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【完結】死刑囚ギギラ・クレシアは禁術【武器化】で歴代彼氏を保管中  作者: アカアオ


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1年後の日常/記念すべき100人目

 「一年ぐらい前かな、この辺りにコロシアムって建物があったんだよ」

 「死刑囚を戦わせてた所?」

 「そう。今はもう崩壊しているけどね」


 僕の名前はコード・アルマイン。

 一年前に失われた『禁術』という魔術現象を専攻に研究をしている者だ。


 「コロシアムには凶悪な死刑囚を閉じ込める結界があったんだよ。ちょっとやそっとの衝撃では壊れないレベルの強いのがね」


 とはいっても、現状『禁術』について記録されている資料は少ない。

 禁術使いは一年前に起こったある事件を境に全滅している。

 

 「それがどうしてこの有様に?」

 「ギギラ・クレシアって死刑囚がぶっ壊したんだよ」


 だけど、『禁術』に関する手掛かりは一つだけあるんだ。


 コロシアムから唯一脱獄した死刑囚、ギギラ・クレシア。

 彼女は元禁術使いであり、またこの世界のどこかに生きている。


 彼女と接触する機会があれば、僕の研究も大きく進むことだろう。


 「それにしても珍しいね。ルルラが僕の仕事を手伝ってくれるなんて」

 「コロシアムに行くって言ってたからさ。気になっちゃったんだよね」


 そうそう、僕の隣に居る彼女についても説明しよう。

 彼女はルルラ・レクレシア。

 僕に出来た初めての彼女だ。



 「ルルラあんまり詳しくないんだけどさ、そのギギラ・クレシアって死刑囚が脱獄した後コロシアムはどうなったの?」


 お昼時。

 ルルラと一緒に定食屋のテーブルを囲う。


 彼女は眼鏡をクイッと光らせながらそんな質問を投げかけた。


 「ギギラ・クレシアが結界を壊した影響で、死刑囚達の反乱がおこったんだ」

 「ほうほう」

 「だけど、それをコロシアムの管理していた監獄長のジャンネ・ダルケーが沈めたんだよ」


 学者の中では結構有名な話だ。

 コロシアムを管理していた連中は神様から【役割神託(オラクルロール)】と呼ばれる力を授かっていると言われている。


 あるものは不死身の体を得たり。

 あるものは民衆の思いを力に変え、最後には神に至っているらしい。


 「監獄長には『神の死体を複製、操る能力』が神様に与えられていたそうだ」

 「……じゃぁ、その複製された神様の軍隊で死刑囚達はやられちゃったんだ」

 「ギギラ・クレシアを除いてね」

 

 「……なるほどねぇ。あそこでジェーエルが神になったのも規定路線って訳ね」

 「ん?ルルラ、何か言ったか?」

 「ううん。なんでもない。独り言」


 そんな会話をしていると、食事が届いた。

 簡素なご飯とスープ。

 しかし、値段はびっくりするほど安い。

 僕みたいな貧乏研究者がどれだけこの定食に助けられたことか。


 「悪いなルルラ。こんな簡素な昼食で」

 「全然いいよ。ルルラ、ちょっと前まで残飯ばっかり食べてたからさ。普通のご飯が食べれるだけで幸せって感じ」


 そうして二人で昼食を食べる。

 僕はそんな静かな時間が好きだった。


 「ねぇコード君。もう一つ質問して良い?」

 「ん?良いよ」

 「どうして『禁術』の研究を始めたの?」


 一瞬静寂が流れる。

 

 「ちょっと興味があったんだよ。今は失われた力って考えるとロマンがあるだろ」


 そう言葉を濁した。

 

 本当はもっと別の目的がある。

 でも、こんな危険な目的に彼女を巻き込みたくなかった。



 「今日もそれほど情報は集まらなかったか」


 ルルラと別れた後、裏路地を歩きながらトボトボと歩く。

 

 「僕はいつになったらアンタの仇を取れるんだろうな……兄貴」


 コロシアムの崩壊とそれにまつわる事件、それには実は続きがある。

 大量の神を従える事に成功した監獄長ジャンネはその後、この世界を裏で支配しているのだ。


 そして、犯罪を犯しそうな人間。

 一度犯罪に手を染めた人間。

 この社会に不都合な思想を持つ人間。


 そう言った人々を神を使って殺している。

 その理由は曰く、『平和な世界を作る為』


 僕の兄もその神に殺された。

 だから僕は、神への対抗策として『禁術』を研究し始めたのだ。


 「上手く行かない。本当に上手く行かないよ全く」


 そうぼやいてトボトボと歩く。

 その瞬間の事だった。


 「コード・アルマインさんですね」


 心臓を突き刺す様なプレッシャーが背後から襲いかかった。

 僕はおそるおそる振り返る。


 「あ……お、お前は」


 そこに立っていたのは、赤い軍服を纏ったゾンビ。

 無表情の顔を貼り付け、赤い糸を操る化け物。

 僕の兄を殺した……複製された神。


 「私は【赤き軍服の戦神(デウスエクスマキナ)】。この世界の治安を維持するため、危険な人物を間引いている存在です」


 「僕を……殺しに来たのか?」


 「貴方の研究に関する警告は何度も行われているはずです。しかしながら、貴方は研究を辞めなかった。ゆえに、貴方を危険因子だと世界は断定しました」


 赤い糸が僕を囲んでいる?

 これは結界か?


 「助けは来ませんよ。もちろん貴方の死を見届ける人間もいません」

 「こんなのが世界平和に繋がると君たちは本気で思っているのか?!」


 「ルールを守るものが生き延び、ルールを破ったものを間引く。この平穏を享受する者を生かし、この平穏を壊そうとするものを間引く……どこにも間違いはないでしょう?」


 「ただの独裁と何も変わらないじゃないか!!」


 そんな僕の訴えも、きっと無意味なんだろう。

 神が一歩一歩近づいてくる。


 「改めて、コード・アルマイン。貴方をこの平穏を壊そうとした大罪人と認定します。罪人には、死の裁ー」

 「あのさぁ、ルルラの彼氏に酷い事しないでくれる?」


 僕が死を覚悟したその瞬間だった。

 この場に居ないはずの彼女の言葉が響く。


 「嫌な予感がして様子を見に来たらこれだよ。やっぱり君達の正義はどこかおかしいと思うな」

 「我々に意見するつもりですか?」

 「もちろん。だってルルラ、君達の事嫌いだから」


 神に対して動揺せず、堂々をルルラは意見を口にした。

 

 「待っててコード君。今助けるから」

 「やめろルルラ!!殺されるぞ!!」

 「大丈夫だよ。ルルラ超強いから」


 彼女はそう言うと、そっとかけていた眼鏡を取る。

 

 「あと一つ、コード君に謝らないといけない事があるんだ」

 「え?」

 「実はね、ルルラ・レクレシアは偽名なの」


 その眼鏡を取った瞬間だった。

 彼女の輪郭がぼやけ始める。


 「この眼鏡には現実改変能力が付与されてるんだ。その名も彼氏No94【夢限王国(むげんおうこく)の色眼鏡アリュード】」


 「彼氏No……それってもしかして」


 僕がその答えを出す前に、目の前の神の動き始めた。

 その両手に赤い糸を纏い、ルルラだと思っていた女性へと襲い掛かってくる。


 「本当の名前はギギラ・クレシア!!君が追い求めていた、コロシアム唯一の脱獄者だよ」


 そんな神の攻撃を軽々と彼女は受け止めた。

 

 「のんびりと戦ってると援軍呼び出されて面倒そうだよねぇ。バラン君、手伝って」


 彼女の背後に穴が開く。

 その穴からは空を飛ぶ杖が飛び出した。


 「全くシャーねぇな。さっさと終わらせるぞ」

 「了解了解っと。99の魔法陣をバラン君に同期」


 杖とギギラ・クレシアが言葉を交わすと、神を取り囲うように大量の魔法陣が現れた。

 

 「|全力砲撃・足掻きの混沌魔弾カオス・ストラグル・フルバースト!!」


 魔法陣が一斉に虹の光を帯びる。

 その一瞬で、神は跡形もなく消滅した。


 「あの神を……一瞬で」

 「言ったでしょ。ギギラ超強いんだよ」


 彼女はそう言うとトテトテとこちらに歩いてくる。


 「ねぇコード君。君の研究って、あの神への復讐の為にしてたんでしょ?」

 「なんでそれを?」

 「ギギラ、男を見る目には自信があるからね。なんでもお見通しなの」


 自慢げな顔をする彼女を俺はジッと見つめていた。

 吸い寄せられるような感覚があった。

 

 それが恋心なのか、好奇心なのか、それは分からない。

 ただ一つ確かな事が一つ。

 僕の心は今、ギギラ・クレシアという女性に強く惹かれているという事だ。


 「コード君。よかったらギギラ達と一緒に来ない?記念すべき100人目の彼氏として」

 「僕が100人目」

 「君の復讐も手伝うよ。何なら、さっきの話で出たジャンネって人を殺してあげる」

 「どうしてそこまで」

 「君の事が好きだから。それじゃダメ?」


 にっこりと笑顔を浮かべて彼女を手を差し伸べて来た。

 今の僕に、彼女の提案を断る理由はもはやなかった。


 「こんな僕で良いなら、喜んで!!」


 そっと僕は彼女の手をつかみ取る。

 きっと、僕も彼女の今日という日を忘れることは無いだろう。

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