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ガーディアンナイト  作者: シラス
本編一章 ガーディアンナイト誕生
7/24

6話「想像は力なり」

6話です。やっぱり、服装が難しい…


 その日もまた、カルーワが出現しその対処をアメジストとオニキスが行なっていた。


「はぁっ!」


 オニキスがカルーワの懐に入り連打を決めて最後の一撃に力をありったけ込め、カルーワを吹き飛ばす。


「オニキスがいると、私の出る幕が無いような…」


 ほとんど攻撃はオニキスが行なっており、アメジストはカルーワの攻撃で被害が出ないよう、シールドを張ることに集中していたのだが、オニキスはカルーワに攻撃の隙を与える事なく戦っていたため、アメジストはほとんど何も出来ていない。


「何言ってんの。こっちはアメジストのお陰で被害が出ないって安心して戦えてるんだからね」


 そんなことをお互いに話していると、カルーワが再び立ち上がる音が響いたため、戦いに意識を戻す。完全に立ち上がった虎の姿をしたカルーワが2人へ目掛け走り、アメジスト達を捕食せんとばかりに飛びかかる。


 アメジスト達が構えたその時、金属が激しくこすれ合うと音と共に、カルーワ目掛けて何かとても長い物が飛んで来る。そしてその物体は、カルーワに巻き付き、ガシャンという音を立てながらカルーワごと地面へと落ちた。


「何これ」

「鎖…の様ですね。でもなぜ鎖が?」


 カルーワに巻きついた物は鎖だった。カルーワはその鎖から抜け出そうとするがどれだけ暴れても抜け出す事が出来ないでいた。


「そんなに暴れちゃって、落ち着きがない子」


 特徴的な足音と共に聞こえてきた声は相手を挑発する様な言葉を発しだ彼女は、ドレスの上からコルセットを胸元から局部に掛けて着込み、フリルが何層にも付いた膝上あたりまであるスカートの下からは、ガーターベルトの紐が見え隠れしている。手には革手袋。そして太もも近くまであるサイハイブーツがその特徴的な足音を出していた。


 そのまま歩みを止める事なく歩き続け、鎖に縛られたカルーワの目の前で止まった。


「ふふ、そんなによだれを垂らして。節操のない子ね?それとももっときつく、締め上げられるのを期待してるのかしら?」


 その言葉を否定するかの様にカルーワが激しく暴れだすが、鎖から抜け出すことは出来ないでいる。


 ひとしきり暴れた後、牙をむき出しにして唸るカルーワをその人物は楽しそうに見下ろしている。


「流石にこの程度では牙は抜けないわねぇ。ふふふっそうでなくちゃ面白くないわ。もっと抵抗してみせて?」


 そう言った女性は手を鎖にかざすと、まるで締め付けるようにゆっくりと手を握っていく。すると、それに合わせて鎖がさらにカルーワを締め付けていく。


 締め付けられているカルーワは声を上げることしか出来ないでいた。


 その様子を見ていた女性は、頬を紅潮させながら妖艶な笑みを浮かべ、人差し指を自分の下唇に添えながら声を漏らす。


「あら…貴方、ふふ…そのきつさが気持ちいいのねぇ?」

「「えっ」」


 思わず出たその声は2人同時に重なった。アメジスト達からすれば、それは苦しそうなものにしか聞こえないカルーワの声は、彼女はそれを気持ち良さから出る声だと判断していた。


「あ、あの」


 意を決してアメジストがその女性に声を掛けると、未だ興奮覚めあらぬ様子で振り返り、声を掛けたアメジストをじっくりと眺めた後、先程見せた妖艶な笑みとは違う普通の笑みを浮かべた。


「あら、貴女がアメジストさんね。それでそちらがオニキスさんだったわね?」


 まさか自分達のことを知っているとは知らず驚いていると、その反応が面白かったのか楽しそうに笑いながら、アメジスト達を知っていた理由を話す。


「2人はテレビでよく見るから知っているわ。あとは町の防犯カメラとかでも見かけるけど」

「は、はぁ…ん?」

「防犯カメラ…ですか」

「ええ、そうよ」


 2人はそれ以上聞くのが少し怖くなり聞くことはしなかった。


「そういえば名乗ってなかったわね。私はティアナ。本当はゲンティアナって名前なんだけど、長いからティアナって呼んで?」


 ティアナと名乗った女性はその場でくるっと一回転をし、フリルか何層にも付いたスカートの裾を摘みお辞儀をする。そんな動きを普段からやっているかの様に優雅にやってみせたティアナを見た2人は呆然とするしかなかった。


「ん〜?どうしたの?」

「い、いえ」

「そう?ああ、この子いつまでも縛っているのは流石に邪魔よね。ああでも、そのまま永遠と縛られているのもお好みかしら?」


 思い出したかの様に、縛られ続けているカルーワに視線を戻し、人差し指を下唇に添えて縛られたカルーワをどうするかと悩み出す。


「あの、その子を元に戻してあげたいのですが」

「そういえば元は妖精なんだったわね」


 どうしてそれを知っているのか。ティアナは一体どこまで知っているのか。そもそも何者なのか。彼女と接しても謎が深まるばかりだった。


「ん〜」


 何か考えているのか、カルーワを見下ろしながら唸るティアナ。それも数分で終わる。


「その妖精の姿に戻すの、私がやってみてもいいかしら?」

「えっと、私は構いませんけど…」

「私も」


 アメジスト達の承諾を得たティアナはカルーワの前でしゃがみ、カルーワの顎に手を添えるとカルーワは一瞬身を震わせる。


「貴方、気に入ったわ。私のペットにならない?」


 その言葉に、カルーワは短く唸る。アメジスト達には理解出来ていないがティアナには理解できたようで。


「いいのね?…ふふふ、いい子にはご褒美をあげる」


 そういって、ティアナがカルーワにそっと触れ……キスをした。


 そこからは何度も見ている光景で、光に包まれたカルーワが元の妖精の姿となって眠っていた。


 ……光に包まれる一瞬、カルーワが恍惚とした表情を浮かべていたことに関しては2人は見なかった事にした。


「それじゃあ私はこれで。また会いましょう」


 元の姿となって眠っている妖精を抱き上げ、鎖を回収した後、話す間も無くその場を後にしてしまう。


 2人は呆然としながらその姿を見送った。


◇◆◇◆◇


 翌日の昼休み、ティアナの件で朝陽と美咲は屋上のなるべく人から離れた所で話し合っていた。


「昨日は本当、あっという間に終わったわね」

「まぁ、色々と衝撃的だったからね」


 突然現れてかなりの印象を残し、その場を後にしたティアナの正体を未だ掴めずにいた2人は、現時点で判明している特徴をお互いに上げていく。


 その結果、鎖は自在に操ることができ、結構なドS。事情をある程度把握している。そして権力者である可能性が挙げられた。


「これくらいかな?」

「あ〜……うん、そうね」

「?」


 美咲が何か言いかけたが、数秒考えた後若干曖昧な返事をした。それを疑問に思い朝陽が首を傾げると「まぁ大丈夫だと思うから気にしないで」と言った。


「本当?」

「本当。私の思い過ごしだと思うから」


 美咲がそういうならと納得し、それ以上は聞かない事にした。


◇◆◇◆◇


「所でさ、話変わるんだけど。朝陽はここの生徒会長って知ってる?」

「突然だね、何で?」

「さっき屋上に着いた時、他の人がそんな話をしててさ。ほら、去年生徒会長が変わってから生徒会長って見た事ないじゃん?」


 ティアナの話から何でいきなり生徒会長の話になったのかさっぱり分からなかったが、たしかに去年生徒会長が変わってから新しい生徒会長は姿さえも見た事がない。


「…そういえば、生徒会の人が話す時って今副会長が話してるね」


 私がそういうと、美咲も首を縦に振り肯定する。


「名前は知ってるんだけどね」

「確か、三年生の深見愛佳先輩だったよね」


 実は数多くの事業を手掛ける深見グループのお嬢様でもあったりするのだが、その姿を私達は一度も見た事がない。本当に謎の多い人物である。


「あの深見は私、です」


 突然聞こえてきた女性の声に私と美咲は驚いて声のした方を向くと、そこにはさらなる驚きが。


 白い髪をオールバックにし、髪の色と同じ色の立派な口髭。スーツに身を包んだ60代くらいの男性が悠然と立っていた。


 そして、その男性以外周りに女性の姿はない。


「えっと貴方が…?」


 私が恐る恐る聞いてみると、その男性は優しそうな落ち着きのある笑みを浮かべ首を横にふる。


「愛佳様、お二人が困惑しておられますよ。さ、こちらへ」


 スーツの男性がそう言って体を少し横に移動させる。すると男性の体に隠れながら少し顔を出す女性が現れる。


「愛佳様」

「う、うん。えっとこの姿では初めまして…になります。ふ、深見愛佳、です。…う、うぅしのみやぁ」


 そういうと、深見先輩は顔を真っ赤にしながら再び国枝さんと呼んだ男性の背に隠れてしまった。国枝さんが苦笑を浮かべながら、改めて姿勢を正し、左手を腹部に当て礼をする。


「私は愛佳様の付き人である篠宮と申します。以後お見知りおきを」

「あ、ああこれはどうもご丁寧に。えっと、小盾朝陽です」

「拳崎美咲です」


 私と美咲も篠宮さんにつられ2人にお辞儀をして挨拶する。


「立ち話もなんですから、よろしければこちらにお座りください」


 と言って、本当に。本当にどこから出したのか洋風のテーブルと椅子が3つ用意される。


「熟練の為せる妙技でございます」

「いや、妙技というか珍技…」

「ほっほっほ、お上手ですな」


 取り敢えず、2人が座ったように私も椅子に座ろうとした所である事に気付く。椅子が3つ分しか用意されていない。


「篠宮さんは座らないんですか?」


 紅茶を淹れている篠宮さんに聞くと、


「私は愛佳様のお側で控えております故、何かご用があればお呼び下さい」


 と言い、紅茶を淹れ終えた後椅子に座る深見先輩の横に移動した。


 ここから、話は本題に移っていく。


「それで、深見先輩。聞きたい事があるのですが」

「先輩…何て、堅苦しいから…名前で呼んでほしい………です」

「じゃあ、深見…様?」

「もっと…堅苦しい」

「えっと、愛佳様?」

「様、いらない」

「愛佳…さん」

「……」

「……」

「まぁ…いい」


 ムッとした表情を浮かべながらこちらを見ていた愛佳さんはそれまで納得のいかなかった呼び方が最後のは釈然としないようだったがどうにか納得がいったようでこれからは愛佳さんと呼ぶ事になった。


「じゃあ愛佳さん。さっき言っていたこの姿ではって言うのはどういうですか?」

「そのまま…。私としては、初めまして」

「いや、その意味がわからなくて」

「昨日、会ってる」

「…?」


 昨日。昨日は学校にいた時は普段と変わらず、もちろん愛佳さんに会った記憶もない。家に帰ってからもこれと言って変わったことはなく普段通り。


 とすると昨日会っているということは、学校でも家に帰ってからでもない。その間にあったこと。つまりカルーワと戦ってた時だ。


「ぇ…」

「マジですか…」


 昨日、カルーワを鎖で縛り上げその様子を頬を赤らめ、笑みを浮かべながら眺めてた。あの人物が、今目の前に。


「いや、いやぁ…えっ?」


 思わぬ事に美咲もかなり混乱している。いや、その反応も当たり前の反応だった。私もかなり耳を疑っている。


「疑ってる?」

「「はい、かなり」」

「むっ…本当なのに」

「いや、だって性格全く違うし…」


 本当にその通りだと思う。ティアナと愛佳さんとでは性格がまるで違い過ぎる。個人的には愛佳さんには何故か親近感が湧く。


 しかし、愛佳さんが本当にティアナであるならば、昨日のことを知っていても不思議ではない。いやむしろ。この場合、ティアナである可能性の方が高い。何故なら、


「ちょっと美咲」

「どうしたの?」

「愛佳さん、ちょっと2人で話させてもらいます」

「ん」


 美咲を手招きで屈んでもらい、耳元で囁くように私は気付いたことを話す。


「愛佳さん。ティアナの可能性高いよ」

「そうだけど、性格は…どういうこと」

「それはわからないけど、昨日の場には3人しかいなくてそれを知ってるってことはほとんど確定で間違いないと思う」


 そう。昨日のことは私達当事者しか知らないはずだ。それを知っているのは確定に近いということ。それにあの深見グループのお嬢様なら、ティアナの防犯カメラ発言も頷ける。


「愛佳様、お二人に証拠を見せてはいかがでしょう」

「もう?」

「早い方がいいかと」

「わかった…」


 篠宮さんの提案に乗った愛佳さんが鞄を漁り始める。そして手に抱えて鞄から出てきたものを見て確信する。


「「ああ、うん」」

「昨日の、妖精」


 愛佳さんの手に抱えられた虎の妖精が小さく首を下ろす。お辞儀のつもりなのだろう。


「わかりました。これ以上ない証拠をありがとうございます」

「未だに、信じられないんだけど私」

「そんなに…違う?」

「「全く違います」」


 ハモって言われたことにショックだったのかうなだれる愛佳さん。これまで接して観て、やはり親近感がすごい湧いてくる。


 その話はおいといて。愛佳さんがティアナということで話を進めると、色々と聞きたい事もある沢山出来る。


「それで愛佳さんはいつから変身出来るように?」

「それは、この子と会ってから」


 そう言った後、愛佳さんの肩に現れたのはリスの妖精だった。その妖精はテーブルの上に移動すると丁重に挨拶をした。


「初めまして朝陽さん、美咲さん。モノリスっていいます」

「うん、よろしくね」

「へぇ、リスかぁ」


 美咲が指でリスを撫でると気持ち良さそうにし、自ら指に体を寄せに行く。


 それにしてもやっぱり愛佳さんも妖精と出会ってから変身をしていたようだ。


「やっぱり、変身をするには妖精が関係してるのかな」

「そうベル」


 私の呟きに他の妖精達と遊んでいたベルがテーブルに乗り答える。


「断言したわね」

「実は、みんなが最初にガーディアンナイトに変身した時、ガーディアンナイトの知識がベル達に情報として流れて来てたベル」

「それは3人目のゲンティアナが現れた時に流れてきた情報が完全になったメロ」


 ここに来てまさかの発言に私達が驚いていると、ベル達はドヤ顔をしながら踏ん反り返っていた。


「なんでも聞くベル!」

「聞かせてもらうけど。貴方達、そういうの大事なことは先に言ってよ?」

「ご、ごめんベル」


 しゅんとしてしまったベルをこれ以上追い詰めるのも可哀想なので、テーブルにそれぞれの妖精3人を乗せ説明してもらうことにした。


「まずガーディアンナイトとは。その名の通り守護騎士。つまり変身した朝陽達のことを言うベル」


「そして、過去にガーディアンナイトは3人、別の時代でメル達の世界に現れたメル」


「初代がアメジスト。二代目がブラックオニキス。三代目がゲンティアナ。各それぞれの時代を守った騎士達です。が、どういう訳かこうして3人揃ってしまいました」


「代は続いてるけど、みんなそれぞれ二代目ベル!」


 なるほど。つまり説明はされていないがベル達の世界と私達の世界がなんらかの影響で干渉し、ベル達世界のガーディアンナイトという概念が私達の世界に流れてきたという事だろう。


 じゃあ、ガーディアンナイトとして変身する為にはどうするればいいのか。


「ガーディアンナイトとして変身するには、まずベル達妖精が近くにいる事ベル。そして変身する人物と妖精、その2人はお互いを知っていないと変身できないベル」


「そしてただ知り合っているというだけじゃダメメル。変身する人の願いがとても重要になるメル。例えば朝陽は妹を守りたいという願いから守る力を持ったアメジストに変身したように、それぞれの願いが反映されたメル」


「まぁ、特殊な物もありますが…」


 特殊なとは一体なんだろう。そしてなんで美咲は愛佳さんをジト目で見ているのだろう。その愛佳さんは目を合わせないように横に向いている。


 とりあえず私はその特殊な物が何かを聞いてみることにした。


「その、特殊な物っていうのは?」

「それを、聞いてしまいますか。…お答えします!」

「ちょっとモノリス、待ってぇ!!」


 愛佳さんの制止も聞かず、モノリスはその特殊な物が何かを答える。


「妄想です!」

「あぁぁぁぁぁっ!」

「愛佳様……」


 愛佳さんがテーブルに突っ伏してしまう。そしてその様子を見た篠宮さんが温かい目で愛佳さんを見る。


「妄想という想像力は時に願いを叶える創造力になるのです」

「はぁ…?」


 いまいち理解が出来ず、首を傾げていると美咲から小声で私に補足が入る。


「まぁ、つまり愛佳さんは昨日のティアナみたいな事を想像してたら、本当に創造しちゃったってこと。自分自信で」

「ああ、なるほど。あの愛佳さん」

「……何?」

「その、私はそういうことは知識としてはあるんですけど…わからないこともあって。でも私は、愛佳さんの事ならなんだって受け入れます!」

「……うぅ」

「あちゃー」

「さすが朝陽さんですな」


 私が呼んだことで上げた顔を真っ赤にしながらまた突っ伏してしまった。隣の美咲は苦笑いを浮かべながらその場の成り行きを見守っている。


「うぅぅっ、帰るぅぅぅぅぅ!」


 愛佳さんが突然起き上がり、屋上の入り口に全速力で走って行き、姿が見えなくなってしまう。


「それでは私は愛佳さんの元へ参りますので、お二人もそろそろ教室へ戻られるとよろしいですよ」


 そう言って、椅子とテーブルを片付け、篠宮さんは愛佳さんの後を追っていった。


 私達は言われた通り、教室へ戻るために歩き出す。


「あれを家族に言われたら…」

「どういうこと?」

「ん〜?貴女のことよ。不意打ちお姉ちゃん」

「えっ?なにそれ」


 何か変なあだ名を付けられました。



力になるよね!

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