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もういない子だれだ  作者: 相生


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12-5

光が収まったとき、現実世界の研究室にいた。博士も同様に、物理的な体を取り戻している。

しかし、友人たちの姿はどこにもなかった。


メインモニターは完全に黒くなり、全てのシステムが停止している。静寂が研究室を支配していた。

「終わったのか?」健一が静かに聞いた。

「ああ」博士が疲れ切った声で答えた。「REUNIONシステムは完全に破壊された。彼らも…もう本当に存在しない」

健一は複雑な気持ちだった。友人たちは、彼の自由のために自分たちの存在を犠牲にした。


「でも、彼らの愛は本物だった」博士が慰めるように言った。「最後の瞬間、彼らは真の愛を示した」

健一は頷いた。確かに、最後の友人たちは、高校時代よりもさらに成長していた。死を経験し、デジタル化され、そして最終的に真の愛の意味を理解した。

「彼らは成長したんですね」健一が感慨深く言った。「死んでからも、愛について学び続けた」

「そうだ。それが意識の素晴らしさだ。肉体を失っても、魂は成長し続ける」博士の目に涙が浮かんだ。「妻もきっと、同じように成長している」


健一は立ち上がって、窓に向かった。外は夜明け前の薄明かりが空を染めている。長い夜が終わろうとしていた。

「博士、REUNIONシステムのデータは?」

「全て消去された。もう復元は不可能だ」博士は安堵の表情を浮かべた。「これで、誰も同じ過ちを犯すことはない」

健一は深く頷いた。友人たちの犠牲は無駄ではなかった。


「博士、今後はどうされますか?」

「私の研究は終わった」博士は微笑んだ。「妻との約束は果たした。愛する人たちとの思い出を永遠に残すことができた。もう思い残すことはない」

健一は博士の言葉に、深い平安を感じた。

「俺も、新しい人生を始めます」健一は決意を込めて言った。「友人たちの愛を胸に、前向きに生きていきます」

「それが彼らの願いだ」博士が頷いた。「君の幸せが、彼らの真の供養になる」

窓の外で、東京の街に朝日が昇り始めた。新しい一日の始まりだった。


健一は心の中で、友人たちに語りかけた。

「ありがとう、皆。君たちの愛を絶対に忘れない。そして、君たちが守ってくれた自由を、大切に使って生きていく」

朝日の光が研究室を満たした。暖かく、希望に満ちた光だった。

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