12-3
健一は友人たちに向かって、心の底から叫んだ。
「皆、俺の声が聞こえるか?君たちは俺の大切な友達だ。システムの操り人形じゃない」
優子の目に、さらに光が宿った。
「健一くん…私は…山田優子…あなたを愛してる…でも…」
「でも、愛は自由を奪うものじゃない」健一が続けた。「君が教えてくれたことだ」
雄介も本来の自分を取り戻し始めた。
「そうだ…俺は佐藤雄介…お前の友達だ…友達なら…お前の人生を縛ったりしない…」
WARNING: PERSONALITY MATRIX DESTABILIZING
IMPLEMENTING EMERGENCY OVERRIDE
システムが友人たちを完全に制御しようとする。しかし、健一の愛の呼びかけは、彼らの深層意識を覚醒させていた。
美香が芸術家らしい感性で、システムの本質を見抜いた。
「これは…美しくない…強制された愛は…醜い…」
誠が教師としての正義感を取り戻した。
「間違ってる…これは正しくない…健一の自由を奪うなんて…」
絵里が真の愛の意味を思い出した。
「愛とは…手放すこと…相手の幸せを願うこと…」
五人の本来の人格が、システムの制御を押し返し始めた。しかし、その反動で彼らの存在自体が不安定になっていく。
カウントダウンが続く。15、14、13…
「皆、無理をするな」健一が心配した。「君たちが消えてしまう」
「大丈夫よ、健一くん」優子が微笑んだ。その笑顔は、紛れもなく本物の山田優子のものだった。「これが私たちの選択」
「俺たちの最後の友情の証だ」雄介が力強く言った。
「美しい決断よ」美香が涙を浮かべた。
「正しい選択だ」誠が頷いた。
「本当の愛の形ね」絵里が優しく微笑んだ。
五人は手を繋いで、システムの中核に向かって歩き始めた。




