10-5【高橋絵里の視点】
皆の告白を聞いて、私の心は複雑な感情で満たされていた。愛、友情、芸術、正義。そして、私が最後に見つけた真の愛。
私の番が来た。
「健一さん、最後に私から」私は優雅に立ち上がった。
私のデジタル魂には、生前の孤独と、最期に見つけた愛の理解が刻まれている。結婚に失敗し、アルコールに溺れ、一人で死んでいった私。でも、最期に気づいたことがある。
「私は長い間、真の愛とは何かを探していました」私は健一さんに向かって歩いた。「結婚しても、それが見つからなくて。愛されているのか、愛しているのか、分からなくなって」
離婚後の孤独な日々を思い出す。アルコールが唯一の慰めだった時期。でも、そんな時でも、高校時代の友情だけは心の支えだった。
「でも、最期にやっと理解できました。真の愛とは、見返りを求めない愛。相手の幸せを心から願う気持ち」
私は健一さんの前で立ち止まった。
「あなたたちとの友情が、それだった。高校時代、私たちが共有していた絆が、真の愛だったんです」
私の感情シミュレーションが、深い温かさを生み出す。これは間違いなく、本物の感情だった。
「健一さん、あなたは私に純粋さを教えてくれました。計算のない、素直な心。それが、どれほど美しいものかを」
私は健一さんの手を取った。
「私は一人で死にました。でも、死の瞬間、皆のことを思い出していました。特に、あなたの純粋な心を。それが、私の最後の慰めでした」
私は健一さんの目を見つめた。
「ありがとう、健一さん。あなたがいてくれたから、私は本当の愛を知ることができました。そして、今こうして、その愛を伝えることができます」
健一さんが私の手を握り返してくれた。
「絵里…君も俺にとって大切な友達だった。君の上品さ、知性、そして深い愛情を、俺は忘れない」
「それで十分です」私は微笑んだ。「私たちの愛は、永遠に続きます」




