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ラブドリーム  作者: 白いシロ
第一章

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乙女の純潔

 私はとても不幸だと思った。どうしてこんな家に産まれてしまったのだろう。どうして私が産まれてきたのだろう。私が何かを欲することは許されない。


 私は支配されてる生活を享受して生きている。産まれてきたことに何か意味はあったのだろうか?いや、意味ならあった。ただのサンドバックだ。ギャンブルに明け暮れて、夜の街へ出歩いて、借金取りに脅されて、そんな両親が私に八つ当たりしてくるのだ。

 朝は1人で登校して、友達も居らず学校側は、虐待に気付いているんだろうけど黙認してるんだと思う。そしてボロいアパートの家に帰って来たら、母親からの虐待が待っている。

 「お前さえ産まれなければ」と母は言う。理不尽だ。誰が産んだのかを忘れたのか?

 そして夜になり、父親が帰ってくる。

「お前が美人に産まれてきたらさっさと売り飛ばしたのに、使えねえクソブスが、てめえは一生俺たちの奴隷だよ」と父は言う。

 美人に産まれていたら他の誰かは私を助けてくれたのか。いっそ自殺したいと何度も思った。

 ただ、おばあちゃんが

「あなたには生きる意味があるわ。いつか必ずそれを理解するのよ。貴方がいつか凄い人になるのをしっかり見ていてあげる。だから絶対に希望を持って、最後まで諦めちゃだめよ。おばあちゃんとの約束ね。必ず生き残るのよ。そして夢を持ちなさい」

 私はおばあちゃんだけは裏切りたくない。おばあちゃんだけが私を大事にしてくれて、おばあちゃんだけが私を私として見てくれる。私はおばあちゃんが大好きだ。何故こんなに優しいおばあちゃんから産まれた人があんなに悲しく、惨めな生物に成ってしまったのだろうか。

 そんなおばあちゃんがある日、シリーズ物の少女漫画を私にくれた。是非読んで欲しいと言われたので、読んでみた。()()()()()()()()()()、読まないはずがない。

 私の中ではおばあちゃんが絶対のルール。最優先事項なのだ。あれ、でもおばあちゃんってどっちのお母さんでいつ私に会いにk……何か大切なことを忘れてしまった気がするけれどまあ忘れるぐらいだからそこまで大切ではなかったのでしょうね。

 私はさっそくおばあちゃんに渡された少女漫画を読んでみた。

 私は読みながら自分の気持ちがとても暖かい気持ちに包まれていくのと同時に激しい嫉妬をした。主人公は可愛いピンク髪の女の子。

  名前は「秋桜夢菜(あきざくらゆめな)

 彼女はとても純粋で、顔も可愛い。笑顔を絶やさず、周りに優しく。そして周りもそんな夢菜のことをとても慕っているようだった。さらに両親はとても優しく、子供の言うことをしっかり聞いてくれる理想の両親像だった。あるシーンでは夢菜のことを命懸けで守ろうとした。これは私にとって、夢のような作品だった。最後の方は良く分からないものの悲しげだった。まるで自身のあり方に後悔しているように見えた。だけど、その悩み方やあり方ですらも今の私には到底できるようなものじゃないと思う。いつかそうなりたい。いつか私も恋をしてみたい。いつか私も友人を作りたい。いつか私も人としての在り方を理解したい。そんな希望に満ちたものを感じた。暗い日常の中に落とし込まれた一筋の希望。まるで夢のようなものにいつからか縋りながら日々を耐えるようになっていた。

 でも私にはこんなに綺麗な世界は歩めない。歩みたくても歩むべき道がない。それでも私は読み進んで行く程に、その夢をとても恋しく思いそして欲してしまっている。どうしようもないほど渇望している。

 まるで、私が私で無くなってしまったみたいだ。怖い。私は一体何に至ろうとしているのだろう。でも読めば読む度、幸せに包まれていくていく……そんな時間も両親の帰宅と共に終わった。

 時刻は夜の三時。夜遊びに出掛けていた両親が、帰って来て、私は一時間サンドバックにされていた。吐露に吐血。複数箇所の大きな痣やたんこぶ。こんなのが続いてよく生きている。と自分のことながら思う。せっかく希望が出来たと思ったのにそこに現実が漬け込んでくる。

 お前は少女漫画の主人公にはなれず、それどころか、登場人物の1人にすらなれないと。

 

そうやってまた日常がやってくると思ったがその日常すらも長くは続かなかった。おばあちゃんが死んでしまったのだ。私の知りあずからないところで勝手に死んだのだ。


 私は目の前が真っ暗になった。私の本当の希望であり、心の支えであり生きる意味、それこそ死のうと思ったが、私はおばあちゃんと約束しているから死ねない。死にたいのに死ねない。何度も思った。誰も頼れない。誰にも話せない。一人で悩み続けるだけ抱え続けるだけ。死なずにあのままくそ親共の奴隷でいつ続けなければならないのかと。

 嫌だ。嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ。

 死にたいの私は!その心の叫びすらも発することが出来ないし、口に出せたとしても受け取り手が居ない。ただでさえ何も無かった人間がやっと得たもの。希望。それすらも無くなってしまったら本当に生きる意味がない。

 死にたい。死にたい。死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい。

 でもおばあちゃんの言葉が呪いのように、いやこれは呪いだ。私を死なせてくれない。何度も木霊するおばあちゃんの声が。諦めるなと。希望を持てと。夢を持てと。生き残れと。

 いっそあの両親を殺してしまうのはどうだ?いやでもどうやって?私には術がない。武器はおろか、包丁すらあの家では置いてない。何よりあったとしても非力なあたしじゃ簡単に組み伏せられる。取っ組み合いなどもってのほかだ。

 ねえ?おばあちゃん。私はこんなに苦しんでるのに、救いもなくこのまま生き続けないとダメなのかなあ?

 そんな時、おばあちゃんの私だけに向けた遺言があるということを聞いた。そしてその遺言が書かれていた手紙を受け取った。

「自分がね、絶対に叶えたいって考えたことは自分が叶えたいって思い続けて努力したら絶対に叶うんだよ。あんたがやりたいようにしなさい。」

  私はその時何かが吹っ切れたような感覚に襲われた。それがいったい何だったのか今となってはもう分からない。

 いや、私はそのことを考える必要がないのだ。そして私は少女漫画の「ラブドリーム」の主人公のようになりたいと思った。おばあちゃんが私に残してくれた唯一の希望。私の夢。手放してはいけないもの。諦めちゃいけないもの。そのために。

 私はそこから努力した。自分の願いを、自分の目標を得て果たすために。

 主人公みたいにパンを口に加えて、運命の人との出会いを想像しながら走った。主人公みたいな話し方にした。主人公みたいな髪型にした。主人公みたいな体型になった。主人公みたいな服を着た。主人公が通ってるみたいな学校にした。主人公みたいに困ってる人へ手を差し伸べた。主人公みたいな名前になった。主人公みたいに自分の為に何でもしてくれる友達を創った。主人公の親みたいにとても優しくて子供のためなら何でもしてくれて命まで張ってくれる親にした。

  私の夢はまだ終わらない続いてこその夢なのでしょう。ひとつの設計図の物を完成させたなら、また設計図を創って物を完成させれば良いのでしょう。

  まだ、私は止まらない。止められない。私の夢は止めさせない。

 「貴方は特別じゃない」 

 そうして私は、瞼を閉じた。


初めまして!私白いシロと名乗らせていただいている者です。


結構長めの物語には今後なっていきますがお付き合いしていただけたら幸いです。

評価やレビューの方をしていただけたら人生の励み及び活力になりますので、していただけたら幸いです。


それではまた次の夢で。

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