20「別人」
大変お待たせしてしまいまして申し訳ないです!m(_ _)m
遅くなってしまいましたが、見ていただたら嬉しいです。
あれから、秋穂と春人の2人がけしかけてくるカルーワの撃退を繰り返していた。そのほとんどの戦いでアメジストは剣を持ち、戦っていた。
その戦いの中で、剣を抜いて戦うアメジストはまるで別人の様になってしまう。
それは本人が口にする通り、「敵であるなら容赦はしない」問答無用でカルーワを斬って倒してしまうその容赦のなさは、以前のアメジストとはとてもかけ離れていた。
しかし、アメジストの変化はそれだけではなかった。
それはアメジストに変身していない朝陽の時。
困っている人を見かければ一目散に駆け寄るのが、美咲達の知る朝陽だった。
だが、それは先日のこと。道に迷い困っている老人を見かけても何の反応も示さず、素通りしようとしたのだった。
気付いていなかったというのであればまだ良かった。だが朝陽はその時、気付いていながら見て見ぬ振りをしようとした。
美咲達の知る朝陽からは到底ありえない。
徐々に朝陽が、朝陽ではなくなっていく様子に美咲達は戸惑いを隠せなかった。
◇◆◇◆◇
「というわけで、集まってもらったわ」
朝陽以外が愛佳の家に集まりいつものように、篠宮が何処からともなく出した椅子に腰掛けていた。
「集まったのはもちろん…」
「朝陽さん…のこと」
「ベル」
「メル」
「それしかありません」
ベルを含む妖精達も小さい椅子に座りながら頷いた。
重たい空気の中、美咲がこの場にいる者全員に対して今の朝陽はどう映るのかを聞いた。それに最初に答えるために口を開いたのは愛佳だった。
「明らかに…私たちの知ってる朝陽さん…じゃない」
その言葉にその場にいる全員が頷いた。誰しもが、今の朝陽は朝陽ではないと感じていたからだ。
「いつ頃から変わったメル?」
「多分、あの後からだと思う」
美咲が言ったあの後。それは妖精達の世界での事だ。あの時の事は、ベルを通して話されていた。
「今の朝陽の様子から考えて、もうあまり時間はないと思うベル…」
「…そうですね。朝陽さんの状況は極めて深刻だと思います。早く手を打たなければなりません」
モノリスの言う通り、その出来事から現在まで、すでに2か月は経過していた。少しずつ変わっていく朝陽を、これ以上放って置くわけにはいかない。
「でも…私達に出来ること、思いつかない」
「あそこまで性格が変わる原因がメルにはわからないメル」
「そうなのよね…」
この場にいる全員が、朝陽の性格が変わっていく原因を分かっていない以上、どうすれば良いのかなど思いつくはずもなかった。
原因が分からず全員で唸っていた時、ある人物から声が上がる。
「私から1ついいでしょうか」
その声の方を向くと、その間ずっと愛佳の横に控えていた篠宮だった。
「篠宮…どうしたの?」
「はい。まず、お聞きしたいのですが皆様は以前の朝陽さんと、現在の朝陽さんは別人だと思われますか?」
その質問に、全員渋々ながら首を縦に振った。
「では、具体的にどのような所が別人であると思われますか?」
「えっ?それは──」
それぞれが、自分の気付いた以前の朝陽と現在の朝陽の違いを上げていく。
「私が違和感を持ったのは、重そうな荷物を持ったお年寄りを手伝いに行かなかった時かな。いつもなら、真っ先に行くのに…」
「私は…学校で、見かけた時。よく、悪ふざけしてる子に…注意、してたけど…最近は全くしてない」
「なるほど、普段の生活の中でもかなり朝陽さんに変化が現れているようですね。話を聞かせていただいた限りでは、普段の生活の中での原因ではなさそうですね」
篠宮の言う通り、生活の中で原因があるとはとても思えない。それはその場の誰もが思っていた。
そんな中、ある言葉が引っかかって、考えていた美咲は言葉に出した。
「普段の生活が原因じゃない…あっ」
何かに気付き、ハッとした美咲。そして、思い当たった原因を呟く。
「朝陽の性格が大きく変わり始めたのって、剣で戦い始めてから…」
その呟きを聞いた篠宮が正解であるというように頷いた。
「じゃあ、朝陽は剣で戦うたびに別人になってくってこと?」
「確信は持てませんが、その可能性はあるかと思います」
「別の原因があるかもしれないってことベル?」
「その可能性も、あるかと」
「そんな…」
これといった解決策が浮かばず、落胆する美咲達。
これ以上考えても、いい案が浮かばず、朝陽がなるべく剣で戦うのを避けさせながら、様子をみるしかないと言う事になった。
◇◆◇◆◇
朝陽達2年生は、3週間後に控える修学旅行にに向けて夏休み明けから着々と準備を進めていた。
「それでは修学旅行で行動する班に分かれてください」
担任の指示通りに席を移動する生徒たち。
「ん〜楽しみだなぁ」
「どっか行きたいところでもあるの?」
美咲の隣では食い入るようにしおりを見ながらそう呟いた朝陽がいた。
「行きたいところって言うか、舞妓さんに会ってみたい」
「あーなるほどね」
「でも、会える確率かなり低いらしいんだよね〜でも会いたい!」
唸りながらしおりを見つめる朝陽を見ながら美咲は苦笑する。他の班の子と行きたい場所を言い合う朝陽の様子は普段と変わりない。
それでもやはり、美咲はどこか違うと思ってしまう。
それは表情からか、声からか、はたまた仕草からか。それは美咲自身にも分かっていないことだった。
今の朝陽は、本当に自分の知る朝陽なのか。
日を追うごとに、その思いが増していた。
4章は後1話で終わりとなります。




