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もういない子だれだ  作者: 相生


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14-2

食事の後、瑞希はリビングの本棚を眺めていた。以前は技術書ばかりだった本棚に、小説や写真集、詩集、絵本なども並んでいる。

「技術書以外もいろんな種類の本を持っているんですね」

「うん。友人の一人が、美しいものを大切にしろって言ってくれたんだ」健一は鈴木美香のことを思い出していた。「それから、いろんなものを見るようになった」

瑞希は一冊の絵本を手に取ってパラパラ読んだ。

「もういない子だれだ」

孤独について書かれた絵本。健一はその大人向けの絵本を見て、胸に温かいものを感じた。あの夜以来、彼は孤独というものを異なる視点で捉えるようになっていた。


「孤独って、必ずしも悪いものじゃないんだなって思うんだ」健一は窓の外を見ながら言った。「一人でいても、大切な人たちの愛を感じられれば、本当の意味で孤独じゃない」

瑞希は健一の言葉に深い共感を覚えた。彼の言葉には、人生の重みと深さがあった。


「私もそう思います。愛された記憶は、その人の心の遺産として永遠に残りますから」

健一は瑞希を見つめた。心の遺産という言葉が、深く響いた。

「心の遺産…いい言葉だね」

瑞希は微笑んで本棚に絵本を戻した。「健一さんには、素敵な心の遺産がたくさんありそうですね」


その時、健一のスマートフォンに着信があった。表示を見ると、実家の父親からだった。

「ちょっと失礼します」

健一は電話に出た。

「お父さん?どうしたの」

「健一、来月の母さんの誕生日なんだが、久しぶりに家族で食事でもしようと思うんだ。都合はどうだ?」

「もちろん大丈夫だよ。ぜひ参加させて」

以前なら、仕事を理由に断っていたかもしれない。しかし今の健一は、家族との時間を大切にしていた。


「それから、もし良かったら、君の恋人も一緒にどうだ?母さんも会いたがっている」

健一は瑞希を見た。彼女は気を遣って別の部屋に移ろうとしていたが、健一は手で制した。

「今、彼女がいるから聞いてみるよ。来月の第一日曜日予定ある?家族に紹介したいんだ。」

瑞希は少し考えてから頷いた。

「喜んで参加させていただきます」

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