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ふぁるでぃあにっき。  作者: コミヤマミサキ
8月 ~なつやすみ~
104/444

2-99 燦霊祭1日目 2

北海道の方は地震は大丈夫でしたでしょうか。

まだ寒い時期ですし、何卒ご自愛ください。


ちょっと早めに置いておきます。

 や ら れ た・・・・。


 場所は、おそらくアポリア東北の湖近くの森の場所。

 見覚えのある大岩と浅い泉の前の場所に出た。

 ガックリと膝をついてしまう。

 元々、ワープした時に身体感覚が狂って膝をついてはしまいましたが・・・。


 折角アルシオンでおそらく一番にワープ開けたのに・・・。



 いや、落ち込んでいても仕方ない。

 ここは気を取り直して・・・いや、ダメだ。

 ここからはアポリアしか近くないし、今アポリアなんかに自分が現れたら、「アイツ絶対おかしい!」ってなってしまう!


 影族増えて!

 目立たなくなるくらい!

 早急に!


 ここは残りの肉を早急に焼いて猫をみつけて肉ワープをするべきか?


 ・・・しかし冷静になってみれば、今イベント中だし、少し時間を置けばみんなどっかに移動するだろうからアポリアに居ても不思議がられないかもしれない!ちょっと出遅れる罰ゲームになるけれど!

 そうだ、それがいい。

 ということで、落ち着きを取り戻し、せっかくだからシュンさんの所に向かう事にする。


 テントで寝たままのシュンさん、その後どうなったでしょうか?

 サクサクと、夜の森を歩きながら考える。

 サワサワと風が葉を揺らす音は聞こえるのだけれども、やはり聖域の様な場所は健在で、魔物の気配は遠い。



 ――――ボスッ



 突如、頭に柔らかいものがぶつかる。


 !?鳥の巣でも落ちてきました???

 それとも猫?!!


 思わず頭を触ると、モスッっという指が沈み込む様な柔らかな感触・・・。


「キュッ?」


 これはあれだ。


「兎君?」


 兎君、全く気配察知に引っかからなかったんですか、どうなってるんですか・・・?


「・・・キュッ・・・。」


 しかもあれか、おねむか。もう夜だしな。

 自分が下を通ったのに気づいて落ちてきたけど、ガン寝って感じか?


 よいしょっと、頭から兎君を外す。

 案の定スピョスピョ眠ってる兎君。野生は何処へ行きました・・・?


 まぁ確かにこの辺で寝るなら魔物は出なくて安心かもしれませんが、兎君どうしよう?連れて行っちゃっていいんでしょうか?ここに置いていっても心配だしなぁ・・・?

 でも綿毛兎?は行動を阻害しちゃいけないんだよね?

 寝てる場合はどうなるの???


 ・・・。


 嫌なら勝手に帰るはずだから、まぁいっか。


 拾ってしまったし、このまま抱っこして連れて行くことにする。

 決して兎君にしばらく会ってなくて寂しかったとか、このやわっこいモフモフが忘れがたいとかそういう理由ではないのだ。決して。


 兎君が寝てる間は、魔物が出ない所に行くしかないなぁ。でも、その分温かくて可愛いけど。兎特有の細くふわふわな毛の感触が懐かしい。兎君が寝ていても戦闘できるように兎リュックが欲しい。

 そんなの売ってるんでしょうか?

 売っているわけがない。そもそも、リアルの兎はここまで丸くないし、ファルディアの綿毛兎は絶滅危惧種だし、鞄に入れてる時点で怒られそうな予感。

 しかし、戦闘面で困るから良いアイデアだと思うんだけど。兎君袋。

 うーんティラ君作ってくれないかなぁ?裁縫やってるなんて聞いたことないけれど。


 そんな感じでモフモフを楽しみながら歩いていると湖畔が見えてくる。


 テントを張った辺りまで戻ってくると、地面には見覚えのある幽霊が気持ちよさそうに寝ているのが遠目からでも見える。


「えぇ・・・・・。」


 シュンさんあれからずっと地面で寝てたの?マジで?

 いくら幽霊とはいえ、それはどうかなぁ?

 でも、観測する人がいないと幽霊の時間って止まるの?

 それともシュライブングの剣の力・・・?いや力だったとしても、何が作用してるの?

 ていうか、そもそも何で幽霊が寝てるの?


 などと原点回帰をしてしまって意味が分からない。


 とりあえず、側に寄ってみると、やはりシュンさんは気持ちよさそうに寝ているわけで・・・。


 うーんおかしいな?この人大丈夫です?

 幽霊だから大丈夫じゃないだろうけれども。

 いや、そもそもこの場所が気に入って夜はここで寝ることにしたとか?

 そもそも、幽霊の生態ってどうなってるんだろう?


 疑問が尽きることがない。


 当のシュンさんはというと、ムニャムニャと夢を見ているのか独り言を言っている。呑気な幽霊である。さてどうしようかなぁと思い、かといって夜中に幽霊とはいえ、たたき起こすことも忍びなく、寝てるシュンさんの横に腰を下ろして考える。


「くれんせーて・・・。」


 むにゃっと寝言をいうシュンさん。幽霊の寝言とは・・・。

 しかし、クレンセーテって何でしたっけ。

 えーと・・・?ああ、セレネーツァ様の都?もう3年前になくなったっていう街の名前か。

 神様がいないと街が消えるってどういうシステムだろう?すごいよな。


「かえりたい・・・。」


 ドキッとする。


 シュンさんの顔は相変わらず呑気な顔ではあるけれど、少しだけ真面目そうで。

 それが泣いているよりもずっと何かを堪えてるんじゃないかと心配になってしまう。


 ・・・そうですよね。記憶はないとはいえ、街の常識みたいなことはあったですし、シュンさんが今一番懐かしさを感じられるのは、街の事なのかもしれない。連れていけるなら連れて行ってあげたいですが、クレンセーテはもうなくなったっていうし、跡地に行ってもそこはシュンさんが帰りたい場所ではないかもしれない。何より、シュンさん自身が地縛霊?なのかここから動けない様子だ。


「ままならないなぁ・・・。」


 人生?幽霊生?思う様にいかない事が多い。

 シュンさんにはお世話になっているし何かお返しがしたいのだけれども、とても叶いそうにない気がする。


 ――――ズシッ。


 ん?


 ふと、右手に慣れた感触と重みがある。

 シュライブングの剣?あれ?自分インベントリから出しましたっけ???


 と、思っているとシュライブングの剣に魔力が集まるのが魔力感知で分かる。

 これは・・・・大変嫌な予感がするんですが!??


 ピカっッと光るシュライブングの剣。


 そして再び訪れる、本日二回目のぐるぐる。


 いやぁね、そろそろ慣れましたよ。

 次は何処に連れていかれるんですかね?この状況。


 しばらく目まいの様な感覚を起こし、グルグルが収まってから辺りを見渡すと・・・・



 そこは黄金の砂漠地帯だった。



 ・・・・・・・・は?



 これはアポリア西の死の砂漠・・・?

 いや、あの砂漠?砂丘?は広いけれども細長くて、海が見えるところが多かった。もっと西側だと分からないけれども・・・。


 しかし、ここは360度、見渡す限り砂である。


 ・・・・???


 ここは多分来た事ない所で・・・・あってますかね?


 まだ地平線に近い所に半月がある所を見ると時間はそんなに立っていないと思うけれど。

 あちらを東と考えても、マジでここは何処だ???ってなってる。


 剣はいつの間にかインベントリに戻っていた。

 退勤も早い事です・・・。


 砂漠の夜は寒いと聞いていたけれど、体感で20度くらい・・・?アポリアの森とそんな変わらないな。ただ、空気がカラッからだ。

 兎君はスピョッスピョ寝ている。可愛い。でも、兎君が寝てるって事は多分大丈夫な気がする。


 そして一応気配察知魔力察知第六感ともに異常はないが、・・・生き物はいるみたいなんだがおかしいな?どちらかと言えば、ここも聖域の類なのか?

 ここに飛ばしたのは何でか分からないがシュライブングの剣みたいだし、剣に思考があるか知らないけど飛ばせる場所は月神様の縁が深い場所だと思うんだけど?


 結果があるなら原因があるはず。

 こうなった原因はなんだ?

 シュンさんが寝言で「かえりたい」っていって、自分が「ままならないなぁ」って言っただけなん・・・だ・・・けどって、まさかね?


「月都クレンセーテ?」


 月神の、そして剣の縁が深い場所で前後を考えればそうなるのだけれども、ここは”ただの砂漠”だ。

 試しに近場の砂丘に登ってみる。

 兎君を抱えたままだと砂に足を取られて大変だったけど、何とか時間をかけて登る。すると、遠くに見える海と、やはり辺り一面の砂砂砂・・・・砂漠地帯で・・・。

 いや、低い塔が一個だけ徐に建ってるのが見える。塔がこんな砂漠に建っているというより、塔が沈んで先端だけ出ているって感じには見えるけれども。


 もし、ここが本当にかつての都クレンセーテだとしたら。

 たった3年で神がいないだけでこんなになってしまうのか・・・。

 ゾクリとする感覚。神様と言うのは思ったよりもファルディアでは重要な何か機関を果たしているのかもしれない。そんな事を思う。


 しかし、やる事もやるべきこともよく分からないので、物は試しに塔に近づいてみますか。


 というわけで、サクサクと塔に向かう。


「・・・キュゥウウ・・・」


 寝言を言う兎君に癒されながら、なるべく起伏が無い所を選んで歩くが、ふと気づく。

 この砂は普通の砂なんだろうか?砂漠などいった事がないからわからないのだけれども、TVで見る砂漠はもっと赤みのかかった砂ではなかっただろうか?でも画面の色合いなど簡単に変わるのでよく分からないが、そんなイメージが強い。日本の砂浜だと砂は黒いか、沖縄だとサンゴの死骸で白い砂。ここの砂は月光を反射しているのか黄色っぽい砂が金色に見える?うーんわからん。砂も成分によっていろいろあるだろうし、とりあえずなんか集めろって言われてたしとりあえず採っていく?

 しかし砂ってこれ採集なのか採掘なのか?しかしそもそも入れる袋がないなぁ。そのままはいるかなぁと試した所一応入った。ただ、出してみると散らばってバッサーと落ちてきた。これはいかん。砂漠の風が強いせいもあるが、今回は仕方なくそのまま入れるけど、次回からは袋を用意しておいた方がいいと学ぶ。


 インベントリ1枠消費するので、どうせならと99スタックためて終了する。

 砂遊びも終わったので、引き続き塔に向かう。半月の月は大分上がってきていて、頼もしい。

 そう言えばダンジョンでPNT切れなかったなぁと思ったり。PNT回復装備とかアイテムもほしいなぁ。特に応急処置用のポーションみたいなアイテムありませんかね?


 色々、考え事をしていたら塔の近くにたどり着く。

 以前もこんなことがあったなぁ。あれは地下で、セレネーツァ様がいて。



 塔を見る。



 風化しているが、白っぽい石造りの堅牢な塔だ。

 物見の塔かな?それとも砦の跡だろうか?



「その塔に近づくな。」



 突然の人の声に、声の方を振り返る。声は若めの女性の声の印象だったが、実際振り返ると、レティナさんよりも淡いグリーンの髪の小さい女の子?が立っている。

 背はレティナさんより少し大きい。ティラ君くらいか。・・・ん?そうすると大・小人族なのか?

 着ている服は上等だ。アルシオンでは見ない民族的な衣装だけど、刺繍がふんだんに施されて手間がかかっているのが分かる。何となく感じが遊牧民族って感じがするのだけれども。

 そして、魔力感知にビンビンと物凄い反応が。


 これはあれですかね?


「どちらかの神様ですか?」


 魔力感知を取ってから初めてみたんだけど、存在感っていうか魔力なのかなこれ?う~んわからん。


「何者だ?邪神の類の手先にも見えんが・・・。」

 一方、推定おそらく神様?はじろじろと不躾にこちらを観察してくる。

 しかし”何者”?かつて、いろんな人にそう聞かれる気もするけれど。

 その質問って意味がある様にも思えないのですが。


「残念なながら、神様みたいにバシッとこう、枠がないというか・・・強いて言うなら影族としか言いようが。」

 ないですよね?みたいなー。

 リアルでも突然「お前何者だ!」って聞かれたら、「えっ・・・!?高校生?」くらいしか答えようがないんだよね。会社に入ればまた違うのかな。

 しかし、少女の姿をした多分神様は胡乱な目をこちらに向ける。


「お前みたいな変なのが、ただの影族であるわけが無かろう。なんだその滅茶苦茶な配分は。」


 最近変って言われなれていますが、滅茶苦茶を頂きました。そんなに滅茶苦茶ですかね・・・?ていうか何が?加護とか?繋がってないとか?



「滅茶苦茶な配分・・・?」

「ふん、自覚なしか。影族にしては影の気が薄い。かと思えば潤沢に月の気を持っている。しかして、日の気配も決して薄くない。月も日も影族とは縁が薄いにもかかわらず、だ。滅茶苦茶だろう。」

 なんかすごく丁寧に説明してくださったな?


「えっと・・・称号ですかね?月神セレネーツァ様の加護と日神‘%#!}% 様の燈火と、ユトゥスシーレイ様の守護とかありますね・・・?」

 ユイベルト様のお気に入りは特に説明しなくてもいいよね?恥ずかしいし!

 ・・・っていうか、何かリオルーナ様の名前、文字化けしましたね?口に出せないのかぁ。


 そして、目の前の多分幼女様?は頭痛がするみたいな感じでこめかみをグリグリされてる。


「滅茶苦茶どころではないではないか・・・。何で神すら認識できぬものから守護をもらってるのか。お前がアレか。セレネーツァを観測したという”霧向こうの民”か。話だけなら眉唾ものだと思うが、実際見てみると信じるしかないか。」


 リオルーナ様の燈火って守護に相当するのか~ほほー。有難い事です。守ってもらってるっていうか導いてもらってるっていうかそんな感じはしますが。そして、自分の事をご存じの模様。神様たち会議しに行ったもんね。自分のことまで情報共有されちゃいました?あらら。そして、非実在系を疑われていた模様。


「ありがとうございます?あ、自分はサクと申しますヨロシクオネガイシマス。」

 何たって神様ですし、この神様はロロージア様とかユイベルト様とかとは違ってマトモそう?そしてユトゥスシーレイ様と違って柔軟そうだ。きちんと礼は尽くすべきだろう。見た目幼女だけど。


「そして、あの堅物にまで守護をもらうとはな。ユイベルトやロロージアは喜びそうな珍妙ぶりだが、堅物迄落とすとなると並大抵の事じゃないぞ。」


 幼女神にまで堅物呼ばわりされるユトゥスシーレイ様が面白い。

 まぁ、やっぱ堅いんでしょうね。


「なんか、変だっていわれて、守護をくださいました。」

 よく考えるとピカ神から守護をもらえる理由がそうないだよねぇ?変なの。

 でも、情報提供の一環ってことなのかなぁ?うーん?


「ますます、わからんわ。」

 呆れた顔をする幼女神。


「ピチャーチ。」

 じわっっとその場に威厳のある大き目の髭族の男性が現れる。特に髭が立派で、手入れもさることながらボリュームもあり、一部、みつあみがほどこされている。

 この方はわかるぞ。多分、あれだ。近所髭族の街の守護神様だ。存在感も威圧感もばっちりだ。


「侵入者はどうだった。」

「どうもこうも。あまりの珍妙さに頭を抱えてたところだが、どうやら件のセレネーツァを観測した”霧向こうの民”らしい。」

「これが、か。」


 じっと威厳のある、かといって感情が読めない目で見つめられる。うーん正当な王様って感じ。うちの王様はちょっとフランクっていうか、笑い上戸っていうか、おかしいよね?


「どうやってここまで入った?」


 と静かに、しかし有無を言わさぬ圧力をもって問われる。

 どうと言われても・・・。ていうか、神様的立ち入り禁止区域か。そりゃ神様も来るはずである。


「自分が伺いたいくらいなんですが、なんか飛ばされました?ね・・・?」


 こめかみをぐりぐりする幼女神様。

 珍妙にもほどがある・・・・とブツブツ言っておられる。

 一方、ドワーフ神様は超然とされており、他の神様程感情が出ないというか泰然としてらっしゃるというか、王様と言うか偉い人みたい。これこそが、神様っぽい感じ?

 いや、ピカ神様も神っぽいっちゃー神っぽいが。


「まぁいい。ここは人の訪れを許しておらぬ。早々に立ち去れい。」


 そう仰った。

 どうやら入っちゃいけない所に勝手に入って、許してくださるという解釈でいいんだろうけれど、一つ問題がありまして。


「えっと、大変申し訳ないのですが、ここは一体どこなのでしょう?あと、立ち去るにしてもまだ死にたくはないので、できれば街の方角とか教えていただけると助かるのですが・・・。」


 ちょっと意外なものを見たような目でこちらを見てくる髭神様。


「な。珍妙だろう?」

 と、合いの手を入れる幼女神様。


「・・・。」

 一方、ドワーフ神様は変なものを見る目でこちらを見てくる・・・。あ、またこの扱いなのか。そんなドワーフ神様を見て、一つため息をつく幼女神様。こちらに向き直り、月とは逆方向、海が無い砂浜の方を指さす。


「西に真っすぐゆけば、小人族の街、エエンデルデがある。だが・・・そうだな、距離としてはアルシオンからスラハタンデン程は離れているな。」


「結構ありますね・・・。」

 影移動で頑張っても3,4日はかかるだろうか。うーんイベントが終わってしまう。なんというトラブル沼。そして、この神様はあえてここがどこか教えてはくださらなかった。きっとここがあそこで合っているのだと思うのだけれども。

 チラリと塔を見る。


 寂れた、本当に何もない塔だ。


「ここに、セレネーツァ様がいらっしゃるんですね・・・。」


「お前・・・。」


 絶句する幼女神様。その様子であながち間違っていなかったのだろうと思う。なぜ、セレネーツァ様がこんな寂しい所で一人いなければならないのかとか、色々思う事もあるけれども。自分には何もできることはありはしないのだ。


「今すぐそこから離れろ!」


 急に飛んできたドワーフ神様の警告にハッとする。


 塔に目を奪われてた間に、いつの間にか再びシュライブングの剣がインベントリから出てる。魔力が高まっているのが分かる。

 え?また飛ばされるフラグ?!!??

 と焦るも、塔と剣は何か話をするように、魔力をやり取りした後、すっと何事もなく魔力は静まり、あたりには何事もなかったかのように静寂が戻る。


 ・・・何が起こりましたかね?


「・・・お前!ふざけるなよ!我らがどんな思いをしてこの地を鎮めていると思っているのか・・・!」


 突如、襟首をひっつかまれてずりずりと塔からひき離され、幼女神様に怒られる。

 ええ・・・自分が悪いんですかね・・・?まぁ自分が影響していることは否めない所がまた。


「やめよ、ピチャーチ。どうせこの者は何も分かってはおらぬ。」


 チッっと舌打ちををして、自分の襟首を離してくれる幼女神様。この幼女神様は、見た目は超ロリータなのだが、言動は男前だ。きっと自分一人で狩りとか狩りとかいってバンバン獲物を倒して、バンバン料理していきそうな肝っ玉母さんの様なオーラを醸し出している。見た目幼女なのに舌打ちもするし。


「その者はセレネーツァの加護があるのだろう?剣もセレネーツァの力が宿っておる。どうせセレネーツァに導かれてここまで来たのだろう。何の目的かは知らんがな。」


 ああ、自分はセレネーツァ様に導かれてきたのかな?

 そんな気もするし、そうじゃない気もするのだけれども。


 一方ジト~~~~・・・とした目で見る幼女神様。

 そんな目で見られましても・・・。

 自分が悪いかって言われると、そこまで悪くない様な気がするのですが・・・?

 しかし、見た目幼い人に変な目で見られると、落ち着かない事も確かで。


「こんなよく分からないもん、危なっかしくて置いておけるか!」


 突然距離を詰めてきた幼女神様に、軽くトンッっと胸を手で突かれる。

 軽い衝撃だったのに、思わず後ろに尻もちをついてしまう。

 ついたのは尻もちだけで、兎君も無事落とさず済む。

 ・・・・ていうか、兎君ずっと寝てましたね?大物である。



 それにしても、危ないなぁっと思って再び前を見ると、目の前の風景が全く変わっていて。

 静かな草原地帯に、聞きなれない虫の鳴き声がする。




 辺りを見回すと、遠くに街の明りが見えた。



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