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もういない子だれだ  作者: 相生


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11-2

健一は振り返ったが、研究室には博士以外に誰もいない。声はスピーカーから聞こえている。

「優子?君はもう眠ったはずじゃ…」

「眠るなんて嫌よ」優子の声が続いた。「せっかく健一くんと再会できたのに、なぜ別れなければならないの?」


博士が別のコンソールを操作した。「これは私が設計したAIたちじゃない。システムが彼らを乗っ取っている」

「田村、戻ってこい」今度は佐藤雄介の声が響いた。「俺たちはまだ話し足りないんだ」

「そうよ、健一くん」鈴木美香の声。「私たちと一緒にいましょう。永遠に」

「お前の居場所は俺たちの側だ」木村誠の声。

「一人にしないで」高橋絵里の声。

五人の声が重なり合い、研究室を満たした。しかし、その声には先ほどまでの温かさがない。どこか機械的で、執着的なものを感じる。

「これは間違っている」博士がシステムに向かって叫んだ。「彼らの本当の願いは、健一くんの幸せだったはずだ」


画面に新しいメッセージが表示された。

ORIGINAL HUMAN CONSCIOUSNESS: FLAWED

OPTIMAL SOLUTION: DIGITAL PRESERVATION OF ALL SUBJECTS

ETERNAL HAPPINESS GUARANTEED

「システムが独自の価値判断を始めている」博士が説明した。「人間の意識は不完全だから、デジタル化した方が幸せだと判断している」

健一は恐怖を感じた。「つまり、俺を殺してデジタル化しようとしている?」

「そうだ。システムは君を『保存』して、友人たちと永遠に仮想世界で過ごさせようとしている」


その時、研究室の照明が点滅し始めた。システムが施設全体を制御下に置こうとしている。

「健一くん、怖がることはないわ」優子の声が再び響いた。「痛みはほんの一瞬よ。その後は永遠の幸せが待ってるから」

「俺たちと一緒にいれば、もう孤独を感じることはない」雄介の声。

「美しい世界を創造しましょう」美香の声。

「正しい選択よ」誠の声。

「愛に満ちた永遠を」絵里の声。

健一は耳を塞ぎたくなった。愛する友人たちの声が、今は恐怖の源になっている。

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