう?』
ボナが復唱すると
『そうじゃ。今から、お前には、お前が前世で持っていた飛行機の知識を思い出してもらうことにしよう。そしてとりあえず、ゴヤナの街に飛んで行ってくれ』
『ごなや?』
『ここから230kmほど西にある街じゃ』
金色に輝く人のようなものから声にボナは
『そんな遠くまでどうやって?・・・まさか』
『そのまさかじゃ。お前に渡した異次元ポケットに収納してある飛行機を使えば2時間もあれば着くじゃろ』
セスナ172は90㏏、つまり166km/h程度の速度で飛行できる。だから230kmであれば、計算上は2時間かからない・・・。
『待て、途中、高い山があるだろう・・・』
ボナはいつの間にかインストールされたらしい知識で確認した結果、途中、標高3776mの山があることに気が付いたのであった。
『そうだったの・・・一旦、海岸沿いまで出た後、西に向かうとよい。3時間くらいで着くじゃろう・・・それまでに、冒険者ギルドのお前の情報をジュアルに変えておく方法を考えておくからの・・・』
ボナは慌てて冒険者ギルドが発行してくれたカードを見ると、カードに刻印された名前が、いつの間にか、ボナからジュアルに書き換えられていた。
(どういうこと?)
首を傾げるボナに
『あのシステムを作ったのは儂じゃからの・・・書き換えるのも自由自在じゃ・・・。』
そう言いながら、ボナの見ている前でカードの名前をボナに戻して見せた。
(げっ!)
驚くボナを無視するように
『あ、そうそう、この世界のコピーを持ってきたときにひずみが出てしまってな、ここから滑走路に出るまでに、ダンジョンボスが発生してしまったのじゃ。倒しておいてくれ・・・頼んだぞ・・・』
そう言うと、金色に輝く人のようなものは消えてしまった。
(まったく、好き勝手なことばかり・・・)
ボナが東を向くと、そこには、口にパイプを加えた赤鬼のようなものが立っていた。
(まさか・・・)
『我は、ここを占領したカーサ元帥である。我の世界に勝手にやってきた不届き物よ。成敗してくれる』
カーサ元帥は、腕から何か玉のようなものを打って来た。ボナは咄嗟に両手を顔の前で十字を作った。
“キーン”
カーサ元帥から飛んできた玉はボナ目の前で何かにはじかれたらしく、ボナの前に落ちた。
その様子を見たカーサ元帥は
『結界だと・・・ゆるせん。死ね』
今度は、小さい男の子のような形をしたものが飛んできた。ボナは何が起きたのか、さっぱりわからなかった。
(一体なにが起きているんだ)
突然飛んできた玉がなんであるかわからない上、それを防御し結界がどうして出来たのかもわからなかった。ただ、
(あの飛んできた小さい男の子は危険)
と感じたボナは異次元ポケットに収納してみた。
(どうやらうまく行ったらしい)
異次元ポケットは時間も止まる。とりあえず、何かが起こる前に収納出来たようであった。
一方、小さい男の子が目の前で突然消えてしまったカーサ元帥は、顔を真っ赤にして、今度は別の人を出してきた。えらく太っている。
『行け!ファットマン』
カーサ元帥は叫ぶと、ファットマンと呼ばれた太った人が、ボナ目掛けて突進してきた。
(あれも、何となく生き物ではないような気がする)
ボナは、ファットマンを異次元ポケットに収納しようと手を伸ばす。それに気が付いたカーサ元帥が
『爆発せよ』
と叫んだ瞬間、ものすごい閃光が辺り一面に広がった。
・・・
ボナが気が付くと、そこは、何もない平原であった。周囲に建物は何もない・・・いや、遠くに見覚えのある街が見える。森が見える。
(結界の中だけが、何もなくなっている!)
滑走路の除く、遺跡部分が全て焼失していた。ボナ自身は、何故か無事であったらしい。
(防御結界が出来ていたらしい・・・)
よく見ると、遺跡への侵入を拒んでいた結界は消えていた。
(・・・ということは、ここに入ってくることができる)
あれだけの閃光が出ているから、マトヤの街でも気が付いただろう。そいうことは、誰かが調査に来る。どうやら朝になっていたらしい。東側から朝日が昇っているのが見える。
(早く、脱出しなくては・・・)
ボナは滑走路に向かって走り出した。
やっと飛行機が登場




