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【完結】死刑囚ギギラ・クレシアは禁術【武器化】で歴代彼氏を保管中  作者: アカアオ


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第55話 足掻き

 「は?」


 バランはその光景をはっきりと見た。

 いつも強気で、いつもうるさくて、いつも我儘で、いつも前を立って走るギギラが目の前で倒れている。


 自分の声に反応する様子は微塵もない。


 「クソ!!」


 バランは即座に動いた。


 「俺が動けるって事は、まだギギラは死んでねぇはずだ」


 それはいつぞやにこのコロシアムで言われた事。

 禁術は使用者が死ねばこの効力を失う。

 

 ギギラ・クレシアの禁術で武器化されているバラン含む彼氏達は彼女が死ねば一緒に死ぬ存在であると。

 だからこそ、バランがこうして動いている事こそがギギラ・クレシアが生きている証明になる。


 で、あるのならば……この状況は詰みでは無いはずだ。

 そんな気持ちだけが今のバランを突き動かしていた。


 「足掻きの閃光魔弾(スモッグ・ストラグル)


 砂と風と光の魔力を混ぜた魔弾を放つ。

 パッと魔弾が爆ぜてジェーエルの視界を奪った。


 「正直何時まで持つか分からねぇけど」


 真正面から戦って勝てる相手じゃないのは明白だ。

 バランに残されている方法はギギラを連れてこのコロシアムから逃げ出す事のみ。


 普段の殺し合いであれば、そんな方法は許されない。

 だけど今回は違う。

 

 さっきのギギラとジェーエルの衝突の余波でコロシアムを覆う結界が崩壊しているからだ。


 「腕の止血と……あと、彼氏を置いていったりなんかしたら殺されかねないな」


 地面に倒れているギギラの前へ到着する。

 血をどくどくと流している左肩と壊れた天秤(アンプル)を握る右手に標準をパッと合わせた。


 「足掻きの氷魔弾(アイス・ストラグル)


 簡単な止血と壊れた天秤(アンプル)の固定を確認。

 自分の切っ先にある刃物をギギラの囚人服にひっかけてバランは空中を飛んだ。


 「ウォォォォォ!!!!」


 本来、人間を背負って飛ぶほどの力をバランはもっていない。

 ミシミシと鳴る体に鞭を打って必死にギギラの体を持ち上げている。


 「良し、このままー」

 「逃げれると思いましたか?」


 バランが空を見上げてもうすぐだと声を上げたその時だった。

 神となったジェーエルが糸をワイヤーの様に使って空へと駆け上がる。


 いつの間にか再生されている右腕を見てぎょっとするが、それ以上に恐ろしいのはスピードだ。

 その身体はあっという間にバランを追い越した。


 「罪人を逃さず、確実に罰を実行する。私はその為に生まれた神であれば」

 「速ッ?!」

 「貴方の足掻きを認める事はありえないでしょう」


 ジェーエルの足に赤い糸で出来た渦がまとわりつく。


 「民意断罪(マリス・カタルシス)【ヘイト・ブレンザー】」


 自由落下の勢いを乗せ、バランに向けて飛び蹴りを放った。


 「グアッ?!」


 一瞬、死んだかもと錯覚するほどの衝撃がバランを襲った。

 そして当然の様に地面に叩きつけられる。


 「くそ……ギギラ」


 近くに倒れるギギラを見て悔しそうに声を上げる。

 もろに攻撃を食らったバランの体はふらふらと宙を浮くことすら出来ないありさまだった。


 「ギギラ・クレシアの神経切断。および、単独行動可能な武器(カレシ)の無力化を完了」

 

 タン、と音を立ててジェーエルが地面に降りた。

 彼女の言葉にやはり観衆は歓喜の声を上げる。


 「これより、ギギラ・クレシアの処刑を開始する」

 「やめろ……やるなら先に俺を!!」


 ジェーエルの拳に糸の渦が宿る。

 バランの悲痛な声など響くはずもなく、ジェーエルはただ無常にその拳を振り落とした。



 『大丈夫だよ。君の足掻きはちゃんとギギラの未来につながった』


 瞬間、どこからか男の声が響く。

 困惑しているバランの目に飛び込んできたのは、さらにありえない光景だった。


 『いつもギギラをありがとう。あんな我儘な子を愛してくれてありがとう』


 ジェーエルによって神経を切断されているギギラが立っているのだ。

 切断されていたはずの左腕が再生されているのだ。


 そして、大きな盾を持ってジェーエルの攻撃を受け止めている。


 「未確認の武器(カレシ)ですか」

 『驚いた。君は狼狽とかしないんだね』

 「予想できる範囲の出来事です」


 カン!!と音が鳴って二人は距離を取った。

 

 『僕がギギラの体に憑依するまで時間がかかってしまってね。こうして表に出れたのは君のおかげだよ』

 

 「アンタは……一体」


 バランがそう声を掛ける頃、ギギラの神が青に染まる。

 

 『僕の名前はラウズ。ギギラにとって、一番最初の彼氏』


 その色はラウズがギギラの体に完全憑依した合図だった。


 『【彼氏No01原初の聖盾(せいじゅん) ラウズ】と名乗った方が通りがいいかな?』

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