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ふぁるでぃあにっき。  作者: コミヤマミサキ
8月 ~なつやすみ~
103/444

2-98 燦霊祭1日目 1

燦霊祭さんれいさいはじめました

 メンテナンスが開けて初めてログインする。


 まずはアルシオンのイベントワープ具合を確かめたい所ではあるけれど、リアルは平日朝の9時過ぎだというのに結構人がいる。さすがに学生だけが集まってるって事はないよね・・・?皆さん今日は会社休みました・・・?いや、お盆休みって奴なのか???


 うーん、でもきっとこれでもワールド的には全然人が居ない方なんだよね。

 アポリアなんて、ものすごくごった返してそう。

 とりあえず影族の人が30人くらい泉の前にいる。結構いるなぁ・・・。30人が”いる方”っていうアルシオンも凄いけど。もしかしてNPCもいるのかなぁ?しかし、見た感じ以前の自分と同じように装備をあまり付けてない人が多い。あと、よく見るとなんか平べったい。自分がレベル1とかの頃を考えると、チュートリアルで影族になる前は平べったいなって思ったんだけれども、影族になってからはあまり気にならなかった。でも今、泉の前の人達をよく見てみると、”ああ平べったいな”って思ってしまう。多分あの薄さだとレベルが10歳くらいじゃないかなって・・・思うんだけど、どうだろうか?この感覚は影族独特のレベル差を視覚的に捉えているのだろうか?逆に今の自分を人族の立場から見たらどうなのだろう?少しは厚みが増して感じるのだろうか?ちょっと気になる。今度レティナさんにSS撮ってもらおうかな。まだレベルが40歳くらいなんで大して変わらないかもしれないけれども。


 ちなみにファルディアでは丁度0時を回った夜中になる。月は半月の月が丁度東に出たところだ。広間にあるモニュメントがやや光りはじめてるが、まだ以前の様には稼働していない感じである。


 そして、皆が集まっているのがイベント用の泉だ。何やら直径10Mほどの泉の様なものがアルシオン地上の広間に徐に湧き出していて、そこに各々好きに話しかけると精霊の幻影が見えるらしい。

 確かに1人ずつしか話しかけられないとなると、並んで待っていたらイベントが終わりそうである。

 こんなところだけ神社の参拝システムみたいになってて面白い。

 泉の周りでは、うぉー!と叫んだり、ニコニコしてたり、青くなってたりと色んな人がいる。一体に何を言われているのか・・・。


 えーとどうすればいいのかと思いながらも、周りの人を見習ってまずは泉に声をかけてみる。


「えーと?こんにちは。」


 そうすると泉の中からブクブクと泡が巻き上がり、ぺっかーと光ると半透明の小さいデフォルメされた妖精みたいなのが泉の上、20cmくらいの所に浮いて現れる。

 何だこのゲームみたいなのは・・・いや、ゲームだけどさ。髪の毛が緑だから何となくレティナさんのぬいぐるみみたいな感じで少し面白い。


「やぁ!はじめまして!僕は精霊アルマだよ。よろしくね!」

 僕っ子が出てきた。・・・いや、そもそも雌雄があるのかな?この生き物は。


「はい、よろしくお願いします。」

「この期間、神や精霊の親分に言われて、嫌々ながらだけど力を貸してあげることになったんだから、有難く思いなよね!」

 ・・・しかもまさかのツン属性か。


「はい、ありがとうございます。」

 とりあえず無難に返事。


「で?早速貢物は用意したわけ?」

「貢物?」

「もー。つ・か・え・な・いなぁ~!精霊には貢物!これ一択でしょ?」

 そうなのでしょうか?何か怪しいですが。


「まぁ・・・いいですけど、何が欲しいんですか?」

「そんなの、自分で考えてよね!」

 UZEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEE!

 久しぶりに見た!久しぶりに見たこのパターン!逆に新鮮!

 でも・・・と精霊?は言葉を続ける。


「私たちがいらないものを泉に入れても戻ってくるから、そこは安心しなよ、ね!」

 ドヤァアアと胸をはるデフォルメちんくしゃ妖精・・・精霊?。

 うーん、ただの高慢なのかツンデレなのか微妙な所。

 高慢なら高慢で最後まで統一してほしい所ではありますが、紛いなりにも精霊だから微妙に親切なのでしょうか?

 そして、貢物は泉に投げ込めばいいんですかね?


「ありがとうございます?」

 首を傾げながらも、何か入れる物はあっただろうか?とインベントリの枠を見ていく。昨日の皮とか牙とか・・・。蝙蝠の皮とか牙とか・・・。後、なぞの石ころとか。・・・見ていくと、ふと目に留まるものがある。


『ディラシスの免罪符 』


 心なしか、わずかに光ってる・・・あ、そうかこれもリオルーナ様の力?かな・・・?


 インベントリから死蔵してたディラシスの免罪符を出し、えいっとばかりに泉に投げ込む。何か力み過ぎたのか割と真ん中あたりに落ちた。


「ギャー―――――――!あなた何入れたの~~~~!!!!!」


 途端叫び出す精霊アルマ氏。

 おおげさなモーションが、ものすごく少女系アニメのマスコットキャラクターっぽいんですが。

 途端ぱぁあああっと光出す泉。

 周囲の人にも見えるのか、「おぉ・・・・」って感じになっている。幸いなことに、誰が何したかは分からない様で、湖が光ってる所しか他の人には見えない。隣の人とかは自分が投げ込んだ所を見てたので変な目で見られたけど、大概の人は気づいていない。ラッキー。


「・・・酷い・・・一番最後までワープを開けなければ、花蜜かみつを一人占めできたのに・・・今年こそは一番になろうと思ったのに・・・。」


 よよよと泣き崩れる妖精モドキ。

 おい。R15なのに賭博を匂わせていいのか?

 しかし、道理でツンデレ?というかキャラが合わないというか変だと思いましたよ。なるべく通さない様にしたかったんですね。


 ・・・というか、花蜜を投げ込めば簡単だったっていうフラグですかね?これ?

 何処に売ってるか知らないけど。もうディラシスの免罪符投げ込んじゃったからいいけど、まぁもし免罪符を必要になったらまた取りに行こうと思う。アレをソロで出来るかなぁ?今のレベルだとちょっと微妙。でもワクワクする。今度居たらやってみようかなぁ。


「あんたが相当なものを入れてしまったので、全部のワープが開いちゃったんだよ!この世界で一番だわ!オメデトさん!もう来なくていいんだからね!ぷんぷん!」


 えっ!?・・・もう全部開いちゃったの?え?!

 そう言ってマスコットモドキは消えようとして・・・


「あ!忘れてた!」

 と再び戻ってきた。

「何処へ行きたいか念じながら泉に飛び込めばちゃんと行けるよ!念じるのを忘れないようにね!じゃあね!」


 もう、こうなったらふて寝してやるんだからー・・・という言葉を残し、駄精霊アルマは微妙なデレ具合を残して、今度こそ消えた。


 ・・・・。


 一体何だったのか。

 えっと・・・一抜けた?


 とりあえず、午前中にやろうと思ってたイベントを既に終了してしまった様だ。

 ・・・・昨日のメンバーにメールを送る。


「なんか、うっかりイベントワープを全部開放してしまったので、ネタバレしたい人はメールください。」


 さぁ、まずはインベントリを開けるためにダンジョンのドロップを売ろうか・・・?いや、まずはダンジョンの報告か?と思ってる間にメールが飛んでくる。


 まずはティラ君。

「教えて。」

 非常に分かりやすい。


「ディラシスの免罪符。」

 と返しておく。悔しがる姿が目に浮かんでニヤニヤしてしまう。しかし、返ってきた返事は、

「アポリア行って買い付けてきたら大儲けなのに!」

 と予想外に前向きな話が返ってきた。これは自分にアポリアへ行けという事なの?

 それはさすがに面倒臭いので、

「エセ精霊の間で花蜜で賭けをやってるそうなので、甘い物でもいけるかも。」

 と送っておく。

「いいこと聞いた!試す!」

 との返事。はいはい頑張ってくださいね~。

 ていうか、冷静に考えてNMの事詳しかったし免罪符持ってた可能性もあるな・・・つまらーん。



 あとはセイさんからも飛んできた。

 セイさんも、いつ来てもファルディアにいて謎だよな。


「良かったら教えて~。」

 と言われたので、

「ディラシスの免罪符を投げ込んだら全部開通しました。あと花蜜であいつら賭け事をやってるそうなので、蜜系でもいけるかもしれません。ティラ君が鋭意検証中です」


 と、返信をしておく。

「ホント!助かるわ~ありがとう。あ、この期間お店出してるから良かったら遊びに来てね♪」

 とのこと。行くのはいいけれど、一体どこで何のお店を出しているんだろうか・・・?

 謎が残るが、特段聞き返したりとかはしなかった。


 後の人は来ない。

 まだ9時台だし、ログインしていないのだろう。


 とりあえず、ギルドで先にお仕事をしてしまいましょうね?




 アルシオン上層冒険者ギルド。

 時間が夜中だし、プレイヤーはイベントに行ってるし、自分しかここにはいない。今日の当番は・・・なんとギルド長らしい。

 偉い人なのに偉いなぁ・・・あれ?合ってるのかな?あれ?


 などと思いながら、書類に目を通していてこちらを見ないギルド長に話しかける。


「こんばんは。」

「こんばんは・・・サクか。久しいな。」

「どうもお久しぶりです。」

 そんなお久しぶりだったかな?まぁ自分もアポリアに行ってたし、ギルド長も偉いから滅多に見ない。あの時の蟻騒動ぶりか。


「それで、今日はどんな要件か?」

「えっとですね・・・あ、でもギルド長で丁度良かったのかな?」

 何という事でしょう。

 滅多にない事なのに、丁度お偉いさんがいて、話が通りやすい?

 至れり尽くせりな親切設計なのか?それともスキル主人公属性さんが良い仕事をしてくれたのか?


「丁度いい?」

 片眉を少しあげ、怪訝な声を出すギルド長。

 まぁそうですよね。

「えっとですねぇ・・・実はダンジョンなるものを発見しまして?」

「アレか。・・・サクは何かしら変なものに遭遇してないか?」

「ハハハハハハ・・・・。」

 苦笑するしかないですよね・・・。ユニークスキルがトラブルに対して猛威を振るっているもんで・・・はぁ。


「アルシオンの西南西20分あたりの岩肌で見たんですが、昨日の夜クリアしまして。性質的に放っておくと大変そうみたいなので、どうしたらいいのか分からず一応報告に来てみた次第ですが、いりました?」


「潰すのが最優先だが、報告はあった方がありがたい。ついでに細かい報告をしてくれると1万F出るぞ。逆に放置すると処罰対象だな。クリアできない場合、報告義務がある。」


「ああ、やはりそうなんですね。折角なんで報告していきます。」

 1万Fかぁ。多くも少なくもない金額だし、ここは今回のダンジョン攻略で自腹を多く切ってそうなティラ君に回しておきますかね。経費の補填として。


「誰ぞ鑑定持ちでもいたか。それでは、この用紙に記入を。」

 そう言ってギルド長が紙とペンを渡してくれる。

 鑑定の人がダンジョンの情報を鑑定したから知りえたと思ったのかな~?NPCの人にプレイヤーのヘルプの概念を説明するのって難しいよね。


「あ、ついでにダンジョンの素材の買取ってできますか?」

「受け賜わろう。用紙に記入している間にしておくから、今出したまえ。」

「はい、お願いします。」

 と、鞄からガサガサとボス素材と雑魚素材を計14点程、あとは採掘したセレナイト20本程のワンドだ・・・1本は記念にとっておく、それをカウンターにだす。


「蝙蝠か。」

 鑑定しているのだろう、しげしげと物珍しそうに見ているギルド長。

 無表情だけど心無しか楽しそうに見える。


 そっと利用者が使う机に移動し、書類と格闘する。

 紙は版画で刷られた定型の書式への埋め込み方式になっているので意外と楽だ。

 ダンジョン名、ダンジョンのタイプ、罠の有無、雑魚のレベル、雑魚の挙動、ボスのレベル、ボスの挙動、あと簡単な地図を描く欄がある。残りはドロップなどの項目となっている。そして最後にダンジョンを攻略の可否の記述に本人のサインで締めくくられている。

 やはり在る所にはあるのか・・・罠ダンジョン・・・・。

 罠察知はとるべきなのか。よく考えたら解除できなくてもいいんだし?


 15分ほどかけて、あらかた書類を埋め終わったので「これでどうですか~?」とギルド長に持っていく。

 一通り目を通し「問題ない。」と受け取ってくださる。上げててよかった大陸公用語(なお書類との格闘で19レベルになりました)。


「では、蝙蝠の羽根4枚、牙7本、ウェスペルの羽根1枚、ウェスペルの牙2本、セレナイトのワンド20本。計34点で78,500Fに報告代10,000Fをつけてしめて88,500Fだ。明細がこれだ。何か質問はあるか?」

 みっちりと買取素材と単価などが書いてあるメモ用紙を見せてくれる。セレナイトが意外と(単価)2,000Fもしているのか。確かに大きいし、リアルで2000円って考えたらそんなに高くはない。お高いのはやはりボス素材。これで服とか作るといいんですかね?

 なんにしても伝手がないからいいんだけどね。


「問題ありません、ありがとうございます。」

 そう答える。後は特に用事もないので、ギルド長にお礼を言ってギルドを後にする。

 ギルド長はまた書類に目を通しに戻った。真面目な方である。



 ギルドを出ると、「うわぁ~」とか「ぎゃ~」とか泉の前でお苦しみになってる人々が多数。

 今日はイベントもあって炎が多めに焚かれているので、さながら拝火している人々の影みたいな感じで笑ってしまう。なんかこう、映画にありそうな感じ。遺跡の壁に映る踊る様に見える影みたいな。


 この状況で泉の中に飛び込むのもな・・・と思いながら、ふと右横手を見ると、泉の横をスタスタと歩くビビットカラーの三毛ネコが居る。

 あの配色は多分猫ワープの時にいた三毛猫(ただし、配色が鮮やか)君かな・・・。

 あれだけ目立つ色合いなのに、だれも目にも留めないし、実際自分も今さっきまで全然気づかなかった。

 猫精霊は気配希釈みたいなのを持ってるんだろうなぁ。

 しかし、猫精霊はこんなところまで来るのか。健脚だなぁと思ったり。

 そういえば、不測の事態だったとはいえ、一応アルシオン近くまで連れて帰ってくれたのだし、お礼を言っていなかったなと思い出す。そう言えばアレがありましたね。雑にインベントリに入れっぱなしになってた、以前トンガルー肉を焼いた無添加焼き串のあまり。ティラ君に1串押し付けたものの、あの後飯盒でセージ焼きにしたから、自分の分は実食していなかったんでした。動物はたしか人間の食べるものは塩分が強すぎて駄目だというし、無添加の物がいいだろう。干し肉も、生肉もあるけど、寄生虫とかいたら困るし。・・・ゲームだけどいるのかな?


「ネコ君。」


 声をかけた自分に気づいて、こちらを見てニャーと挨拶をしてくれる。可愛い。色味だけ気になるけど可愛い。

 特に怯えた様子もないので、そっと隣にしゃがみ込む。


「先日は、ありがとうございました。おかげでここまで戻ってこれました。これ、つまらないものですが。」


 インベントリから肉を出す。まだホカホカだった。ゲームすごい。


「にゃー!」


 こころなしか大き目の声でお礼を言ってくれてるように勝手に思う。

 いい事をしたかな?喜んでくれたならよかったのだけれども。


 鉄串はあげられないので、携帯食についている包み紙だけ出して、その上に肉を取って置いていく。

 と言っても、4切しかないんですよね。ごめんなさいってかんじですが。


 まだ熱いから猫舌ですぐ食べないのか、ニャー!ともう一度鳴いてくれるネコ君。


 その途端、ぐにゃりと何か見覚えのある感覚が・・・て、えええええええ?????


 ち、ちがうんです。それは”お礼”であって、ワープしたいとかじゃなくて、するなら目の前の方のワープがしたいっていうかねぇえええ?????!!!

 ていうか、あの泉じゃなくてもワープってできるんですか!?


「にゃーん!」


 最後、その声を残して、自分の感覚がぐにゃりと歪んだのを感じた。



ワンド・・・所謂棒状の杖の様なもの。綺麗で欠けが無い長い棒状の結晶をワンドと言う事が多い。だがしかし、人工で作った棒状の不可思議な物体もワンドと呼ばれることがある。魔法の杖のイメージが付きまとうが、20世紀の英語圏で流行り出した言葉らしい。


ビビットカラー三毛猫・・・多分 #ff8c19(オレンジ) #ffff3d(黄色) #9e3dff(紫)あたり


現在サクさんのインベントリ10枠(初期)は時間停止、残り25枠(追加)は時間動く仕様

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